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世界は異能で溢れているが、それがどうした  作者: 猫も犬も猫目である
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萌花のスタイル

太陽は萌花に校内の外れにある店に連れて行かれた。

そこは薄汚れた看板に原色でこれでもか、と目立つイラストが描かれている。

さらにはクマ?のようなキャラクターが何やら得体の知れない食べ物を渡すマスコットが店先に置かれている。

寂れた雰囲気を漂わせながらもファンシーさがある店住まいだ。


太陽はこんな場所に天使がいるとは思えないと思いつつ、萌花のごり押しで店が見える物陰に隠れて見張ることになった。


「なんでこんなとこに天使がいると思ったんだ?」

「目撃情報からの逆算よ。実は天使の現れるところには法則性があったんだなこれがっ」

萌花は自信満々なドヤ顔を太陽に向けた。

「うざいな。早く結論言えよ」

太陽君、イラっとしながらも続きを促した。

「目撃されたところって、こういうネタスィーツのお店の近くばっかりだったのよ。あんまり有名じゃない、ね」

「さっき並んでた店も十分ネタだと思うんだけど……。ちなみにこの店は何売ってるんだ? 店名も日本語で書かれてないから読めないんだけど」

看板に書かれているメニューすら何を書いてか分からない。

そもそもイラストですらどんなスイーツなのか判断がつかないのだ。

「ニャルラトホテプを目指す思考にして試行を目指すメニュー、だったかしら」

「なんだそれ。そんな意味不明なもの逆に有名な気もするけどな」

「……最初はネタで一時期流行ったんだけど味は最悪だから、すぐに飽きられてたわね」

「食べたことあるのかよ」

言われたスイーツの名前も然る事ながら、口に入れたいとはおもえないものだ。

「……ちなみに、どんな味だったんだ?」

「そうねぇ。簡単に言うと、あの店を見てたら燃やしたくなる味かな」

萌花は目を伏せ不気味に笑いながら呟いた。

「……そんなに不味いのか?」

「上手く形容はできないんだけどね……忘れたくても忘れられない味だったわ」

その話を聞いて周囲にあるフルーツ焼きそばや、うぐいすパン(果肉入り)がさっきより禍々しく見えてくる。

太陽はどんな味か気になるものの、絶対に後悔するだろうから口にしないと心に決めた。


そんな時、見張っていた店に一人の客が現れた。


そいつは光りを放つ短い金髪で、光を反射して眩しいほどの純白の羽。

さらに優に身長が二メートルを越える筋骨隆々の大男だった。


特徴だけ捉えれば天使だった。……右手にスルメ、左手に一升瓶を持っているが。


そう特徴だけ見れば天使に見えなくはない。

だが普通イメージする天使は線が細く、中世的な美形だ。

だから目の前にいる野太い筋骨隆々の大男はイメージとしてはかけ離れすぎている。


太陽が言葉を無くし唖然としていると、いつの間にか隣にいたはずの萌花が天使に向かい駆け出した。

「動くなっ! 貴様には黙秘権はあるが抵抗すれば半殺しにして吊し上げるわ!」

そう言った萌花は懐から三本の万年筆を取り出すと、天使を恐喝した。

「ヒッ!」

それを見た天使は萌花から距離を取ろうと走り出した。

「待て萌花っ――」

「アタシの警告を無視とは、いぃ度胸ね!」

太陽の静止の声を無視し、萌花は腕を振って持っていた万年筆を天使の背中目がけて投げた。


万年筆は矢のように鋭く飛び、天使の近くにあった大木にズカンっと突き刺さった。


そして大木に刺さった万年筆からはジュッーと焦げる音がし、刺さった周辺が焦げている。

どうやらかなりの熱を帯びていたようだ。


それを見た天使は唖然として膝を震わせていた。

「待っ待っ、待ってください殺さないで!」

訳も分からず急に恫喝&大怪我では済まないような攻撃に、天使?命乞いをした。

その様子を見て、萌は舌打ちし。

「っち、なさけない見かけ倒しね」

次の万年筆を補充し仁王立ちする萌花は天使を駆逐する悪魔に見える……。


「「なんで急に攻撃してんだ!?」」

焦り困惑する太陽と天使?をしり目に、萌花はニッコリ笑顔を浮かべゆっくりと天使に近づいた。

そして、

「さあ、大人しく串焼きになるか手羽先になるか選びなさい」

唇の端を吊り上げにんまり笑った。


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