プロローグ
初投稿です。
暖かい目で見ていただけたら幸いです。
誰か見てくれるかなぁ…
この世界は不思議なことに溢れている。
むしろ溢れすぎて、満ち満ちてるくらいだ。
超能力、魔術、陰陽術、交霊術と、今じゃ当たり前になってしまった異能を数え出したらキリがない。現代では五十人に一人の割合で、何らかの異能を持っている状態だ。
では、これまで人を支えてきた科学はどうなったのか。
それは意外なことに衰退するどころか、綺麗に異能と融合して発展し続けている。さらに言えば『それで世界がどう変わった』なんてことも特にない。
ちゃんと受け入れられて、さも昔から異能と一つだったみたいに振る舞っている。
それが今の世界の日常だ。
まぁ、どれだけ世界が変わっても、人々に大きな変化があるわけじゃない。
事件も多種多様に増えたし、児童虐待やいじめ問題なんてのも残っている。
良いことも増えたけど、悪いことが減ったわけじゃない。
それが今の世の中だ。
かくゆう自分も産まれながらに異能と呼ばれる能力を持っていた。
けど親の方針もあり、つい最近まで異能とは全く関係のない一般の高校に通っていたんだ。
多く認知されているといっても、異能はどうしても周囲には距離を置かれるものである。
それも子共たちとの集団生活の中じゃ、些細な認識のズレが異質として扱われたりもする。
それが原因でイジメや両親からのネグレクトも少なくない。
前の学校でもそんなことがあった。
けどそんなとき、ある教師の進めで岸部太陽、高校二年生になる春に、異能力を中心に取り扱う学校、私立八百万学園に転校するになった。
「岸辺~、そろそろ部活何するか決めたか?」
ある放課後。
帰り支度をしていると同級生に声をかけられた。
「まだどんな部活動があるか知らないんだよ。こっちの生活に慣れるので精一杯」
声をかけて来たのは中肉中背、顔も整っているが美形でもなく、
およそ特徴らしい物が無いのが特徴の同級生、鈴木だ。
同じクラスになって以来、よく声をかけてくれる親切なやつだ。
「絶対に部活に入らないとってわけじゃないけど、入っておけ。じゃないと面倒な部活にかかわっちまうぞ」
「面倒な部活?」
そう呟くと、教室に残っていた生徒が周囲がざわついた。
「あの部活とか…」
「あそこも確か人が…」
「スミマセンスミマセンスミマセン、もう入るとこ決めてるんです!」
一人頭を抱えて絶叫してる人もいるが…。
「決まってないなら紹介しようか?入部してるんだけど、別に強制参加とかない弛い部活なんだよ」
「ありがとう。とりあえず何があるか調べてみるよ」
そう言って、その日は学校を後にした。
やっぱりまだ馴染めないなぁ。
夕暮れの帰り道、周囲を見渡して改めて思う。
転入してからの生活は今までと少し違うが、
世界が一遍したと言うより、半歩ズレた感覚がある。
前と同じでもあるし、些細な部分が違ってもいる。
道には徒歩て歩く生徒もいれば、自転車で走っている生徒
バスや電車で通学している生徒もいる。
変わっているのじゃ翼を生やして飛んでいる人もいれば、車より早く走っている人まで様々だ。
前にいた場所じゃ考えられないよなぁ。
改めて、違う場所に来たんだと実感させられる。
慣れればこれが普通なんだと思えるほど、周囲の人は異能者に対して特別な視線を向けていなかった。
そう環境は変わったが、自分の生活に起きた変化はほとんどなかったのだ。
あるとすれば、普段なら話のネタにも登らない異能の話題や、学校の授業に『異能』という科目が増えたくらいだろう。
前にいた場所は異能なんてろくに見かけなかったしな。
もしかして前にいた所の方が特殊な環境だったんだろうか。
今さら考えても仕方ない事だ。
いつか両親に尋ねてみよう。
新しい環境に馴染むこと。
それを目標に帰路についた。