第一章「嵐を呼ぶ教師 その一」
はじめまして、本日から小説を書かせていただく、マセガキ タロウと申します。
初心者なため、暖かい目で作品を見ていただけたらと思います!
「他人の意見で自分の本当の心の声を消してはならない。自分の直感を信じる勇気を持ちなさい。」
ースティーブ・ジョブズー
僕の名前は花咲勇人
都内でも随一の名門高校『河辺良学園』に通う、高校二年生です。
そんな私には誰にも言えない秘密があります。それはクラスメイトからイジメを受けているという事です。
え? そんな事、友達や家族、先生達に言えばいいって?
そんなことできない! だって友達少ないし……、先生は頼りないし、クラスや家族にはちょっと問題が……。
でも、僕の学校に越してきたある先生が担任になってから、少し状況が変わってきたんです。そう、あのヘンテコリンな先生と出会ったときから…
・第一章 嵐を呼ぶ教師
「勇人! 起きなさ〜い!」
いつも通りの朝が来た。季節は初夏。そう、学校に行かなくてはならないという、気だるい朝が。
「朝ごはん出来てるから! 早く顔洗って来てらっしゃ〜い!」
母親の呼ぶ声が聞こえる。早く行かなくちゃと思いながら制服に着替え、洗面所に立ち寄り顔を洗い、歯を磨く。
そして食卓へ。
「おはよう! ほらご飯食べなさい! そんで元気に学校行きなさい!」
狭いアパートなんだからそんな大声出さなくて良いのに、と思いながら目玉焼きの乗ったトーストを頬張る。
「足立先生、今日から産休なんだよね? どんな新しい担任の先生来るか楽しみだね〜!」
母親がそんな事言うもんだから思い出す、僕を救ってくれなかった先生の存在を。
気分が悪くなったため、適当に相槌を打ち、残りのトーストを頬張る。
「なに? そんなに学校に行くの楽しみなの?(笑)」
そんなんじゃない、これ以上したくない話をするのが嫌なだけだ。そう思いながら
「そうだよ」と答える。
「やっぱそうなのね(笑) じゃあお母さんお仕事行ってくるから、食器はシンクに突っ込んどいて」
そう言って母親は家を出た。
僕の母親は看護師だ。女手一つで僕を育てるために頑張ってくれてる。僕は彼女に逆らったり、迷惑をかけたりしたくない。だからイジメを受けているって事も言えない。
ぼーっと考えていたら学校に行かなくてはならない時間がやってきた。
外に出ると、蒸し蒸しとした嫌な暑さが僕を襲ってくる。
例えるならば、熱湯の熱さを冷風機に通して感じているようだ。
学校に着き下駄箱に行くと、やはり僕の上履きは無い。
きっと例の連中にどこかへ隠されたか、捨てられたかのどっちかだろう、と思いながら来賓用のスリッパを手に取り教室へ向かう。
階段の一段一段を登る度に鬱になる。きっと、イジメられている子はみんなこんな気分なんだろうな。
教室に着き、カッターナイフで削られた机に鞄をかける。
チャイムが鳴り、みんな席に座る。いつもなら、ちゃんと座るやつなんて数人しか居ないのに、今日に限って皆良い子を演じている。
それもそのはず、今日は新しい担任の先生が来るのだから。そんな事を考えていると、教室に先生が入ってきた。小太りで背の小さい五十半ばの教頭だ。
「皆さん、おはようございます。 やはり木下さんは今日も来ていませんか……」
教頭が口を開くと、生徒のひとりが
「石巻先生〜 今日、新しい先生来るんですよね〜?」
そう言ったのは海堂悠介。
野球部キャプテンであり、僕をイジメているグループの主犯格だ。
グループには他にも、悠介の彼女の石狩繭、石狩の友達の前田智美がいる。
「あ、はい… 実はもう来てもらっているのです。 桜井先生、入ってください!」
石巻先生がそう言うと、一人の大柄の男が教室に入ってきた。
見た目は筋肉質で、アップパングな髪型、『I♡新宿』と書かれたTシャツを着ている。
男は教卓に立ち、黒板に向かって自分の名前を汚い字で書いた後僕たちに向かって
「みんな! 俺の名前は桜井響大! 好きな女性のタイプは深田恭子、嫌いなものは嘘をつくことだ!」
静まり返る教室。
「あれ… 自己紹介下手だったかなぁ」
そう言いながら頭をかく男… いや、桜井先生。
どうせこの先生も僕を守ってくれやしないし、熱苦しい。
そう思っていた。あんな事が起こるまでは…
次回は7月9日を目標としています!
その時もどうか、ご拝読の程、よろしくお願いします。