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第1話 オシドリ夫婦は浮気夫婦  巣に卵が3つあれば2つは他のオスの卵、哀れなオスは他のオスの雛のために餌を運ぶ

 オシドリ夫婦と聞くととっても仲のいい夫婦で、浮気なんかする印象はありませんよね。

 でも鳥の夫婦、主にメスですが、は実に勤勉に浮気をするのです。実に勤勉にです。


 以下は行動生態学、特に動物の繁殖行動・繁殖戦略に造詣の深い女性教授の講義で知ったことです。


 女性教授はある島の鳥の巣の卵や雛の遺伝子を調べられたそうです。

するとなんと巣にある卵の3分の2は、番とは別のオスの卵だったのです。

 そこで女性教授は営巣中の番いの行動を調べました。

 するとオスが巣作りしたり巣で卵を温めている間にメスは餌を探すだけでなく、イケメンのオスを探していました。


 イケメンのオスを見つけるとメスはイケメンにお尻を突き出して交尾をねだったのです。

 営巣中のメスは実に勤勉にイケメンを探しては交尾をおねだりしていたそうです。

 つまりメスとしては、巣を作ったり雛にエサを運ばせるオスは最悪ブサイクでもいい、でも雛はイケメン・美鳥になってほしいという、オスにとっては涙が出る繁殖戦略をとっていたのです。


 色々な鳥は去年の番いが今年も番いになる事が多いです。

 それは愛し合っているから当たり前だろうって?

 残念ながらそんなロマンあふれる話ではありません。

 メスからすれば非常に合理的でシビアな理由です。

 要約すると、去年はこのオスはきちんと十分な量の餌を運んできた。毎年別のオスを探すのもメンドイ、やっと良さそうなのを見つけてもそいつが十分な量のエサをきちんと運んでくる保証はない。

 特にイケメン君などはメスからのお誘いが多すぎて自分の餌を探す時間もままならないほどなので番いの相手としては決して良いとは言えない。

 ならば今年もこいつに餌を持ってこさせて、大事な雛はイケメンから精子をもらってイケメン・美鳥に育てよう・・・だそうです。

 いやあご同輩いえご同鳥さん。オスは悲しいですなあ。


 話は変わってニホンザル。

 ニホンザルのメスは群れのオス全匹と交尾をしようと頑張ります。実にけなげに頑張るそうです。

 オスの前に、発情を示す真っ赤なお尻、オスにとって魅力的なそれを見せて交尾を誘います。

 すぐに交尾をしてくれればいいのですが、中々交尾をしてくれないオスも多いのです。そんなつれないオスに対してもメスは怒ることもなく、交尾してくれるまでじっと粘るそうです。

 オスが知らんふりをして横尾向くとメスはちょこちょこと動いてオスの顔の前に真っ赤なお尻を持ってゆき、再び交尾をねだります。

 特に、若いメスは中々交尾をしてもらえないので、研究記録の動画を見ているとメスが哀れに思えてきます。若いメスに「頑張れ」「挫けるな」と応援したくなりますし、交尾をしてもらえずに悲しそうにしている若いメスのその姿は実にけなげであり、いとおしくも感じられます。


 発情期が終わり、妊娠しおなかが大きくなったり、子供が生まれたりすると、メスは交尾したオスの前に行きこうねだるそうです「この子はあなたの子よ餌を分けて」

 交尾したオス全匹にそんな感じにねだって回るそうです。決してやり逃げは許しません。

 中々交尾してもらえずに悲しそうにしていた若いメスも、きっちり餌をねだります。餌を分けてもらえるまで交尾したオスに餌をねだります。

 それらの映像を見ていたら、結婚前は「守ってやりたい」と思っていたはかなげな女の子が、結婚後は「鬼嫁」になってしまったというドラマを見たような気持になりました。

 オスは、交尾すると妊娠後に餌をねだられる事が分かっていたので、交尾するのを避けようとしていたのですね。でも、発情を示す真っ赤なお尻を見せられ続けるとだんだん我慢できなくなって「しんぼたまらん」「いてまえ」となって「出来ちゃった結婚」で責任を取らされる。しかも、自分の子である確率なんて数パーセント程度なのに餌をねだられる。一時の欲情で、子どもが独り立ちするまで餌をねだられるオスザル。ニホンザルのオスも人間の男もアホだよなとつくづく思います。


 さて、話は進みます。次の主人公はニンゲンです。

 ニンゲンのメスは、ニホンザルとは反対に受精可能期間を隠したそうです。

 なぜそんなことをするのでしょうか。

 それは一回の交尾でやり逃げするようなオスを弾くためです。

 二ホンザルと違ってニンゲンは、子を何人か産んだ場合は育児期間が10年以上もあるので、その間安定して餌を運んでくるオスがメスとしては必要です。

 ですから安定して何回も交尾しないと受精しないように思わせて、その間にオスがどの程度の貢物を持ってくるのか、継続的に貢物を持ってくるかなどをチェックします。

 自分の言いなりになりそうなオスかどうかなど、オスの態度もチェックします。

 なにせ捕まえたこのオス1匹から一生餌を運ばせるのです。メスとしては慎重にならざるを得ません。


 さて、人間のメスは一生餌を持ってくるオスを確保したら、鳥と同じでイケメンや美女の子供が欲しくなるのでしょうか。

 男からすると、それは怖くて考えたくありません。

 なんか、タバコの害なんて怖くて聞きたくない喫煙者の気持ちが分かるような、悲しい気分です。

 以上、行動生態学、特に動物の繁殖行動・繁殖戦略に造詣の深い女性教授の講義を聞いてまとめたお話でした。

次回は第2話 「男はきれい、女は地味  女の方が綺麗というのは誤解・誤り」を投稿します。

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