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気ままに掌編  作者: 春山 隼也
9/12

 魔族。

 それは、はるか昔から人間が対立している種族。


 魔族は戦闘力が高く、魔族を超える人間族は中々いない。

 しかし、その戦闘力に、人間は技術で対抗してきた。

 様々な武器を作り、道具を作り、今もなお、魔族と人間は対立している……。


 そして、その魔族に去年、俺の妹がさらわれた。

 妹はそこらの女の子ではない。魔族を超えるほどではないが並みの戦闘力を持つ。

 暴れたりして、怒りを買ったりしないだろうか……。

 

 魔族にさらわれた人間は、大抵の場合、奴隷として働かされるのだそうだ。


 クソッ。


---


 俺は、妹を助けたい。


 その思いだけで、鍛錬を積んだ。


 俺は……強くなれるのだろうか。


---


 鍛錬を始めて一週間。


 そんなに早く成果が出るものじゃないのは分かっている。


 だが、悠長にしている時間も無い。

 いつまでも、こんなことだけで強くなれるのだろうか……。


---


 鍛錬、二週間目。


 成果は一向に出てこない。周りの人には焦りすぎだと言われている。

 このまま何もできずに終わるのは嫌だ。


---


 鍛錬を始めてから一ヶ月が経った。


 成果は満足できるほどではないが、ましな方ではある。

 しかしこのままでは何も変わらないのだろう。


 俺は魔族のいる地に向かいながら、実践で鍛えることを決めた。


 俺の旅立ちを応援する人は家族だけだった……。


---


 旅に出て一週間。


 俺は始めて、魔族の使役するモンスターと、戦った。

 戦ってみると俺は意外にあっさりと勝利した。


 もしかして俺は強いのではないのだろうか……。


---


 旅に出て二週間。


 俺は、窮地に陥っていた。

 焦りすぎたのだ。大分、魔の地に近づいたからだろう。

 モンスターは強くなり、俺は休む暇なく、戦闘を繰り返した。


 だが、確実に俺も成長している。それが、モンスターとの戦闘で実感できた。


---


 旅に出て三週間。


 俺は一週間前と、同じところでとどまっていた。


 修行のためここらのモンスターと戦闘を続けていた。

 成果はそこそこだ。


---


 旅に出て一ヶ月。


 俺は修行のおかげで一気に魔の地までたどり着いた。


 魔の地はこれまでとは違う。モンスターを相手するのはもう終わりだ。

 そう思い、俺は魔族の国に入り込んだ。


---


 少し町の方に進むと城らしきものが。

 人間たちに作らせたのだろうか……。


 さらに進むと何やら広場が。

 そしてそこには何人もの、魔族ではなく人間が。


「解放されたのか?」

 俺が疑問に思っていると、一人の男が近づいてきてこう言った。

「貴方も人間、ですよね。あの方には感謝せねば。我々を救ってくださったあの方に」

 男はそう言って城の方を指さした。


 その先には……

「あれ、俺の妹なんですけど……」

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