目的
「……」
私は一体何をしているのだろう。
現在時刻、朝8時。平日。
私は今、布団の中でうずくまっている。
いわゆる引きこもりだ。
---
今年で高校1年生になり、新しい生活が始まった。
一学期。
スタートは順調にできていた。
そして夏休みを挟み、二学期。
夏休み最終日。
溜まった宿題を徹夜でやろうとして、寝入った。
その後、起きたのは朝10時。
宿題も終わっておらず、一日ぐらいなら、と親の了解を得た私は二学期初日、学校を休んだ。
それが、全ての始まりであった。
---
次の日、私は学校に行った。
これで二学期の始まり。そう、思っていた。
その次の日、私は学校を休んだ。
一日ごとに休む。それが一週間で身についてしまった。
私自身、それを悪いことだと自覚してはいなかった。
---
次週は休む頻度が増えた。
一日行き、二日休むそのサイクルへと。
更に次週には、一週間に一度しか学校に行かなかった。
こうして私は学校に行かなくなった。
---
学校を休んだ私の一日は怠惰だと言える。
一日中好きな事だけやり好きなときに寝る。
生活はやがて夜型に……。
---
そんな生活を送って二か月。
流石にこんなことをしていてはならない。そう、親に言われた。
そうだ。私は学校に行かなければならない。
その時、始めてそう思った。
---
その後の私の生活は少し変わった。
学校に行こう。そう思い学校に行ける時間に起きた。
しかし、学校に行くまでに至ったことは一度も無かった。
そんなことを繰り返すうちに一つの疑問が……。
「何故私は、学校に行くのだろう?」
今まで、なんとなく言っていた学校。その真意を考えたことはなかった。
私は考えた。
勉強するためだろうか。将来のためだろうか。
色々な考えが頭を巡ったが、答えは出なかった。
そして、思った。
私自身、学校に行く意味が見いだせていないのではないか。と。
その考えを見つけたとたんに少し心が軽くなった気がした。
自分に意味のないものなのではないか。と、思うことで、学校に行かない。という行為を肯定できたからだ。
そして、思った。学校に行く目的が欲しい。と。
---
冬。年の切れ目。
ふと、思う。
私は今年何をしていたのだろうかと……。
ある日、一人のお客が来た。
幼馴染の友達だ。
彼はためらわずに私に聞いた。
「何で学校に来ないのか」と。
私は間を開けずに答えた。
「何で学校に行くのかが分からないから」
彼は少し驚いたようだ。
そんなことで悩むような人じゃないと思っていたのだろうか。
そして、彼はこういった。
「本当に分からない?」
私は頷いた。
「じゃあ、僕のために来てくれない?」
どういう意味だろうか?彼のため。私が学校に行くことで、彼のためになるのだろうか……。
「何で私が学校に行くと、貴方の為になるの?」
彼は答えた。
「君が好きだから」
彼の眼は私を真っ直ぐ見ていた。
「そっか。ありがとう」
---
私は次の日、学校に行った。
彼とは、恋愛関係になった。
それから、何度か学校に行きたくないを思ったが、彼のためと思えば学校に行けた。
私は知っている。今、私は彼に依存している。
何か、自分で理由を探さなければいけないと思う。
私は学校で何がしたいのだろうか。
私は将来何がしたいのだろうか。
私の目標は、何なのだろうか……。
まだ私は、私自身のやりたい事に気づけない……。