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気ままに掌編  作者: 春山 隼也
8/12

目的

「……」

 私は一体何をしているのだろう。


 現在時刻、朝8時。平日。


 私は今、布団の中でうずくまっている。

 いわゆる引きこもりだ。


---


 今年で高校1年生になり、新しい生活が始まった。

 一学期。

 スタートは順調にできていた。


 そして夏休みを挟み、二学期。

 夏休み最終日。

 溜まった宿題を徹夜でやろうとして、寝入った。


 その後、起きたのは朝10時。

 宿題も終わっておらず、一日ぐらいなら、と親の了解を得た私は二学期初日、学校を休んだ。


 それが、全ての始まりであった。


---


 次の日、私は学校に行った。


 これで二学期の始まり。そう、思っていた。


 その次の日、私は学校を休んだ。


 一日ごとに休む。それが一週間で身についてしまった。

 私自身、それを悪いことだと自覚してはいなかった。


---


 次週は休む頻度が増えた。

 一日行き、二日休むそのサイクルへと。


 更に次週には、一週間に一度しか学校に行かなかった。

 

 こうして私は学校に行かなくなった。


---


 学校を休んだ私の一日は怠惰だと言える。

 一日中好きな事だけやり好きなときに寝る。

 生活はやがて夜型に……。


---


 そんな生活を送って二か月。

 流石にこんなことをしていてはならない。そう、親に言われた。


 そうだ。私は学校に行かなければならない。

 その時、始めてそう思った。


---


 その後の私の生活は少し変わった。

 学校に行こう。そう思い学校に行ける時間に起きた。

 しかし、学校に行くまでに至ったことは一度も無かった。


 そんなことを繰り返すうちに一つの疑問が……。

「何故私は、学校に行くのだろう?」

 今まで、なんとなく言っていた学校。その真意を考えたことはなかった。


 私は考えた。

 勉強するためだろうか。将来のためだろうか。

 色々な考えが頭を巡ったが、答えは出なかった。


 そして、思った。

 私自身、学校に行く意味が見いだせていないのではないか。と。


 その考えを見つけたとたんに少し心が軽くなった気がした。

 自分に意味のないものなのではないか。と、思うことで、学校に行かない。という行為を肯定できたからだ。


 そして、思った。学校に行く目的が欲しい。と。


---


 冬。年の切れ目。


 ふと、思う。

 私は今年何をしていたのだろうかと……。


 ある日、一人のお客が来た。

 幼馴染の友達だ。

 彼はためらわずに私に聞いた。

「何で学校に来ないのか」と。

 私は間を開けずに答えた。

「何で学校に行くのかが分からないから」


 彼は少し驚いたようだ。

 そんなことで悩むような人じゃないと思っていたのだろうか。

 そして、彼はこういった。

「本当に分からない?」


 私は頷いた。


「じゃあ、僕のために来てくれない?」

 どういう意味だろうか?彼のため。私が学校に行くことで、彼のためになるのだろうか……。

「何で私が学校に行くと、貴方の為になるの?」

 彼は答えた。

「君が好きだから」

 彼の眼は私を真っ直ぐ見ていた。

「そっか。ありがとう」


---


 私は次の日、学校に行った。

 彼とは、恋愛関係になった。


 それから、何度か学校に行きたくないを思ったが、彼のためと思えば学校に行けた。

 私は知っている。今、私は彼に依存している。


 何か、自分で理由を探さなければいけないと思う。


 私は学校で何がしたいのだろうか。


 私は将来何がしたいのだろうか。


 私の目標は、何なのだろうか……。


 まだ私は、私自身のやりたい事に気づけない……。

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