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4話 その頃、イスト騎士団は①


時は少し遡り、ユエが騎士団を出てまずはローダスを目指していた頃――


「おい、これはどこにあるんだ?」


「頼んでいた物はどうなってる?」


――騎士団は大変なことになっていた。


騎士団は各部署に分かれて組織、運営されている。


騎士団長を頂点に副騎士団長、そこからは人事、経理と各部署に分かれていくのだが、その中に兵站(へいたん)管理部がある。


兵站管理部の仕事は騎士団の設備維持から備品の管理と多岐に渡る。


その受付の中を、まだ若い騎士達が忙しそうに走り回っていた。


彼らはあっちへこっちへと走り回り、書類と睨み合いながら次々とやってくる騎士達の相手をする。


数人で対応するも対応しきれず、用がある者が列をなして順番待ちするほどだった。


「え〜と、これは第二倉庫にあります。この貸し出し帳に記入を――」


「頼んで……えっと、所属部隊と名前をお願いしますっ」


それぞれに書類を取り出し確認や手続きをこなし、回ってこない順番に苛立つ相手に頭を下げる。


「おい、いつまで待たせる気だっ」


「す、すいませんすいませんっ」


中には次の仕事があるからと、仕方なく諦める者もいた。


それぞれの部隊から個人まで、多岐に渡る内容に対応する者達は内心半泣きしながら、ここにいない先輩を思い浮かべていた。


彼らも兵站管理部に配属された人間だ、昨日今日の話ではないし通常業務は出来る。


だが上に立って指示を出してくれていた者がいない今、部署の人間が全員で対応に当たっているのにそれでも手が足りないのが現状だった。


ほぼ一人で仕事を捌いていた頼れる先輩は今、ここにはいない。


先輩の制服は、昨日ひっそりと洗濯屋から届けられていた。


「おい、いつもいる奴はどうした? どうしていないんだ?」


それは普段からここを利用する者には当然の疑問だったろう。


――が、しかし。


「そんなのこっちが聞きたいですよ!」


あまりの忙しさに精神的にキていた若い騎士は、思わず涙目で叫んでいた。


「なんでユエさんをクビになんてしたんですか、騎士団(うち)は!」


「「「……はあ?」」」


ユエがクビになって、三日目のことだった。



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