episode1:地獄or異世界
一話ですが先日投稿した序章を読んで頂けるともう少し世界観が掴めると思いますので、まだの方は是非。
序盤なので若干説明くさいですが最後まで読んで頂けると幸いです。
クッソ...アッサシーノ一家の奴ら。
俺の大事なファミリーを次々に殺しやがって。あいつらも俺なんかに付いてこなければ生き延びれたものを...馬鹿野郎共が。あの世で説教だな。
しばらくそんなことを考えていると覚醒が始まる。
目を開くと視界がぼやけ良く見えない。
とりあえず床に寝ている上体を起こした。
真っ白な場所にいるようだ。
ここがあの世ってやつか、思ったよりも淡白だな。
そして自分の体を見ると死因となったであろう銃痕も見当たらず五体満足のままのようだ。
視力が戻ると周りに知っている顔の者達が横たわっているのが見える。ファミリーの構成員が皆俺と同じように気を失っていた。
「ハハハッ、お前らも地獄行きだったっか」
そんな風に笑っていると皆の覚醒も始まったようだった。先に起きた者は周りを起こしている。
一家の滅亡を嘆いている者や、地獄での再会を喜んでいる者たちと皆様々な感情を持っているのが窺える。
「ファーザー、ご無事で何よりです。」
後ろを振り向くと今では俺ともっと付き合いの長い白髪オールバックの副首領のマルコと幹部の面々が並んでいた。
「馬鹿野郎が、死んだからここにいんだろうが」
俺がそう返すと
「違いねぇ」と最年長の黒ひげを生やした幹部のルチアーノが自分の髭をさすりながら笑う。
ファミリーの全員が目覚めたと同時に俺らが固まっていた辺りの真ん中に爆風が起こり皆が円状になるように吹き飛び真ん中に昔一度フィレンツェで見たヴィーナスの絵画よりも美しいブロンドの長髪女性が突如として現れた。
会った事などはないが彼女が神だという事を察するには時間は掛からなかった。
するとその神らしきその存在は辺りを見渡し一瞬で俺の目の前に移動した。
それと同時に神を囲んでいる構成員達が神に向けて銃を向けた。
俺は右手をあげそれを制する。
全員がゆっくり銃を下ろすと彼女はニコッと笑い。
「君がこの集団のリーダーだね」と尋ねてきた。
俺は「そうだ」と言い頷く。
「よろしくねリカルド、私の名前はシェラール。君達とは違う世界の神様だよ。実はそこで色々問題があって...」
そう神は少し間を置き言葉を続けた。
「突然だけど、君達には異世界に転生して暮らして欲しいんだ」
「は!?」
今まで黙って聞いていたファミリーのメンバーも同様を隠せないよだった。少しの間若い連中がざわめいた。それも当然だ突然現れたワケの分からない女が荒唐無稽な事を言ってるのだから。
俺は懐から出した牛皮のケースから葉巻を出しヘッドをカットする。それを咥えると部下の一人がすかさずジッポーで火をつけた。ゆっくり時間を取り死後の一吸いをし、煙を吐き出した。
「嬢ちゃん、ヤハウェでもイエスでもない奴の頼みを利益なしで聞くほど俺たちは育ちがよくねーんだ。」
俺がそう言うとシェラールは指をパチンと鳴らし、俺らの円の真ん中に机と椅子が現れた。
「それじゃあこっちで話をしよ」
そういってシェラールはいち早く椅子に座り、俺も後に続き彼女と向かいの席に腰を下ろした。
話を聞くと...
彼女が創造した世界では魔法というものが存在し、その魔法を使うためのエナジーが不足しているらしい。
それが無くなると世界を保つ事が出来なくなるほど重要なものであること、そして俺らの世界ではそのエナジーを使ってなく、だから魔力を沢山持っている俺らの世界の人間を転生させる事が魔力を供給するパイプを作るためには丁度良い存在なのだとか。
それに目をつけたシェラールが俺らの世界の神に相談したところ死者で本人達の同意がある場合のみ転生を許可したそうなのである。
そうでなければ、この女神が適当に人を殺し勝手に転生させればいいだけなのだから。そこで時期よくまとまった数死んだ俺らに白羽の矢が立ったらしい。
「あんたの言いたい事は分かった。だが、俺らにそれを受けて何の得がある?」
俺は葉巻に手をかけて聞いた。
「貴方達は数え切れない悪事を働いてきた。まずこのままだと地獄行きは免れないわね。地獄は辛いわよ〜」
ニヤニヤしながら彼女は俺に脅しをかけてきた。
まぁ嘘は言っていないだろう俺たちの生前の行いで天国に行けるなど夢にも思っていない。
「俺らを脅す気か?」リカルドはそう言って神に向かって凄んで見せた。
「ハハハ、そんなことしないわよ! 言ったでしょう?あなた達の同意が必要だって。」
女神はまた口を開きこう言った
「それに貴方達には生前では手に入れられなかった力を神の加護として授けてあげれるわ。」
これは何とも興味深い話だ。個々人の性格や趣向に合わせた力をくれるそうなのである。
「そして何よりもまた貴方達はまたイーヴァル家として復活できるわ。」
こんな事言われたら引き受けるしかないだろう。
フッ...
ハッハッハッハ
「俺を交渉で丸め込むとは中々やるじゃないか嬢ちゃん、取引成立だ。」
そう言って机に押し付け葉巻の火を消した右手でシェラールと握手をした。
最後までありがとうございます。
マフィア達がきちんと話のできる方々で良かったです。
次回からやっと異世界行きます。