表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/25

4.違和感を感じる事が出来たのですね?

翌日。今日はミナヅキと二人で異常レベルの魔物の発生地点に向かう。

昨日のスケルトンの話を聞いてから、何か嫌な感じがする。

異世界知性体ビジターの死体が、魔物になる。


なんだろう。俺はルミアの眷属になった事で、死んでも魔物にはならないらしいが。

足取りが重い。


「はあ……」


深く溜息をつく。ミナヅキが声を掛けてくる。


「どうかなさいました?体調でも悪いのですか?」


「いや、なんと言うかさ…」


ルミアもラニも、この世界の法則と考えて一切疑問を持たなかった。

きっとミナヅキもそうなんだろう。けど、それでも誰かに話したかった。

この違和感を共有したかった。


ミナヅキに、昨日教えて貰ったこの世界の異世界知性体ビジターのスケルトンについて話す。


「……」


無言で、困った様に首を傾げるミナヅキ。

ああ、やっぱりミナヅキもこの世界の人だからわからないんだろうな…


「シノ様。魔物の生まれる過程を聞いて、違和感を感じる事が出来たのですね?」


「へ?」


思っても見なかった返答。

ミナヅキは、嬉しそうな顔でこちらを見ている。


「ああ、そうですか。そうですよね。ルミアはいい召喚をしましたね!まさかシノ様が世界から外れたなんて!」




■■■■■




魔物の発生地点までまだある。歩きながら、ミナヅキが先程の話の続きをしてきた。

世界から外れる、とは何か。


「順を追って話しましょう。前に、この世界の召喚と魔法について話しましたね?」


「言ってたな」


何かをこの世界に呼び出し適応、固定してしまうのが召喚。

一時的に他の世界の法則だけを持ち込むのが魔法。


「バケツを想像して下さい。色のついた筆を洗う行為が、『魔法』。この世界は他の世界の法則に汚染されています。いずれ真っ黒に染まりこの世界は滅びてしまいます。しかし、人間は魔法を使うことを止められません」


「いきなり大きな話だな。なんで止められないの?」


「精神。個々の持つ力自体が魔法であり異世界だからです。生きる行為自体が、世界を汚染する行為。滅びに向かわせているのです。ゆっくりと、ですが。だから…」


一息置いて


「滅びを抑制する為に、他の異世界の者を、適応させてこの世界に呼び込む。バケツに綺麗にした水を注いで、誤魔化す行為。それが人間たちの多くが行う『召喚』の本来の意味です。世界に疑問を抱かず、そのまま朽ちて世界の一部になる。長い年月で誰もが忘れていますが。世界は広がり続ける事で汚染から逃れているのです」


「本来の意味ねえ」


相変わらず、ミナヅキの話が壮大すぎてよくわからない。

けど、なんとなく聞いた事がある話にも思える。

俺の世界でも、宇宙は広がり続けていると聞いた事がある。

召喚でそれをやっていると言う話だろうか。


しかし、適応の話とどう繋がるかわからない。

ミナヅキは俺に話したくてしょうがないらしく、どんどん話を進める。


「なんとなくわかればいいです。世界は、この世界に適応させ、世界の一部となった異世界知性体ビジターの力。世界はバランスを保つ為、無駄な知性体を間引く為。死骸に限らず、死んだ精神は世界に還元され魔物になるのです。更に言えば」


「更に言えば?」


異世界知性体ビジターを大量に召喚し、殺し合わせる。世界に還元されるはずの、その経験値を死んだ異世界知性体ビジターに注ぎ込む事で強い魔物になる。これが近年の、唐突に強くなる魔物。即席魔王。唐突に現れる新魔王発生の基本プロセス。召喚の悪用による異常速度での経験値の獲得。精神の拡大。特に無限衆と名乗る者たちの仕組みです。前に私が会った時の無限衆も、ゾンビ系の魔物だと名乗ったらしいですね?」


蠱毒みたいなものだろうか。

異世界知性体ビジター同士を殺し合わせて、新魔王が生まれる。

吐き気を催す内容。しかし、聞いていく程に、先の件以上の違和感を感じる。


「スケルトンは、間違いなく新魔王生成の際の残りカスでしょう。そして、同時期に依頼された今から行く魔物は、間違いなく新魔王の類でしょうね」


と、ミナヅキは満足した様に


「ふふ、ついつい話し過ぎました」


「で、世界から外れるってのは?」


「ごめんなさい、本題でしたね。この世界にあって、その精神が適応から外れる。異世界から来たどうかに関わらず、知性体が世界の支配から開放される。それはつまり魔王。超越者の証。世界の管理者たる大魔王と同じ視座。ルミアはまだ気付いていませんが、力は相応の物を既に持っています。そして、眷族となったシノ様が気付けたと言う事は…ルミア自身ではないものの、その延長線上に魔王と同等の精神の質が発生したと言う事。魔王となる資格を得たに等しいのです。魔王候補ではなく、真に魔王を名乗る準備が出来ました」


「適応から外れると魔王の資格になるのはわかった。けど、なんでそれをルミアに直接教えないんだ?」


ずっと聞いてて一番の違和感。

なんで、それを知ってて今まで言わなかったのか。


「それが、魔王のルールだからですよ。違和感も感じていない、世界の法則に塗れた者には明かせません」


「おっけ。魔王ルールがわけわかんないのは知ってる。けど前さ、新魔王のトリドリって奴倒した時。魔王の証を倒す前に奪うのはルール違反だって言ってたんだよ」


「そうですね。奪えないはずですよ?」


「倒した経緯を誰もミナヅキに言ってなかったんだな…俺さ、魔王の証奪えたぞ?ルミアに渡したら、魔力に変えて撃ってた」


「え?」





え?ってなんぞ。

ミナヅキのキョトンとする顔。俺の方がわけがわからない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ