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18.配下的な意味ではない。正当な魔王の眷属

俺の部屋の隅にあった椅子にちょこんと座り、当然の様に果物カゴにあったバナナをほうばるハープ。

典型的な魔女ファッション。帽子をテーブルに置いている。

あのバナナ、お見舞いの品だろ。




「あら。ラニは鍵も掛けずに行ったのかしら」


「鍵が掛かってなくても、こんな辺鄙なとこに建ってる家に勝手に入ってくる奴がいるとは思わなかったんだろ。しかも中にはやたら強いのがいるんだ。俺も今この瞬間まではそんな馬鹿いないと思ってたよ」


「もぐもぐ…いいバナナです。ごちそうさまでした」


満足げな表情で、手を合わせて果物カゴに礼をするハープ。


「当然の様に平らげたぞ。食べ終わった時だけ口調変わるなこいつ」


「で、真面目な話。お姉様に会った事もないのに声帯模写してくる辺り嫌な感じなのだけど。前も聞いたけど何者なのよ」


ルミアは室内だが、グングニールを手に取っている。ハープを警戒している様だ。

まあ、わからいでもない。こいつの察する力って得体が知れないし。

ハープは水筒を取り出し水を飲みながら


「…ふう。まあ待て。その件の説明よりも、先に聞きたい事がある。新魔王連合の魔王を一人倒してくれただろう?そいつはなんと名乗っていた?」


こいつも自分の話したい事からしか話さないタイプだな。

とりあえず、あの時の事を思い出す。


「えーと無限衆の新魔王トリドリとか名乗ってたな」


「そうそれだそれ。無限衆。最近の新魔王連合のトレンドの最先端を行く、対魔王戦闘特化の奴らだ。魔王級二人で倒して欲しかったから、そこの大魔王の末娘と長女魔王のいるパーティに頼んだつもりだったのだが、どうしてこんなに苦戦しているのだ」


「お姉様が駄目になってしまったのよ。なんか勝手にお酒を飲んでて」


「ああ、長女魔王な。あいつ酒に弱いからな」


んん?あれ?違和感。いや、違和感と言うか


「ハープって、ミナヅキの知り合いなのか?」


「知り合いどころか元学友だ。マブだ。そう説明しなかったろ?」


「お、おう。説明されなかった」


びっくりする程わけのわからない返しをされた。狐につままれたとのこの事だ。

しかし元学友か。


「まあ声帯模写が出来たのも割と貴方たちの事を知ってたのも、あくまで事前情報あっての察する力だ。疑問は解けたか?解けたな。にしてもあいつ駄目だな。新魔王討伐を何度もしてると聞いたから依頼したのにがっかりだ。それに比べて、異世界知性体ビジターよくやってくれた」


「お姉様の知り合いだったのね。人の話を聞いてる様で聞いてないところがそっくりだわ」


ルミアの評。わからいでもない。

勝手に話を進め、俺を見て頷くハープ。


「大怪我をした様だな。身体に至っては魔族の血肉で補填された様だ。魔族、ないしはキメラと言っても差し支えない」


俺の身体がルミアの血で補填された事を言っているのだろう。

って言うか、詳しく聞かなかったけど魔族みたいな扱いになるのか。


「キメラなんて低俗。不敬だわ。せめて、配下的な意味ではない。正当な魔王の眷属となったと言って欲しいわ」


「これは失敬。いやしかし、思わぬ誤算だな。正当な大魔王の血筋、末娘の眷属が、旅立って間もないのにもう生まれるとは。しかもそれが異世界知性体ビジターとは。新たな時代の産声を聞いている様だ。心から祝福しようじゃないか。おめでとう」


「あ、ありがとう。けど、あんまり大げさに言わないで欲しいわ」


頬を赤らめるルミア。なんだこいつ最近可愛いな。いや見た目は最初から可愛かったけど。

しかし、そこで俺は疑問する。なんとなく、俺の想像よりも話が大きい気がする。


「なあ、眷属ってのはさ、ルミアの配下扱いでルミアの魔力なしで動けないって意味だよな?」


俺が言うと、ルミアとハープがさっきまで笑顔だったのにいきなり真顔になる。

ハープが眉根を寄せながら


「おい、眷属の意味を知っているか?」


「配下だろ?部下的な。生涯ルミアの身の回りの世話をする立場みたいな感じ?ちゃんとした意味は知らんが大体合ってるだろ?」


ルミアが真顔から突然顔を真っ赤にして小刻みに揺れている。

なんだどうした。


「…おい異世界知性体ビジター。眷属は確かに、そういう意味でもある。が、大魔王の末娘が血を分けると言う事はもっとだな、こう。例え緊急時であってもだ、大変な事なのだ。非常に大変な意味を持つので医療関係者とかもおいそれと高位の魔族に血の提供を頼めないのだ。わかるか?」


「つまり?」


ハープが、ちらちらルミアの方を見ている。ルミアは真っ赤な顔からの何故か涙目。

逡巡しながら、ハープが


「眷属とは家族と言う意味でもあるのだ。今回の場合は、配下よりもこっちで…つまり夫婦的な意味での契りを交わしたに等しいんだよ!私に言わせるな!流石に酷いぞ!」


「…え?それってつまり」


「もう無理!!!!!!」


ルミアが顔を両手で覆い、窓を開けてプカプカチェアーで飛び立って行った。

呆気にとられる俺。


取り残される俺とハープ。とても気まずい沈黙。

春風トリックを使った時の様に、一瞬がとても長く感じられる。




しかし、その沈黙は長く続かず、部屋の扉が開き


「ただいまなのです!おや、お見舞いの方もいるのですね!ルミアさんが飛び出して行きましたが何かあったのですか?シノさんがデリカシーのない事を言ったに一票なのです!」


合ってる。

評価ありがとうございます。大変にモチベーションに繋がります。


話数も20近くなりましたが、アクセス解析を見ていると1話2話以降に繋がらないパターンが多いので全体的に見直した方がいいのかなあ、と考えてます。


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