15.コードレスバンジー
高くなっていく足場。
新魔王トリドリの破壊神、無限築城。
ナイフで縛られていた人質の縄を切り、急いで飛び降りる、が。
うわ急いだつもりだったのにやべえすっげぇ高くなってる!
何本も棘の様なものが生えた石塔の頂点。
俺のいる場所は予想以上の高さ。プールの飛び込み台みたいな場所から飛んでしまっていた。
コードレスバンジー!?冗談じゃない!
人質を抱えながら落ちていく俺。
「うあああ!!!ちょ、ルミア助けてくれ!!!!!」
言うも、塔から突き出した何本もの棘がルミアに向かっておりそれを空中で避けている最中の様で
「今無理。役に立たない、そこのラニ。シノたちを受け止めるか無理なら落ちたらすぐ回復しなさい!」
「わ、わかったのです!」
エクスなんとかちゃんを構えながら地上で待つラニちゃん。これ受け止められないから回復するパターンか?
走馬灯かわからないが妙に冷静に考えてしまう。時間がゆっくりに感じる。
あー、これ痛いのかな。ルミア大丈夫かな。ミナヅキ置いてくりゃよかったかな。
そもそもなんですぐ飛び出して人質助けたんだっけ?咄嗟に動いちゃったけど割と凄くない俺?
って言うかマジもう地面近い辛い死んじゃう。頭から落ちない様にだけはしないと…
「エクスなんとかちゃーん盾盾盾盾盾とにかく盾重ねがけ!!!」
ラニが早口で何度も俺と冒険者に魔法をかける。
俺は程なくして地面に接触する。尻からいった。
盾はそのまんま、名前からして防御力が上がる魔法だったのだろう。
「うお、いてえ!!!いてえけど生きてる!!!」
「あああシノさんよかったのです!治癒!」
「おいラニちゃん今回はありがとう!本当に死ぬかと思った!」
なんとか死なずに着地は出来たが、ルミアへの攻撃は以前続いている。
『ふはははは、魔王の証頂く!我が無限築城は夜の間であれば魔力続く限りどこまでも伸び続け貴様を追い込む!』
「設置型の破壊神の様ね。面倒な。けど、操ってる貴方からはさほど力を感じない!」
塔の上部に立ちながら高笑いをするトリドリ。
ルミアが声を張り上げる。
「どういう出の奴か!知らないけど!田舎の新魔王なんてものは破壊神連れてても高が知れてるのよ!」
うまく棘を避けながら相手の塔よりも高い場所まで上がって行き
「我が名は大魔王の末娘ルミア!新魔王トリドリ、覚悟!口上終わり!抉れ!ラグナロク連射!!!」
上空から高出力の魔法が塔を撃つ。光に目が眩み、余波で吹き飛ばされそうになる俺たち。
「やっぱり力はそんなに強くないから効いてはいるわね!」
しかし、塔は巨大。削るに至らない。
塔が再生していく。
『ふははは、そもそもが魔王未満如きの貴様の攻撃で崩れるはずがなかろう!まさか魔王が泥酔状態とは!なんという幸運か!』
「く…っ!なんでこんな時にお姉様が駄目お姉様になってるの!」
あれだけ動いても振り落とされもしなければ、起きもしないミナヅキ。
珍しく感情的になりながら相手を中心に旋回し、ラグナロクの光を相手に当て続けるルミア。
しかし、トリドリの塔は撃っても壊しても、すぐに再生し棘が沸いてくる。
『放つ力で格下と侮ったな大魔王の末娘!我が破壊神はこの程度、即座に再生するぞ!』
「ううう、さっきから私より魔王っぽいこと言って!うちの教えは強くなるまでは一撃で勝てる相手とだけ戦いなさい、なのよ!こんな面倒なの嫌よ!」
大魔王過保護か。
劣勢気味で言い訳みたいなのをはじめるルミア。
『何よりだ!貴様のその魔王の玉座と、私の魔王の仮面では溜め込んだ力が違う!更にこちらは破壊神を連れている!旅立って間もない大魔王の末娘よ!貴様さえ倒せば、そこの泥酔と併せて二人分の魔王の証が手に入る!』
「悔しい!不敬!なんなのこいつ!さっきから別にイーブンな感じなのに上からで腹立つわ!」
さっきから意外と余裕あるなルミア。
と、思ったが実際の限界は知らないがずっと出来るものでもないのだろう。
棘を避け続けるルミアの顔にも徐々に疲れが見えてきた。
俺とラニは完全に傍観者になっていた。
棘も俺たちは戦力外だと思っているのか襲ってこない。
「あああ、シノさんどうしましょう。こんなのがいるのを放っておけないのですが…」
しかし、俺たちにはなんとも出来ない。
何も出来ないまま、ルミアが避け続けるのを黙ってみているしか…
いや、待てよ。
「おい、ラニちゃん!」
「はい!なんですか何か思いつきましたか!」
「思いつきはしたけどさ………結構危ないんだけど本当に俺のことって死んでも蘇生出来るんだよな?」
頷くラニ。
俺は覚悟を決め、ラニに作戦を伝えた。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
もうすぐ第一章終わります。そこからは更新ペースゆっくりになります。
宜しければ気長にお付き合い下さい。




