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14.新魔王連合

冒険者の男性はボロボロだったので、宿のおじさんの回復魔法で治療を受けている。

俺は酔い潰れて寝ているミナヅキを背負いながら、ルミアとラニと冒険者の言っていた場所へ向かっていた。


「十中八九、目当ての新魔王でしょうね。お姉様が来ただけで魔王が宿に泊まってるってわかるってことはそれなりに察知能力があるはずよ」


「おいおい、こんな状態のミナヅキ連れてって大丈夫かよ。勝ち目なくね?」


「こないだみたいなのが出たら、私は上空に逃げるから。シノはお姉様を抱えて逃げて。宿は場所が割れてるかもしれないから、リクトビウオがいた辺りで落ち合いましょう」


既視感デジャブが凄い上、負ける算段をしているのです!ルミアさんはそれでも大魔王の末娘なのですか!」


「大丈夫。いけると踏んだら戦うし、無理なら逃げるわ」


いやしかし、本当に大丈夫かこれ。




■■■■■




程なくして謎の物体が見えてきた。まだ距離はある。

辺りは暗いが、月明かりで地面から人くらいのサイズの棘?とにかく三角錐みたいなのが突き出しているのが見て取れる。

近くに、多分件の捕まった獣人の冒険者が棘に縛られている。気を失っている様だ。

ルミアがそれを見ながら魔力を抑える指輪を外し


「ここから撃っちゃわない?口上は多分届くわ」


「止めて欲しいのです!人質もいるのです!蘇生出来てもトラウマになっちゃうのです!」


「トラウマになりかけたんだよなあ俺は」


「む、むしろシノさんが魔法使ってさっとあの人だけ連れてこれないのですか?」


「そして逃げるのね」


「いやそれでもいいけど、それこそそれやったら村が危なくね?魔物避けの結界とかで防げるのか?」


「勿論強い奴は無理よ。逆に言えば、駄目な時は駄目だからこの辺で生活してるなら逃げ方くらいは心得てるはず」


「最善を尽くしてからにしましょうよ!あの人を助けてから撃てばいいのです!生きてる内に頭を働かせて欲しいのです!」


割と緊張感なくわちゃわちゃしていると、棘の前に道化師みたいなお面を被った奴が突然現れた。

こいつが冒険者を捕まえた奴だろう。周りから目に見えてわかる黒いオーラを纏っている。


『緊張感のない。魔王は酔い潰れて寝てる様だが』


「おい、気付かれたぞ。いやそりゃ気付かれるか」


「ナイス自己完結ね」


「いやほんともうこの人たち!自分たちは逃げられると思って!」


ラニが文句を言いながらエクスなんとかちゃんを構える。

道化師はラニに向かい、恭しく礼をする。


『私は新魔王連合、無限衆が一人、種族グリードゾンビ。新魔王トリドリ。貴様らの魔王の証を頂く為に呼び出した。ここで死ね』


「…すぐ動ける様にして。大層な名前だけど、ゴブリンキング程の力を感じない。あれなら私の攻撃も効く筈だから。口上終えたらすぐ来るわよこいつ」


ルミアが小声で耳打ちしてくる。

わかるわかる。こいつ多分本気でやばい奴だ。

春風トリックを唱え、ミナヅキをルミアに預ける。

ラニだけは真っ正直に会話を続けようとしている。


「何なのですかその無限なんとかと言うのは!」


『そういうのはどちらかが倒れた後に聞くものだ。喋れる状態であればだがな!行くぞ!』


瞬間、ミナヅキを椅子に乗せた状態でルミアが上空に飛ぶ。

俺は走って人質の元に向かう。しかし、人質の元に辿り着いた時点で


「な、なんだこれ!!!」


地面がもの凄い勢いでせり上がってくる。トリドリと名乗った魔王候補の周りを含め、何本も巨大な棘が出てくる。

いや、棘なのか?昔の万博のモニュメントみたいな?何本も出てくる。七支刀を想起させる。

とにかく、奇怪な形の何かが地面から出てくる。




『これぞ我が破壊神、意思ある石塔!名を無限築城イチヤジョウ!』




巨大な、何本もの棘を生やした不気味なフォルムの石塔がそびえ立つ。

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