遠い記憶の目覚め
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人の記憶というものは曖昧で不思議な物だ…。長い年月が経てば経つほどその記憶はある程度失われ、そしてなんでもないようなことが切っ掛けとなってその記憶を思い出すことができる…。
人というものは自分の幼かった頃の記憶を一体どれほどまで覚えているものなのだろうか…?
***
「ぁ…。」
見覚えのある部屋に、俺はいた…。6畳くらいの広さの和室で、その真ん中に俺が座っている。そして俺の目の前には色とりどりの積み木が積んであった。周りに置いてある家具、玩具、全て知っている、見たことがある、でも…。
_ここは…どこ?
見覚えはあるが、はっきりとは思い出せない…。突然現れた光景に困惑しつつ、俺はその場で立ち上がる。
_…あれ?
立ち上がってみたはいいものの、妙に視線が低いような気がする。目の前に積んである積み木が自分の胸の高さまである…。この部屋に置いてあるちゃぶ台が自分の顎の高さまである…。
今度は外に出ようと考え、戸の方に目を向ける。その時、突然横開きの戸がガラリと音をたてて開いた。驚いた俺はそのまま硬直していた…。開いた戸の向こうにいたのは一人の女性…まだ20代前半くらいだろうか?若い顔付きの女性はどこか悲しげな瞳で俺を見つめ、こちらへと近いてくる。そして…
ガバッ!!
「!?」
突然俺を抱き締めた。
_どうして、これも…。
この光景にも覚えがあった…だが、やはりはっきりとは思い出せない。俺はどうしていいか分からず、硬直していた。それでも、女性は俺を抱き締め続ける。そして、痛いくらいに抱き締めてくるこの女性は小さく息を吸って…呟くようにして何かを言っていた。
「_私が犯してしまった罪のことも…ただ、その時までは私のことを…母さんと呼んで…お願い…。」
頭が混乱していたため、謎の女性の呟きを聞き取れたのはほんの少し、でも、今聞いた言葉にも覚えがあって…
だが、結局何も思い出すことはできなかった…。
***
キーンコーンカーンコーン…。
今日一日の授業の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響く…。数学の担当教師から発せられる誘眠効果付きの超音波(授業してるだけ)のおかげでいつの間にか眠らされていたらしい俺はチャイムの音で目を覚ます。
口から漏れそうになる欠伸を噛み殺しながら、寝起きで半開きの目を時計に向け、授業が終わっていることを確認する。
背伸びをし、今度こそ口から欠伸を漏らしてからさっきまで見ていた夢のことを思い出し、呟いた。
「私の犯した罪…。」
小さく、周りに聞こえないように、ポツリと呟いた…。周りからしたら、起きて突然独り言でこんなこと言ってれば中二病だと思われるだろう、だから誰にも聞かれないように呟いたのに…
「なんですか?それ。」
隣の席に座る俺の中学からの親友、荒木明人には聞こえていたらしい…。
「お前って本当に最低だな!空気読めないとかお前そのうち友達無くすぞ?」
「なんで僕が唐突にこんな辛辣な言葉を浴びせられるんですかねぇ!?」
明人は俺の逆ギレの態度に理不尽だと言わんばかりだ。
「なんでってそりゃ…お前だからだよ。」
「…なんですかその理不尽な理由は。」
「仕方がないよ、明人だもの…。」
明人はまだ何か言っているが、まぁ…無視する。
_さっきの夢は何だったのだろう…。
所詮はただの夢、授業中の居眠りで見た夢をここまで気にするのは自分でもバカバカしいと思う…たが、それでもあの夢をただの夢と割りきることができない。何か、胸騒ぎがする…。
_落ち着かない、少しイライラしてきた…。
「なぁ、明人…。」
「…なんです?」
「帰りにジュース一本俺に奢って。」
「あんたよくこのタイミングでそんなこと言えたな!」
まぁ、そうだよね…。
***
「それで、魔理沙がねww」
「あ、霊夢!その話は内緒のはずだぜ!?」
「いいじゃないの、別に減るもんでもないんだし。だからね、私はこう言ってやったのよ。アカン、魔理沙…それバナナやない、あんたの髪の毛や!ってねwwwwwww」
「ブッハ!ww何してんですか魔理沙さんwww」
「ア~~~~ッ!!!言いやがった!言いやがったなこの貧乏ペチャパイ紅白野郎!!」
「いや、その前にどうしたら自分の髪の毛をバナナと間違えることができるんだよ!?」
「アアァァッ!ヤメロ!!もうその話はやめてくれぇぇぇ!!!」
下校途中、俺達4人は大笑いしながら歩いていた。この辺りは住宅街になっているのでこんなに大声で笑ってたら近所迷惑になりかねないのだが…。
「全く、うるさいわねぇ。別に減るもんでもないんだからそこまで大声で絶叫しなくてもいいじゃない。」
「減ったわ!私のメンタルという名のHPがごっそり減ったわ!!」
魔理沙は両手で頭を抱えながら涙目で霊夢に突っ込みを入れる。
「大体、あんた私のことペチャパイって言ってるけどあんただってペチャパイじゃない!壁じゃない!」
「膨らんでます~、私の胸は霊夢よりかはあります~!お前の断崖絶壁の胸と一緒にしないでくれだぜ。」
「あら、私にだって胸はあるわよ?あんたのなんかより大きいんだから。」
「…どっちもどっ…いや、なんでも無いです。」
どっちもどっちと言おうとしたが、二人から鬼のような眼力で睨まれたので黙る他なくなった…。
…住宅街の真ん中で、こんな大声で胸の話してて恥ずかしくはないのか…
「なそろそろやめないか?一応俺たち男子もいることだしさ、さすがに恥ずかしいだろ?」
「ふんっ、男子が二人いる程度で胸の話していちいち恥ずかしがるなんてバカバカしいぜ。」
「男子なんてそこら辺に転がってるジャガイモと一緒よ、恥ずかしいとは思わないわよ?」
「あ、ジャガイモですかぁ…。」
結局、魔理沙と霊夢の胸の大きさ争いは止まず、途中で別れるまで胸の話を聞かされる羽目になった…。
***
「ただいま~」
俺は玄関の扉を開けて、靴を脱ぎ、リビングに向かう。
「あら~、カノンおかえり~!」
リビングに入るや否や、妙にテンション高めの声が耳に入る。
「ねぇねぇ聞いてよカノン~!今日ね、宅配便の人が来たんだけどね、私その人にお嬢さんなんて呼ばれちゃったの!私ったらそんなに若く見えるかしら~!」
気持ち悪いくらいテンション高いのはそれが理由か…四十手前のおばさんが何言ってんだかなぁ。
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、コップに注ぎ、口に含んでから心の中で呟く、すると、母さんは目を細めて…
「今あんた四十手前のおばさんが何言ってんだ…って思ったでしょ。」
「…ングッ!」
喉に流しかけていたオレンジジュースが引っ掛かり、喉から奇妙な音が鳴った。
「ケホッ…なんで、ケホッ!ケホッ!」
「ふ、女の感…かしらねぇ?」
母さんは俺の疑問にドヤ顔混じりの顔で笑みを浮かべながら格好つけてゆっくりとした口調で答える。
「女の感って…。」
その歳して女の感なんて言っちゃうかぁ…。と、少々呆れながらオレンジジュースを飲み干す。
「…あんたまた失礼なこと考えたでしょ、その歳して…とか。」
「あんたはエスパーかなんかかな!?」
「ふっふっふっ、女の感よ。(ドヤァ」
「その言葉万能かよ!?」
ドヤ顔を浮かべる母さんに、俺は思いっきり突っ込みを入れた…。
動画…ゆっくり茶番の編集をしなければ…ッ!!