無間の闇 人間電池として幽閉される
すぐさま軍法会議にかけられた。
私はいっさい命令違反をしていないが私のしでかしたことは彼らにとって深刻だった。
私にとってそれ以上に深刻だったのは、反抗が失敗していたことだ。
実は15発打たれた銃弾のうち1発ははずしていた。これは、隊長をねらったものだったが、隊長は主人の一部と見なされるようで危害をくわえることはできなかった。
かなり強力な魔力を手にした私でも、隷属の首輪の魔力には抗えなかった。このアイテムは非常に強力なのだ。
このアイテムを何とかしないと復讐もできやしない。
軍法会議の結果私は、魔力供給施設の地下に幽閉され、魔力を吸われ続けることとなった。
護送は慎重に行われた。私は両手足、顔、あらゆるところを封印され、いっさいなにも関知できぬまま、ただ運ばれた。
いつ輸送が終わるのだろうと神経を研ぎ澄ませていると魔力を吸われ始めた。今や私は魔力をはっきりと感知することができた。
そして訪れる無限の闇。魔力の流れは常に一定で、何も心を乱すものはない。私は安心していた。私を痛めつけるものがもう無いことに。私はゆっくりと休めるのだ。
その期待は誤りであったとすぐ気づく。
退屈だ。
私は刺激に慣れすぎていたのだ。
痛みも快楽もない無間の闇。
それはわたしにとって酷な時間だった。
ひまだひまだひまだ。
なにもないなにもないなにもない。
私はある恐ろしい考えにとりつかれた。
私は不死なのだ。もしかしたらこのまま永遠にこの場に幽閉されるのではないだろうか?
人類が死滅したら隷属の首輪からも解放されるだろうか。
いずれにせよ、残りの人生は真っ暗だった。無限に無間の闇の中、誰にも知られることなくただ生き続ける。早いところ正気を失ってしまいたいが、様々な拷問で培った強靱な私の精神はそれを許さない。
わたしの人生はここで終わるのだ。終わりの無いのが終わり、というフレーズが頭の中をよぎった。現実世界で好きだったマンガのフレーズだ。
無限に無間に落ちていった。
私の世界はここで終わり。
いつかは私も気が狂うだろう。そうした楽になれる。
そうしたら。
私はただ待った。
暗闇の中。
この退屈を苦痛と感じなくなる瞬間を。
誰かが助けに来てくれるという望みはとうに捨てた。
ある時急に魔力の吸収が止まった。
私の周りに何者かの気配がする。私は拘束具をはずされ、そして……、
「助けに参りました。姫」
身も心も女に堕ちた私にとって彼は紛れもなく王子様だった。
第一部「絶望」完
これから主人公無双が始まります。
もしよろしければ、現時点での、評価、感想、レビューをお願いします!