ナルとノイ ~片目の猫 ~
覚えてないの?
ぃぃょ
今度は僕が守ってあげる
蒼き澄んだ この世界
白き月の夜
星降る時
君に逢いに行くから
大丈夫
狼男じゃなぃょ
僕は猫
猫のナル
片目のつぶれた猫さ
片目を潰した僕を見つけた時
君は駆け寄り
抱き上げてくれた
あの時の君の可愛ぃ顔…
ママにだだこねて
家に連れて帰ってくれた
「可哀想…
片目が可哀想で
なのに放っておくの?
見てママ!こっち!
この子こんなに可愛ぃ目をしてる!
きれいな目をしてるょ」
嬉しかった
忘れずにずっと…
ずっと居たんだ
「ナル~ ナル! おいで 」
幼い君と遊ぶのは
とてもとても楽しかった
ノイは優しい子
ママにも優しい子になってね
って言われて育ったから…
そぅ
優しさは
目には見えない
祈りが通じた
願いが叶ったんだ…
ただし
約束がある
「心が心からキレイであること」
…
…
大丈夫か?
また君に逢いに行く
本当のこと話したら
君は怖がるかな…
ノイ…
「はじめまして
木原乃唯と言います。
こちらのサークルを選んだ理由は
えっと…
…人見知りを直したくて……です」
…
「やだぁ ノイ!
カチンコチンなんだもん、
こっちが緊張したわ」
「ごめん、ごめん …だってぇ」
「見た? ぃぃかもって人いた?」
「まだまだ そんな余裕なかったょぉ」
「だょね~」
新しい生活が始まった
新緑の晴れやかな春の日
乃唯は大学生になりました
「ねぇ ねぇ ノイはさ
どんな男の子が好み?
今までの彼氏とか…
私は 頭の良い人!
ここは絶対~譲らん 」
「…なるほど…」
「でもさ勉強 勉強ってばっかりしてきて
常識?ないのとか
自分は凄いってプライド高くて
上から目線てか
人を見下してるの
嫌だよね
無理なのかな…
性格も優しくて頭もいいって」
「え~いるでしょ
どちらも兼揃えた
王子の様な人だって
顔もイケメンだったりしてね」
「あ~私
美形より ちょっと可愛い方がぃぃなぁ」
「出てきた~出てきた~欲が!」
「う~ん…私は優しい人…
とにかく優しい人かな…
人の痛みが分かるとか
人の気持ちを考えて行動出来るとか…」
「ノイ!素敵~
ちゃんと、しっかりしてるんじゃん」
「ねぇスケジュール見た?
9月にさ 合同合宿がある~」
「楽しみだね~
準備とかもあるし きっとみんな仲良くなるね」
「新しいスウェット買いにいく?」
「行く行く~
家にあるの もはや寝間着だからね」
「だって夜のファイヤーイベントはジャージでって
なってたもんね、素敵な出会いがあるかもなのにさ~」
「わかる~やっぱりピンク系かな
可愛いく見え効果があるらしぃょ」
「やだぁ 抜け駆けか~?」
「白、やっぱりホワイトも捨てがたいょね」
「一緒に買おうょ
ゲット狙うんでしょ」
「ピンク派とホワイト派にする?」
笑い転げた
「あのナルって呼ばれてる子さぁ」
「成田くん?」
「シルエットはかっこぃぃのに
残念だょね?」
「そぅゆぅこと言わないでょ」
ノイはちょっとプィとした
「何~何~ノイ気になってる?
いつの間に~」
「ぅん…なんかね
これまでいろんな準備とかでさ
なんか成田くんが近くにいて
この前の雨の日なんか
あたし慌てて荷物落としちゃって
濡れたの一緒に乾かしてて
たわいもない話も
なんだろう
不思議な感覚…
こんな男の子とは
はじめて
やたら同士的かもなんだけど
なんか 落ち着くってぃぅか…」
黄色い花
たんぽぽが揺れている
綿毛が飛んでく…
どうか
遠くまで行けます様に…
ナル
猫のナルのぉ話
小さな小さな
まだ小さなナル
お父さんも
お母さんも
分からない
ただたくさんの仲間
群れの中に居た
いつもみんなから遅れて
ごはんにありつけるから
いつまで経っても
大きくなれない
だって
ナルは優しいから
つぃ仲間に譲ってしまう
お腹がグーってなるのに…
ナルはいつも空を見上げていた
そぅ…あの輝く月が
とても特別な
神様の様に思っていたから
「いつか…いつか願いを叶えて下さい…
お腹いっぱいごはんを食べたいな…」
そんな風に
空を見上げては
お願いごとをしていました
でもね…
ある日のこと
願いが叶うどころか
ナルに災難が降りかかりました
片目が…
潰されてしまった…
猫の世界を知ってる?
そぅ猫には縄張りや親分
あれ?
人間には縄張りって?
親分て?
あるっけ?
その親分のご機嫌は大事
ナルだって何をしたか?
分からない
きっと…
親分の好物を食べてしまって
横取りしたと思われたとか…
それとも…
親分の大好きな彼女を
寝取ったとか?
ぃゃ…それはないか
まだナルは子猫だし
でも
酷くない?
そんなくだらない理由で
て、ゆぅか
ナルは優しい子
そんな訳ない
きっと親分の勘違いか
濡れ衣だ
親分が
ナルにいきなり
大きな体で
頭の上から振りかざし
爪で目を引っ掻いたの
可哀想に
ナルは…
片目は瞑ったまま
開けられなぃ
きっと瞼の筋肉がやられたのかな…
それからも
ナルは我慢の連続
我慢して…我慢して
生きていた
親分の顔色を伺い
兄貴たちのぃぃつけを守り
それなのに
ポイって追い出された
ひとり
どぉして生きていこうか…
雨の中
震えながら
寒ぃなぁ…
お腹空いた…
記憶が…
意識が遠退く…
もぅ終わりかもしれなぃ…
「はぃ 本日の議長は僕
成田幹人です
4回目の今日は
心がキレイとは?
と題して議論をお願いします
例えば外国人の人に説明する時とか
どう説明しますか?
まぁみんなの思う
“心がキレイ”を
教えてください」
「優しい…」
「はぃ は~い
正直者~」
「ウソつかない!」
「自分より
まず周りの人のこと考えてあげる!」
「私はね、ママにこぅ教えられたの
人を誉めれる人になってね
人の喜びを一緒に喜べる人になってね
あたりまぇじゃんて思った
子供の頃はよくわからなかったけど
でもね
大人になるにつれて気付いていったの
なかなかそぅゅぅ人も少ないものなんだなと」
ノイが珍しく長々と静かに意見を言った
「妬みとかね」
「意地悪言う奴ね」
「ねぇ 世界が みんな優しかったら
平和になるんじゃなぃの?」
「ば~か ノイらしぃ
あんたみたいに子供がそのまま大人になったみたぃな子
貴重だわね」
「それでは国をひっぱれないとか?
優しさと強さ
どちらもなんて難しい?
人類をまとめることはできない?」
「人類!それまたデカいな」
「心がキレイとは…
…透明感
透明な心
全部見える…」
「…見える様で見えない
心がキレイだから
自分を抑えたり
はっきり言わない優しさとかもあるんじゃなぃ?
見えない心」
「透き通った美しさみたいな」
「ナチュラル?」
「心がキレイだと
顔が穏やか」
「笑顔
心が顔に移る」
「なかなか難しい
表現するのは難しいけど
…なんか
…分かった気がする」
「今日の議題 面白かったね」
「あ、私Aセットにする」
「え~じゃぁ あたしミラクルパンケーキとピーチティー」
「なんかさ 成田くん
心がキレイそぅ」
「はぃはぃ ノイはさ
成田くんがぉ気に入りなんでしょ」
「なんでょぉ」
ノイがふくれる
「ノイはさ 人に線引くってゆぅか
もちろんノイだから見た目はわからないょ
でもさ そうゆうとこあるでしょ
そんなノイが成田くんはさ
なんだろう…猫みたくなついてる?」
「にゃ~ん みっちゃんにだってなついてるじゃ~ん」
「やめろぉ~ くしゃみが出るわ」
「また来週、進路面談だね、ノイは少しは決めてるの?」
「ぅん…
人との繋がり…
…話
話が出来る
話すこと
もちろん手話でもぃぃの
コミュニケーション?
手話の勉強も始めてみようかなと
人の心に響く
難しいょね
考え方も好みも違うし
でも
その心が出来る頃
子供の心の成長期みたいな時に
いろんな話をして
教える
教えることが出来る人になりたいかなって」
「え~小学校の先生とか?」
「わからないけど そんな感じかな…
ぅ~ん…小児病棟の看護師さんとか?」
「ぃぃじゃん なんかノイらしいょ」
「ほんとに?」
「うん! ノイらしい」
『「中学生だったかな
「いくらママでも
いくら大人でも
間違ったことはあると思う!」
て言ったら
「ありません 生意気な!」
そぅ言われて
もぅ口なんて利かないと思った
なのに
私ったら
寝ておきると忘れるタイプ
「おはよう」て言っちゃった
でも気付けば いつからか
ママは
「間違ったことを言うかもしれない
けど 聞いて… 考えて…いらないと思ったことは
捨てればぃぃ」て言う様になってたの
私はママにいろんなこと
道徳的なこととかかな
教えてもらった』
「人の話!
人の助言は素直に聞くべし!ってね」
「そして 捨てるべし」笑
「あほ~捨てるな拾え~」
「じゃぁ 拾って蓋をしとくべし~」
「ダメ~蓋してちゃ~」
「ばか大事に蓋してとっといてるの」
「なるほど~」
人の話には耳をかたむける…
聞いてみるべき
もちろん
あなたの人生
あなたの世界
あなたが決断して
進むべきと思う
あなたのモノだから…
「みっちゃんは どぅ進むか考えてるの?」
「ぅん…
人…人間てさ
頭が良いのょね
脳が凄いのょね
まぁ犬や猫、
あ、カラスとか…も
なかなかぃぃ脳もってる?
じゃない?
カラスなんて
言い方悪いけど姑息な?
脳…
脳科学…?
人って
たくさん…たくさん…考える
いろいろ…いろいろ…思う
そんな生き物でしょ
ほら 例えば
よくある話
女性は一度に
たくさんのこと考えられるけど
男性はひとつのことしか
考えられないとか
もちろん人それぞれだろうけどさ
私もね
この前
考え事…
あれやこれや四つ程
一度にあったら
さすがに頭がグチャグチャして
あ~ってなって…
これか…男性の頭脳?
とか思った訳
脳から
出される
言葉…
言葉って
とても大事だと思うの
生活のいろんな場面で
学校とか
仕事とか
仲間とか
相手…
お客様…
言葉の選び方
話し方…
全然結果が変わったりするんだって
喜ばれたり
怒られたり…
話し方も大事
その言葉の
どれを選ぶかとか
回転よく言葉を出す
脳力でしょ?
能力か…
人間は脳が優れていて
だからこそ
考えすぎたり
迷ったり
落ち込んだり
賢い…とか
控えめ…とか
そぅ…
考え方や
受け止め方や
人それぞれ
好みも違うもんね
事実
病気もあるけど…
ある成分が分泌されなくて
足りなくなってしまって
考え方も受け止め方も
全てマイナスにしか出来なかったり
考えることが出来なくなったり
それは
気持ちでどうこう出来ないものらしいけど
基本
人間はやはり
プラス思考で考える様に心掛けたり
笑うこと
特別なキラー成分が出るとかね
あとは…
切り替える
気持ちの切り替え
たくさんたくさん
考えて答えを出すのは大事だけど
いつまでも悩んでない
悪い細胞がどんどん増えてくから
あ~ダメダメって
考えるの や~めたって
自分は自分で守るの
まぁ
それが出来る人と出来ない人が
いる訳ね…
そんな心理学的な?
ことも気になる
興味があるんだ
心の盛り上げ方とか
ストレス解消法とか
あなたに合う?
あなたの好きな色は?
癒される
癒し色は?
色を意識して考える
色を思い浮かべる
家の中の
オレンジ色を集めてみたり
緑色を探してみたり
ベージュばかりを並べてみたりね
私はね
嫌なことを
頑張って切り抜けたら
自分へのご褒美に
お気に入りを探して
可愛ぃマグカップをひとつずつ買ったりしてた
結果…気付いたら
マグカップが山ほど増えて
食器棚に並ばない
どんだけだょって
自分にツッコミ
しかし
素晴らしいょね
人間てさ
素晴らしい生き物だょね
まだ漠然としてて
分からないんだけど…
私に務まるかな…?
不安だけどね…」
「凄いょ、みっちゃん!
大丈夫!みっちゃんは頭ぃぃし!」
「でも なんかちょっと似てるね
心と向き合う…そんなことを
仕事にしてみたいって」
赤ぃ…朱色の実をつけた
可愛ぃ植物
あれはなんて名だろう?
香りを発して
蜂達を集めている
蝶々も
蝶々の様にいつか
華麗に羽ばたきたいなぁ
木漏れ日が眩しぃ
自然て美しい
綺麗な空気が たぁくさん
あぁ気持ちぃぃなぁ
心からリフレッシュ
マイナスイオンに癒される
待ちに待った日がやってきた
バーベキュー
キャンプファイア~
歌とゲーム
盛り上がった
楽しぃ時間
なのに…
ノイ?
「ノイ?
どうした?」
ナルがノイを見つけた
「なんでもない」
「なんでもない?
…泣いてるの?」
「なんでもない」
「なんでもなくないじゃん、ノイ…」
「わかってる…
だって…とか
どうせ…とか
嫌い
だから…
考え過ぎで
気にして
落ち込んで
でも
そんなとこ
自分が
自分で
いちばん嫌いで…」
「わかるょ
ノイは いつも ニコニコしていて」
「でも 本当は そんなんじゃない」
「うん、わかるょ ノイは本当はそんなじゃない」
「何がわかるの?」
「わかるさ ノイのこと
ずっと前から知ってる」
「ウソ ほんの、この前じゃん」
「ぅぅん、ずっと ずっと前からだょ」
ナルにひっぱられていた
「何? どうしたの?」
「…秘密の話」
「何?」
「…ぃぃから…来て」
ひっぱられて
走って
走った
木々を抜けて…
ほら
月がキレイ…
ナルとノイを照らしてる
「ぁぁ~気持ちぃぃ
久しぶりだ こんなに走ったの」
「…ナル…? 何?」
「少し前から話したい事があって…
ね、サークルはじまって…
今日まで…
いろんな楽しい事があったね…
ノイ…実は」
「ん…?」
「驚かないで聞いてくれる?」
「僕はずっと前からノイを知ってるんだ」
「ん? いつから?
…知ってて何?」
「ずっとずっと前」
「ずっとずっと前?」
「前世?…前世とかって言ったら驚く?」
「前世? あはは 何の話?」
「気味悪いょね…」
「あはは 少しね」
「じゃ やっぱり この話は無し!ウソ。」
「ちょっと待ってょ
ちゃんと話して ふざけてるのかと思ったじゃん」
「…」
「僕が祈ってたから
ノイにまた会いたいって 」
「また?
どこかバイトとかで会ったことがあった?」
「…」
「ん…?」
「だから!
僕の顔見てなんか思い出さない?」
じ~~~ぃ
「思い出さない」
「あ~も~ぅ ぃぃや」
「ちょ ちょっと 待って!」
「だから前世だって!」
「やだぁ 冗談きつぃ~」
「だから ぃぃって…」
「…」
「ウソ!そんなことあるの?
ほんとに?」
「…ノイは泣き虫ノイでしょ?」
「え?」
「あれは パパとママがお祭りの夜けんかしてて
眠い目を擦りながら起きてきたノイが
パパもママもノイの宝物だから嫌なこと言っちゃだめって
大泣きした」
「なんで?」
「お姉ちゃんが進学で引っ越す時も泣いてた」
「なんで?」
「だって 僕は片目のナルだから
ノイが大事に可愛がってくれた猫のナルだからさ」
「え~~~~!!!」
驚きが半端ない!
そりゃそうさ…
「あ…ナル…成田くんの誕生日…
9月6日って言ってたね…」
「そぅ すっかり猫のナルのこと
忘れてたな?」
「忘れてないょ!
小さかったから…」
そして
あのシーンがよみがえる…
「ねぇナルにはじめて会った日
9月の6の日…
ナルの誕生日にしよう」
幼いノイが家族みんなに提案していた
「そう今日9月6日
僕の誕生日に
伝えたかったんだ」
「ノイ…ごめんな
ずっと想ってた
ずっと祈ってたんだ
ノイのいちばん近くに居たいって」
月明かりに
ナルと
猫毛のナルの顔が重なる
ノイは
穏やかに見つめた
涙が溢れる
ナルがノイに近づく
頬に手をあて言った
「怖い?」
「怖い訳ない…」
ノイは首を横に振った
「今度は僕がノイを守る
ずっとノイの傍に居る
おじいちゃんになるまで
ノイをいつも笑わせる」
「… …おじいちゃんになったら
もぅ笑わせてくれないの?」
少し笑ったノイの目から涙がこぼれる
そして…
ナルのつぶれた瞳にそっと口づけをした
「大好き… ナル
いつからなのかな…
自分でもわからないの
こんなに愛しぃ…
猫のナルがナルになったからかな…
心が通じてるみたいな不思議な感じが
知らないうちにあったの…」
…
月がキレイ…
ナルとノイ
優しいふたり
心が心から
キレイなふたり
「あれ?ナル…
目が開いてる…!!
見えるの?」
「見える…
見えるょ…
ノイの顔…
あの頃と変わらない
可愛いノイの顔が
ちゃんと
両目で見える…」
ナルも
もぅ気持ちを抑えなぃ…
ノイを抱き寄せキスをした
ふたりの息が荒くなる
偶然
ふたりは声を揃えた…
「大好き…」
そして顔を見合せ…
笑った…
…笑い転げた
『みんな
みんながいろんなこと
考えて悩んで生きてるんじゃないかな…
ノイも僕も…
みんなも…
いつもニコニコして
幸せそうでも
もちろん多くは幸せでも
考えて…落ち込んで…
そんな繰り返しで
過ごしてるんじゃないのかな
時には声を上げて
大きな声で
我慢ばかりせず
泣いてもぃぃんじゃないのかな…
また明日は
気分が変わり
すっきりスタート出来るかもしれない
毎日毎日が繰り返し
上がったり下がったり
繰り返し…
そんな毎日が
みんなの普通なのかもしれない
ただ忘れないで
みんながそんな毎日なら
優しくしていて
優しさを忘れないで
居てほしいんだ 』




