小説家の疑問と答え
「小説の神様、なぜ私は小説が書けないのですか」
「お前が書かないからだ」
小説の神様は断言しました。
「ですが、書けないものは書けません。どうすれば書けるのですか」
小説の神様はあきれた様子で、
「ならば、私との会話でも書けばよいだろう」
それを聞くと、H氏は飛び上がって喜びました。
「それは名案です! さすがは小説の神様、さっそく書かせてもらいます」
H氏は、はっと目を覚ましました。
目の前には、まだ何も書かれていない、白紙の原稿用紙が散らばっています。
「いかんいかん、途中で寝てしまったのか。しかし奇妙な夢を見た気がするな。確か」
H氏は筆を取って、原稿用紙にこう書きました。
「小説の神様、なぜ私は小説が書けないのですか」