表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

蜘蛛の湖

作者: みずきち

とあるところにいつも悪行を働いて人を不幸にする

人間がおりました。

近くの村を襲っては人を殺し米を奪い

近くの町を襲っては金を奪い女をさらい。

いつしか人は家から出てこなくなりました。

悪行を幸福としていた悪い人間は

虫を殺し始めました。

虫を見かけては潰し、また潰し

いつしか残る虫は蜘蛛だけになりました。

彼は父が蜘蛛の恩人だったため、殺しはしませんでした。

しかし、父は死んでいたため、少しならバレない、

という気持ちで蜘蛛をたくさん殺してしまいました。


彼は心を痛めながらも、家に帰りました。

その夜、彼は夢を見ました。

とても大きな蜘蛛に追いかけられる夢です。

彼は怖くなって布団から出たくなくなりました。

夏、秋、冬、春、夏、秋、冬、春、と

季節は過ぎて、いつしか村から奪った米はなくなりました。

空腹の状態が何日か続き、しまいには

幻覚まで見え始めました。

蜘蛛が彼の上にまたがる幻影です。

そんな幻覚を毎日見続けていたある日、

扉から一本の糸が伸びていました。

その糸は、山奥へと続いています。

彼は、先が気になってしょうがなくなり、

糸を剃って山奥へ向かいました。


山の奥には幻想的な湖がありました。

湖の上にはスイレンの花が散らばっており、

息をのむほど美しく感じました。

彼は喜びました。早速水を飲みました。

しかし、変です。こんな所に湖があったかな。

そう思いながら、かれは水を飲み続けていました。

彼は久しぶりの水に安心し、目を閉じて

眠ってしまいました。


目を開けると、そこは湖ではありませんでした。

辺りを見渡すと、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛。

口には血の味が広がっています。

湖を見ると、そこは黒一色でした。

しかし、彼にはそれは美しい湖に見えていました。

彼は湖に飛び込み、蜘蛛に飲まれていきました。

その後、その一帯にはしばしの平和が訪れました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ