表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
封印の神器アラストル  作者: 彩玉
一章 樹海騒乱
4/29

4.襲撃

この二人絡みでしばらく続きます

 ここ数日、雨が降った訳でもないのに、森のなかでは湿った木と土の臭いが充満していた。

 広葉樹と針葉樹の森はどこまでも暗く、どこまでも木々が続いている。そんな木漏れ日が全く少ない木々の間を、息を切らし、必死な顔つきで駆け抜ける二人の男女の姿があった。


 女は顔の横から細く飛び出す、長く尖った耳が特徴的なハイエルフだ。彼女の名はエリー・クランクスという。大人びているも、ほんの少しだけ幼さが垣間見える容貌からして、一見すると彼女の年齢は十八才くらいに見えてしまうが、その実年齢は二百才を軽く超えていた。

 非常に長命な種族である妖精エルフ族、とりわけ千年二千年の永き時を生きるヒト種のハイエルフは肉体の成長と衰えが非常に遅く、外見や振る舞いだけでは実年齢を推し測ることは難しい。同じヒト種でも短命で、成長と老衰の早いヒューマン族と同じように捉えてはいけないのである。


 容姿は一六〇セルムールに満たない身長に、決して控えめではない胸に細い腰つき。胴に対して脚は長く、スラリとしたモデル体型をしている。

 多少の土埃や枯葉が疎らについてはいるが、きらびやかな金髪の美しさは失われていない。長い髪は邪魔にならないよう頭の後ろで縛られ、ポニーテールにしている。笹の葉のような耳は熱を帯びて赤く染まり、白い肌に碧眼が映えた美しい容貌からはじんわりと玉の汗が染みだしていた。

 服装は唐草のデザインの革鎧レダーアーマーにライトブラウンのホットパンツ、同色の膝まで届く長い革靴ブーツを履いている。腰のベルトには刃渡り四十セルのダガーを2本差し、肩から矢筒を背負い、手には魔樹の材とくすんだ鋼からなる使い込まれた合成弓(コンポジット・ボウ)が力強く握られている。


「はぁ、はぁ……くそっ! くそったれめ!」


 悪態をつきながらエリーの隣を並走し、顔中にだらだらと張りつくような汗を流している男は、つい先日三十路を迎えたばかりのヒューマンだ。

 彼の名はジョナサン・ガーディ。親しい者からはヨナと呼ばれている。身長一七五セルムールのがっしりとした体格で、黒髪が少し混じる短い茶髪に、灰色の瞳の浅黒く日焼けをした戦士だ。

 表面がやや擦りきれてはいるが、何度も直して使っていると思わせる、いかにも使い込んだという鋼の鎧を着用している。同じく使い込まれただろう中型の菱形の盾を背負い、刃渡り八十セルムールの鉄のブロードソードを抜き身で手にしていた。


「何か来るとは分かっていたけれど……!」

「こんなのってありかよ……!」


 困惑と焦燥をない交ぜにした不満を漏らし、行く手を立ち塞がるように乱立する無数の木立に、二人は若干の苛立ちを覚えながら全力で縫うように駆け抜ける。

 時折、逃げる彼らを阻むかのように()()()()()()()()()大木を辛うじてかわし飛び越え、さらにかわして逃げていく。この調子がずっと続いていた。


 二人はとても焦った様子で、迫り来る追手から少しでも距離を空けようと必死になって前進する。


「いつまで追ってくるのよ……!」

「ッ! また来たぞ! 屈め!」


 ヨナが叫び、二人がすぐに屈んだ直後。二人の頭上を根元から強引にへし折られた太い幹の樹木が飛んでいった。追手が力任せに、逃げるふたり目がけて投げつけてきたのだ。

 こんな直撃したらひとたまりもないものが、何度も何度もしつこく飛んできていた。


 互いの無事を確認し、敵方の追撃の足音が聞こえないと分かると、ヨナは苛立たしげに顔を歪ませ口の中に入った僅かな土を吐き捨てた。


「クソッ! 何でこんな目にッ!」


 そう。いったい何故二人はこんな目に遭っているのか。

 それはこの森に来る理由となる、ある依頼を受けた負った朝に遡る。



 本日の午前9時すぎ――メソルド王国首都、商王都メソスチアの北街区。

 白亜の三階建ての大きな施設である冒険者協会・メソスチア支部の玄関から、意気揚々と出ていくエリーとヨナは、面する通りの先にある大通りの雑踏へと足を向けた。

 二人はここメソスチア支部を拠点に活動している冒険者だ。これから準備を整え、この街の北部に広がる大樹海に依頼のため向かうところだ。

 ヨナと並び歩くエリーは満足気に微笑み、


「フフ、今日はラッキーだったわねヨナ。朝一に来て良かったわ」

「そうだな。これは開館直後に貼られるのに、すぐになくなっちまうからな~。まぁ報酬が2500シャハルってのが旨いんだから仕方がないか」

「……それ、なくさないでよ?」

「わかってるよ」


 右手でひらひらと振り、彼女に見せつけていた一枚の依頼書。これがなければ折角の報酬も受付で貰えはしない。

 睨むエリーにたしなめられ、ヨナは依頼書を折り畳んで懐に仕舞いこむ。


 わざわざ開館前に玄関前で張り込むほど気合いを入れて手に入れた依頼書の中身は、魔獣フォレストベアの胆嚢たんのう五個の入手。一個につき50ギラー金貨十枚、シャハル銀貨に換算して一個500Shとなかなか高額な報酬設定である。

 フォレストベアの胆は、高級薬剤の原料として高価格で取引されている代物だ。依頼者もこの王都に店を構える商人だ。

 フォレストベアは体長一五〇セルムールと熊の中では小柄な部類ではあるが、その小柄な体格に似合わず凶暴な性格をしており、熊らしい豪腕による打撃と薙ぎ払い、伴う鋭い鉤爪による切り裂き、これまた強力強烈な突進、骨を砕き肉を切る噛みつき攻撃には多くの死傷者を出している。

 そのため森でうっかり出遭ってフォレストベアの餌食にならないよう、彼らが嫌う音色を出す〈鬼灯の鈴〉を持って森に入るよう推奨されている。


 そんな死の危険が伴われるフォレストベアを五頭狩り、胆を入手するこの依頼はB2以上のランクに相当する。

 すべての冒険者には、冒険者協会が定める『自身のランクに相当する依頼』を受けるよう推奨している。実力がない者が分不相応な依頼に無謀な挑戦をしないよう呼び掛けてのことだが、あくまでも自己責任として協会は対応していた。


 定められたランクはS,A,B,C,D,E,Fの7つに区分されている。さらに、最高位のSランクと新人のFランクを除くA~Eのランク内ではそれぞれ二つに分けられ、E2からE1、同様にE1からD2へと昇格(ランクアップ)していくシステムだ。

 昇格には依頼達成の実績によって地道にランク上げを目指すのがスタンダードだが、大きな功績を上げることによって、飛び級のように大幅にランクを上げる場合もあり、その例は様々だ。

 ランク付けに関し、魔物の脅威度への基準として同様の区分がなされているが、あくまでも参考程度に過ぎず、過信してはいけない。

 例えばAランク以上の魔物は災害級カラミティとして扱われている。

 弱いものではAランカー数人で対処できるが、種類によっては複数の武闘派Aランカー数十人からなる集団組バディという大規模クラスか、地元政府軍の出動に相当するほどに、冒険者の格付けとは全く位置付けを異にする。

 因みにフォレストベアはDランク相当。一頭だけなら対応できる冒険者はC1ランカーからだ。


 この依頼を請け負った二人は、エリーがB1、ヨナがB2のランク。二人はもう一人仲間に欲しいと思っていたが、この日生憎と都合の合う友人など双方ともに居なかった。

 期日は本日中だった以上、仕方なく二人だけで達成を目指すことにしたのだった。


 ヨナとエリー双方ともにBランクの冒険者ではあるが、武術の実力としてはAランク冒険者にも引けはとらない。格付けは腕っぷしだけで決まる訳ではない。同じ腕前でも、こなした依頼量、実績の差がついているだけなのだ。

 今回受けた依頼は多少なりとも時間はかかるだろうが、無理なく達成出来るものと彼らは踏んでいた。実は以前にも、ベア違いだが同様の依頼を同じ面子で請け負ったことがあり、その時の経験が自信の裏付けとなっていたからだ。


 朝一番に請け負ったが、フォレストベア狩りのためにそれぞれ宿に戻って装備を整えてからギルド内で待ち合わせていたために、朝の九時の時刻を告げる教会の鐘が鳴り響いたところで二人はようやく大通りの雑踏を抜けた。

 メソスチアの北門脇の通用口を通り、北門と樹海を行き来する定期便に乗り込み、目的地である樹海西部を目指す。この樹海西部が、フォレストベアの棲息域と目されている地だ。


 大樹海には名はなく、ただ『樹海』や『大樹海』と呼ばれている。

 樹海は大陸を東西に横断するハイリンクリー山脈の裾野から広がる広大な森林地帯だ。樹海南西に面するメソルド王国のみならず、西のアラスチア砂漠から隣国カザキア、東側諸小国に至るまで広く多くの大小の国・地域とも接している。

 この森林地帯は訳あって、どこの国の領土にも属さない公地として存在している未開の原生林の一面を持っている。普通ならば領土拡大のために手をつけようとするものだが、樹海に接する各国すべてが不干渉の態度を取り続けている。

 その理由として、樹海の深部を中心に高ランクの魔物が多く広く活動、棲息しており、なかなか手を出しにくいことが挙げられる。

 が、それよりも、現在にまで伝承される過去の事件により生じてしまった『不定期に起こる災害の発生地』というのが理由としては大きい。


 大昔、大樹海に隣接するとある王国が欲を出し、大規模な開拓を行ったところ、ある日その国に無数の魔物が押し寄せたという。

 樹海に棲息する全ての魔物らが隊伍を組み、まるで彼らの住みかを荒らし、破壊したことに報復するかのように、三日三晩津波のように魔物の大群が王国へ押し寄せ、すべての村や町へ襲撃を繰り返し、ついには滅ぼしてしまった。そう伝えられている。


 この〔大津波〕と呼ばれる大災害が起きて以降、規模は比較的小さめだが同様の大群による〔津波〕が不定期ながら発生してしまっている。

 現在では樹海に隣接する諸国からなる連合を結び、対〔津波〕対策の軍事同盟が発足している。

 また、過去の反省から、元凶である大樹海における開拓行為を規模の大小にかかわらず原則禁じ、不占有・不可侵の公地として扱うよう加盟各国に課している。破られれば当然、連合加盟国による制裁が下される。


 しかし国家に属する者・組織では国の定めたる法により規制されているが、国家に属していない冒険者はその限りではない。依然として自由な出入り、魔物の討伐は可能だ。

 そこで津波の誘因防止のために、各ギルド支部に中・大規模パーティで森に入る場合は事前の申告が原則(緊急性のある場合は事後報告)義務づけられ、個人や少人数のパーティには注意喚起を行っている。

 また冒険者ギルド協会は国内の商工会へも、行政の認可済みに限り伐採・加工時の護衛任務を紹介すると通知している。

 それでも冒険者が目に余る樹海への被害を引き起こした場合は各行政府、冒険者ギルドからそれぞれ二重に重いペナルティを受けることになる。

 それほどまでに、大樹海は各方面で慎重に扱われる特殊な地だった。


 乗り合いの駅馬車に一時間ほど揺られ、他の冒険者とともにエリーとヨナは北門に最も近い樹海外縁に降り立った。

 降り立った地には、数台の馬車が繋がれた簡易な停車場が設けられている。一歩でも樹海の中で開発を行えば即処罰されてしまうが、樹海の外縁はその対象にはない。一応、緩衝地帯として樹海外縁から二十キロ圏内の地を公地として設定されていたが、管轄する地元当局から許可さえ下りれば、いくらでも好きに開発できる実態があった。


 停車場を離れると、同じ馬車で知り合った獣人トリオと反対方向に別れ、二人は慣れた足取りで森を歩き目的の西部へと向かった。

 目的地への道中は、魔物に遭遇することは全くなかった。いつもなら樹海全体に分布する小魔獣ブラックラビットに遭遇し、後ろ足に隠された鉤爪から麻痺毒を放ってくるのだが、この日この時は一切そのようなことに一切至らなかった。

 二人は今日は運がいいかも知れないと機嫌よく言葉を交わし、西部に到着後、速やかに狩りを開始した。



 ◇◇



 開始後しばらくして、休憩を挟みながらも順調に狩り続けていた。そうしてあと残すところあと一頭というところで、小さな異変が起きる。


「…………?」


 先程まで周囲から聞こえていた野鳥たちのさえずりや、擦れ合う枝葉の音が一切無くなり、不気味な静寂が二人を包む。そのあからさまな、だが何てことはない小さな異変に、狩りに専念するヨナが気づくことはなかったが、エリーは気づいたようだった。


「……ねぇヨナ。なんだか嫌な感じがする」

「ん? 『索敵サーチ』には何の反応がないぞ。気のせいじゃないのか」


 エリーに胸騒ぎがすると言われ、ヨナが周囲に視線を巡らせるも、薄暗いが見通しの良い森の中で魔物の姿を視認することはなかった。


 ヨナは首を傾げるも、先程仕留めた四頭目のフォレストベアから切りとった、テラテラと赤く鈍く光る胆を手元にあるじっとりと生臭い麻袋へと入れていく。


「…………」


 だがエリーは左右の耳を細かく動かし、訝しげに眉を寄せている。しばらく彼女は北の方角の森の奥へと視線を向けていたが、ヨナには何かいる気配すら掴めなかった。


「ん~……」

「そんなに気になるのか?」

「うん……」

「なら警戒を引き上げるか。あと一頭で終わりだし、さっさと帰ろう」

「そうね。そうしましょ」


 一度は疑問を口にしたヨナだが、森の機微に敏感なエルフ族ならではと考え直し、訝しげに首を傾げるエリーを連れこの場から離れた。


「おっし終わった!」

「疲れたわね~。さっさと引き揚げましょ」


 さらに二十分後。

 二人はようやく五頭目のフォレストベアの胆の入手すると、元来た獣道を早々と引き返した。

 思いの外に樹海の奥地へと足を踏み入れてしまい、さらにエリーが胸の内のざわめきが強まったと言うので、ここでの長居は無用と急ぐように歩みを進めていたのだが――。


「ッ!」ビクリと体を震わせ、立ち止まる。

「どうしたエリー?」

「ヤバいかな……少し走ろうヨナ。逃げた方がいい」

「……分かった。後ろは俺が守る。エリーは先に進んでくれ」

「ありがとう。お願いね」

「任せろ」


 警戒の中黙々と歩いていたが、突然エリーがヨナに対し真剣な顔つきで警告してきた。未だ彼らの探索スキル『索敵サーチ』に敵性反応は無いが、ヨナはすぐさま行動に移す。


 彼は、エリーには第六感シックスセンスのような特殊な力があると知っていた。以前に彼女の友人であり同じ冒険者仲間から、酒の席で何度も聞かされていたからだ。

 付き合いの長いヨナには、そんな彼女の力によって助かった話が酒の席の冗談話には思えなかったし、彼らの話振りから本当のことだと信じていた。

 それを今思いだし、彼女の真剣な様子から、彼女の警告が更に現実味を増したと感じとる。それに彼自身、いつもとは異なった危険に遭うかも知れないと予感していた。


 事実、ふたりの予感は当たっていた。



 ◇◇


「……これは、流石におかしい。全く居ないなんてありうるのか?」

「…………」


 更に時が経ち、森の木漏れ日の傾きからして真昼に差し掛かる頃。二人は何事もなく奥地から抜け出し中央付近へと戻って来ていた。たが何事も()()()()()というのは流石に異常だと気づいたそんな時――。


 ドンッ!!!


 方角は北だろうか。

 どこか遠くで起きた、何か大きな爆発音と、遅れてやってくる小さな揺れが大地を伝って足元まで伝わってきた。


「な、なんだ?」

「何が……ぐっ!」


 爆発音はもうしないものの、小さな揺れは次第に大きな揺れとなって二人を襲ってきた。立っている事がやっとの二人は感じたこともない大きな不安を抱きながらも無理に抑え込み、各々の武器を構え、神経を最大限にまで研ぎ澄ます。


 何か来る。だが地揺れが治まるまで動くに動けない。

 ゴクリ、と二人のうちどちらかの唾を嚥下する音がはっきりと聞こえた。


「「…………」」


 静かに、そして油断なく構える二人だったが、大きな地揺れは静かに収まった。


 何かが土を踏みしめる音も、木々を薙ぎ倒す音も、魔物の鳴き声もない。誰かに見られているような視線も感じない。何より『索敵サーチ』にも反応がない。


 だがそれでも二人は警戒を解かない。いつでも逃げ出せるような態勢をとり自分たちが逃げ込む方向を確認する。

 ここでさっさと立ち去ればよかったのだろうが、この未知の状況下で足が竦んでしまい、ふたりの判断力を鈍らせてしまったのだ。


 ビィー…ビィー…ビィー…ビィー…


 『索敵サーチ』に反応が出た。

 警報アラームが幻聴のように意識の中でけたたましく鳴り響く。得体の知れない魔物が迫っていると二人に警告する。


 だが見通しのいい森の中、周囲にこちらへ迫る魔物の姿はない。何事もない、相も変わらずの静けさだ。ただ、頭の中の警報だけが煩く鳴っている。


 まさか、目に見えない姿無き魔物か。とふたり同時に冷や汗をかいた時。


「っ! 下だ!  離れるぞ!」


 直前、ヨナは足元に沸き上がるような地響きを感じ、エリーの腕を強引に引っ張る。この咄嗟の判断が敵の初撃を回避することになった。


 二人が逃走を図った数秒後、ついさっきまで立っていたところが突き上げるように膨張、爆発した。

 巻き上がる土煙から姿を現したのは大きな影。その正体はなんと……一体の巨人だった。

 全身が薄緑色だ。巌のように硬くゴツゴツした表皮に覆われ、顔中は無精髭にまみれている。ボロボロに破れ薄汚れた腰巻きを履いた、およそ五ムールを超すだろう一ツ目巨人(サイクロプス)


「「…………はっ!」」


 思わず立ち止まってその登場を見届けてしまった二人は我に帰り、一目散に逃げ出した。

 どう見ても自分たちだけでは太刀打ち出来ないと、そう直感したからだ。


「……ギギシシシ……」


 ぎょろりと。そんな二人を睥睨し、嗤っているかのように歪に口元を歪ませるサイクロプス。獲物を見つけたと言わんばかりの獰猛な笑みで二人を追うべく歩み出す。





【補足】


・この大陸で用いられる主な決済通貨……


 ギラー。ギラーといえば主にメソルド・ギラーを指す。通貨記号はGまたはMG。


 シャムス。通貨記号はS。

 アラスチア砂漠を越えた先にある、大陸西部沿岸に位置するトルカ共和国のシャムス金貨が由来。シャムスとは現地語で太陽を意味し、金貨の金色の輝きと表面に刻印された太陽光を模したデザインから名付けられている。

 大陸行路に位置するメソルドより大陸以西では、ギラー以上に決済通貨として流通している。


・主に使用されている貨幣


 ギラー(硬貨または紙幣)、シャムス金貨、シャハル銀貨


 シャハル銀貨Shは隣国カザキアの通貨。メソルドは古くからカザキアとの交易を続けている為、メソルド国内でも通用している。

 流通が比較的少ないギラー金貨や、近年導入された兌換紙幣よりも多く流通している。本来メソルドの補助通貨であるケントが割を食っている状況。


・メソルドの補助通貨


 1ケント……1Gの100分の1


・換金


 1G金貨(=1ギラー紙幣)=1シャムス金貨

              =10シャハル銀貨


 ※尚、各国・各地域の通貨とのレートが異なるが、あくまでも目安として、1ギラー=およそ100円に相当する。

  よって、フォレストベアの胆嚢一個に対する対価報酬は、およそ五万円に相当する。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ