21.終戦
「やはり、神はいないか」
俺達6人は喫茶店で風の妖精による転送画像を見ていた。
南神殿前の西軍が北軍に制圧されつつある。
勝利者が全てを入手するルールである以上、東軍が吸収された時点で西と南が組むしかないのに
それが成されなかった、つまり敗北だ。
「こんな状況になっても西神、南神ともまったく動きがないな…」
既に南神殿も侵入され始めている。
「やはり東軍の行動が阿呆で北軍のエサにしかなってなかったのが不味かったな」
俺達もとっくに総論に移っている。
戦争ゲームでも脆弱なプレイヤーが一人混じっているとバランスがとれないからな。
結論からいうと、東軍はこの世界を国興しゲームだと認識していた。
確かに豊かになり、人口も増え、領土も広がった、が人口がパンクして終わった。
西軍はこの世界を無双ゲームと認識した。
自らを鍛え、武器を強くし、敵を倒しまくった。
南軍はこの世界をFPSゲームと認識した。
相手に気付かれずナイフと狙撃で刈り取っていった。
北軍だけはこの世界で戦争をしていた。
東西・南にスパイを送り、外交に努め、技術を開発し、勝利への努力を怠らなかった。
それぞれの認識の差がこの結果を導いた。
まあそれはいいんだ、俺らにとってはどこが勝利しても変わらない。
問題は、この戦いはいったい何のためにあったのかだ。
5年間、俺達はずっと考えていた。
<<北神が南神を撃破しました。北神が風魔法及び南神の恩恵を取得しました>>
「決まったな…北の勝利だ」
「ああ…間違いない」
その2週間後、西神殿は北軍に落とされた。




