占い研究部~番外編 第12話での久目線~
今日は学校の都合で休みだった。
朝の十時頃に久は起き、コンビニのおにぎりを二つ食べ、顔を洗い、歯を磨き、私服に着替えた。
普段は執事が朝食を持ってきてくれるのだが、今日は予定があって忙しいそうだ。
久の屋敷は、常に人員不足、というか基本的に加藤と久しかいない。
なぜそれで平気かと言うと、実は加藤は発明好きで、お掃除ロボットや便利グッズで効率よく作業していて、人が必要無いのだ。
「そう言えば昨日、加藤がやけに上機嫌だったな」
かなり珍しかったので、印象に残っていた。
「まあ、それより今日は何もやることが無いから、どうするか……」
忙しい日々を過ごしているので暇な日は何をするか、かえって悩んでしまう。
しばらく考えた後、久は占い部屋の鍵の存在を思い出して探すが、
「……おかしいな。昨日、この引き出しの中に入れたはずなんだが」
見当たらない。
加藤が持ち出したというのは考えにくいが、一応確認した方がいいと判断した。
「とりあえず加藤の寝室に行ってみるか」
***
通路を歩いている途中、誰かが走る足音が聞こえた。
「誰だ?」
加藤の足音でないことは分かる。
これは多分、女の人だろう。
音のする方へ行ったが、人は見当たららなかった。
久は念のため、その辺りの部屋をひとつひとつ確認することにした。
なぜなら以前、久のファンがあらゆるセキュリティを越え、屋敷に侵入したことがあったからだ。
そして最後に、客室用の寝室のドアを開けた。
「まあ、いないだろ……って、そこにいるのは誰だ?」
誰かがソファに座っている。
久は警戒しながらゆっくりと近づくが、相手は全く動く気配は無い。
接近して顔を確認すると、見覚えのある人物が眠っていた。
「……美羅、何故ここにいるんだ?」
そこにはすやすや眠る美羅がいた。
***
起きる気配が無いので、頬を突いたり軽く引っ張ってみたが、全く反応が無い。
「……可愛いな」
自然と笑みがこぼれる。
仕方が無いので、起きるまで寝顔を観察することにした。
事情は起きてからきっちり話してもらうとしよう。
そして久はまた、美羅の頬を突いていた。