隣の家のぬいぐるみ
「なんかさ、あのぬいぐるみ変じゃない?」
「なにが?」
2階のベランダに2つの影。
僕の家の隣は、かなり大きな庭のある家で、
庭には小さな池や、家庭菜園などがある。
その庭の端に、黒い犬のぬいぐるみがある。
かなりリアルで、今でも動き出しそうなのだが、
全く動かない。まあそれは当たり前か。
あのぬいぐるみは冬になると現れる。
ぬいぐるみなので、家の人が移動させているに
違いないのだが、なぜわざわざ雪も降る外に置くんだろう?
と気になっている僕なのだが、
「冬になった時だけ外に出てくるじゃん。」
「…知らね。別に他の家の人の事情なんかどうでもよくね?」
「まあ確かに…」
僕の隣にいるのは兄。いつもは東京で仕事をしているのだが、今日はこの家に帰ってきている。
すると、1階の方から声が聞こえてきた。
「ご飯できたわよー!」
「はーい!今行く!」
僕と兄は家の中に戻って行った。
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その日の夜8時ごろ、僕はポストに入っているものを
取ろうと外に出た。
ふととなりの家の庭を見てみると…
「…あれ、ない?」
ぬいぐるみがない。流石に夜は家の中にあるのか、
と思ったのだが、窓の中は真っ暗で、外出しているようだ。
しかし、もう一度ぬいぐるみがあった方を見てみると、
少し雪が盛り上がっているとこがあった。
(まさか…)
僕はポストの中も取らず、となりの家へと
ゆっくり近づいた。
庭は柵で囲われていて、手が入るほどの隙間がある。
僕は柵の隙間から手を伸ばし、その雪を触ってみた。
その瞬間、少しその雪が動いた。
「ひぇっ…」
少し考えて、またその雪に触り、少しどかしてみた。
すると、雪の中には黒い毛皮があった。
その時、雪が急に起き上がり、
「 」
と吠えた。
「きゃあぁぁぁっ!!」
僕は驚き、そのまま家へと直行した。
その後、結局ポストの中のものは取れなかった。
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翌日、恐る恐る母にあのぬいぐるみについて聞いてみた。
「ねぇ母さん…あの隣の家のぬいぐるみってなに?」
「ぬいぐるみ?なにそれ?」
「え?あの、黒い犬のぬいぐるみ…」
「そんなのなくない?」
「え?」
僕はすぐさま階段を登り、ベランダから隣の家を
見下ろしてみた。が、
「え…あれ?いない。雪も一切ない…」
端にあったぬいぐるみは無くなっており、
雪も庭の中には一つも見つからなかった。
「どうしちゃったの?悪い夢でもみた?」
「い、いや…」




