ギフト「起承転転転転拳」
下ネタ苦手な方はご注意ください。
なろラジ用でしたが1000字を超えてしまいました。
俺は死んだ。
気がつくと、目の前に金髪に金色の瞳の幼女がいた。後光が差している。
「今までよく頑張られましたね、あなたはこの世界に転――」
「漫画の神様ですか?」
「ふえっ!? ち、違います!」
「じゃあ、用はない」
俺は踵を返そうとする。
幼女は俺の服に縋りつく。
「ギ、ギフトをあげますから!」
「ギフト……?」
「はい! どんな能力が欲しいですか?」
「面白い漫画を描き『続けられる』能力をくれ。描ける能力じゃなくて、『続けられる』能力だ」
「漫画……?」
ようじょ女神は漫画を知らなかったが、笑った。
「わかりましたッ! 漫画を『続けられる』能力ですねッ!」
俺は転生した。
金持ち貴族のボンボンになった。
紙とペンを持って部屋に引き篭もった。
「モリーヴィ、息子よ、いったいどうしたと言うんだ!?」
「坊っちゃま、どうか扉を開けてください! 食事をあまりにとられずで、心配しております!」
「剣の稽古も魔術の訓練も休んでいい! 大切な弟よ、だからどうか顔を見せてくれ!」
俺はドアを開ける。
「休め?」
過労死したらしい若い少年の体を借りて、言った。
「俺に、漫画を描くなというのか?」
家族は困惑の表情を浮かべた。
「マン、ガ……?」
「漫画ってなんだ? 弟よ」
なんということだ。
この世界には、漫画がない。
みな、読み方を学ぶところからはじめなくてはならない。
父も母も兄も妹も弟も、執事もメイドも猫も、俺の漫画を読んで、
「面白い」「面白いんじゃないかなあ うーん」と言ってくれる。
だが、俺以外が描いた漫画を知らないのに、評価も何もないだろう。
(異世界転生者だ。転生者か転移者を探さねばならない――!)
踊り子の国に、最近できた性博物館 通称ヒホーカンの名を聞いたとき、オーナーは絶対に転生者だと悟った俺は、描いた漫画の原稿を持って、彼らを訪ねた。
オーナーは男のような女と、女のような男のふたり組で、俺の漫画を読んでくれた。
応接間のソファーに向かい合って座る。
ふたりは、ふたりで一緒に漫画を読むと、原稿から顔を上げた。
「オチは?」
「オチがない。オチてない」
俺は、白状する。
「ふっ 何を隠そう、俺のギフトは『起承転転転転拳』、驚きの展開で読者を殴り『続ける』ことのできるギフトなのだ――」
ふたりはもう一度原稿に目を落とし、もう一度、俺を見た。
「いや、オチがないのはダメだろ」
「ギフトの名前も惜しいわ。あとひと声!」
俺の頭に彼らの評価が矢印になって刺さる。
「あとな、エロがない」
「そうよ、それが一番大事だわ」
「ちょっとえっちな女の子か男の子がひとりもでてこない。
ちゃんとな、おまえの性癖を見せろ」
俺はブチギレ、立ち上がる。
「エロは、どうでもいいだろう!?!?」
彼(彼女)もブチギレ、立ち上がる。
「おいおまえ! 言ってはいけないことを言ったな!?
仮にも『俺たち』に読ませにきておいて、『エロはどうでもいい』とは何を言うか!?!?」
「俺たちはなあ エロに人生を救われ、エロに人生をかける漢たちなんだよっ!!!」
「エロは、どうでもいい! だって」
俺は胸に手を当てて、胸を張る。
「この体の持ち主も、俺も、18歳未満だ!!!!」
彼らは絶句する。
彼(彼女)は怒り、彼女(彼)は笑った。
「おまえー! 入り口見なかったのか!?
18歳未満立ち入り禁止って、ちゃんと書いてあっただろ!?」
「だってだってだって!!!」
「いやー あはは 今の子は絵が上手いわねえ」
性博物館は追い出されたが、彼らは友達になってくれた。漫画のオチが思いつかない俺の相談に乗ってくれ、その後、長く交友は続いた。
だがたまに、ど下品なオチを提案してくるので、その際は、ぐーぱんちをしている。
(完)




