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短編(その他のジャンル)

ギフト「起承転転転転拳」

作者: おおらり
掲載日:2025/12/20

下ネタ苦手な方はご注意ください。

なろラジ用でしたが1000字を超えてしまいました。


 俺は死んだ。

 気がつくと、目の前に金髪に金色の瞳の幼女がいた。後光が差している。


「今までよく頑張られましたね、あなたはこの世界に転――」

「漫画の神様ですか?」

「ふえっ!? ち、違います!」

「じゃあ、用はない」


 俺は踵を返そうとする。

 幼女は俺の服に縋りつく。


「ギ、ギフトをあげますから!」

「ギフト……?」

「はい! どんな能力が欲しいですか?」


「面白い漫画を描き『続けられる』能力をくれ。描ける能力じゃなくて、『続けられる』能力だ」

「漫画……?」

 

 ようじょ女神は漫画を知らなかったが、笑った。


「わかりましたッ! 漫画を『続けられる』能力ですねッ!」




 俺は転生した。

 金持ち貴族のボンボンになった。

 紙とペンを持って部屋に引き篭もった。


「モリーヴィ、息子よ、いったいどうしたと言うんだ!?」

「坊っちゃま、どうか扉を開けてください! 食事をあまりにとられずで、心配しております!」

「剣の稽古も魔術の訓練も休んでいい! 大切な弟よ、だからどうか顔を見せてくれ!」


 俺はドアを開ける。


「休め?」

 過労死したらしい若い少年の体を借りて、言った。

「俺に、漫画を描くなというのか?」


 家族は困惑の表情を浮かべた。


「マン、ガ……?」

「漫画ってなんだ? 弟よ」


 なんということだ。

 この世界には、漫画がない。


 みな、読み方を学ぶところからはじめなくてはならない。


 父も母も兄も妹も弟も、執事もメイドも猫も、俺の漫画を読んで、

「面白い」「面白いんじゃないかなあ うーん」と言ってくれる。


 だが、俺以外が描いた漫画を知らないのに、評価も何もないだろう。


(異世界転生者だ。転生者か転移者を探さねばならない――!)



 踊り子の国に、最近できた性博物館 通称ヒホーカンの名を聞いたとき、オーナーは絶対に転生者だと悟った俺は、描いた漫画の原稿を持って、彼らを訪ねた。


 オーナーは男のような女と、女のような男のふたり組で、俺の漫画を読んでくれた。

 応接間のソファーに向かい合って座る。

 ふたりは、ふたりで一緒に漫画を読むと、原稿から顔を上げた。


「オチは?」

「オチがない。オチてない」


 俺は、白状する。


「ふっ 何を隠そう、俺のギフトは『起承転転(きしょうてんてん)転転拳(てんてんけん)』、驚きの展開で読者を殴り『続ける』ことのできるギフトなのだ――」


 ふたりはもう一度原稿に目を落とし、もう一度、俺を見た。


「いや、オチがないのはダメだろ」

「ギフトの名前も惜しいわ。あとひと声!」


 俺の頭に彼らの評価が矢印になって刺さる。


「あとな、エロがない」

「そうよ、それが一番大事だわ」

「ちょっとえっちな女の子か男の子がひとりもでてこない。

 ちゃんとな、おまえの性癖を見せろ」


 俺はブチギレ、立ち上がる。


「エロは、どうでもいいだろう!?!?」


 彼(彼女)もブチギレ、立ち上がる。


「おいおまえ! 言ってはいけないことを言ったな!?

 仮にも『俺たち』に読ませにきておいて、『エロはどうでもいい』とは何を言うか!?!?」


「俺たちはなあ エロに人生を救われ、エロに人生をかける(おとこ)たちなんだよっ!!!」


「エロは、どうでもいい! だって」


 俺は胸に手を当てて、胸を張る。


「この体の持ち主も、俺も、18歳未満(みせいねん)だ!!!!」


 彼らは絶句する。

 彼(彼女)は怒り、彼女(彼)は笑った。


「おまえー! 入り口見なかったのか!?

 18歳未満立ち入り禁止って、ちゃんと書いてあっただろ!?」

「だってだってだって!!!」

「いやー あはは 今の子は絵が上手いわねえ」



 性博物館は追い出されたが、彼らは友達になってくれた。漫画のオチが思いつかない俺の相談に乗ってくれ、その後、長く交友は続いた。


 だがたまに、ど下品なオチを提案してくるので、その際は、ぐーぱんちをしている。


(完)

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