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作者: poyopoyo

茹るようなある暑い日

「暑いねー」

「せやなー」

「暇だねー」


「せやなー」


やっぱり響子はかわいい、すこし紫外線で色の抜けたロングの髪の毛ここでは珍しい標準語、すべての所作が綺麗で愛嬌もある。


愛おしい


そんな溢れ出しそうな気持ちに蓋をして。

薄ピンクのそこから飛び出る音の一つ一つが耳を優しく撫でる。

横顔もまた綺麗だ。


「顔ばっか見て話聞いてるの?」


少し頬を膨らませて愛らしく怒る彼女を横目にして


「どうしたの?」


「なんかどこか遊びに行かない?」


「突然どないしたんや?」


やっぱ夏休みこうやって2人で時間を潰すのもいいけどさ、なんか思い出を作りたくてね。」


「いいね」

「どんなとこ行く?」


「なんか近場でちょっと怖い路地裏あったじゃん、あそこ」


「響子は怖いのいけるんか?」


「大丈夫だよ、〇〇くんがついてるんだから」


「行く気満載やな」

「いいよ」


「じゃあ決まりね!」


響子が言っていた路地裏は地元ではそこそこ有名で、ヤクザが出るとかお化けが出るとか、根も葉もない噂が流れていた。


響子の家から少し歩きながらそこの噂話をした。

他愛もない話だが、俺には幸せそのものに思えた。


幸せな時間はこれからも続くはずだ、そんなものは一抹の不安となって消えていく、そんな事を自分の机上で繰り返していたら、目的の場所についた。


「怖いねー」


なにか俺は大きな間違いをしたような気がした。


町の中にぽつんと佇んでいるそれは言葉には言い表し難いがなにかが違う。

そんな俺の不安も知らずに響子は行く気まんまん。


「〇〇くん思ったよりもビビりなのー?」


「ビビってるわけねーよ!」


手を引かれ路地裏にズカズカと進んでいく。


「なんだー案外なにもないんだね」


「わぁ!」

「キャ!」


そんな仕方がないやりとりを楽しみながら消えぬ不安を抱え裏を進んで行く。



「十字路だね」

「どっちに進む?」


「せやなぁ、男なら真っ直ぐや!」


今度は逆に俺が手を引き彼女を先導する。


俺は忘れていた。

一番怖いのはヤクザでもお化けでもなく


「わぁ!?」


「もう効かないよー…?」


「えっ?」


後ろからでも俺に異常があったんだとわかったんだろう。


それは14歳の俺したらあまり大きな奴で先までは無かったはずの悪臭が漂っていた


ヒュー ヒュー 

壁と壁に当たりそうな大きな肩ぼさぼさで整えると言う言葉を忘れた髪、手には薄暗いのに光を反射している包丁。


やばい

やばいやばいやばい


そんな言葉が脳に響く


凍りついた空気を破って先に動いたのは俺だった


それを見て固まっている響子を無理やり現実に引き戻し、来た道を走った。


一足遅れて大男はさらに息を荒げながら背を追う。


「逃げろ!逃げろ!」


初めて知る死の直感


「なんなの!?あれ!?」


「そんな事どうでもええやろ!早く逃げろ!」


幸運なことにやつは足が遅く、遠ざかる息。


そこからはあまり覚えていない


ただひたすら ただひたすらに走った


もうやつは見えないのに


響子の家には帰らず、俺の家に走った




10年後



「懐かしいねー」


「そんなことあったなー」


俺と響子はそんな一夏の思い出に浸っていた


「あの時はどうにかなっちゃうと思ったよ」

「あの時はありがとうね〇〇くん」


彼女は変わらない笑顔を照らしながら机にのしている俺の手を握った。


ピンポーン ピンポーン


幸せな空間に響くチャイム


「こんな時間に誰や?」


「さぁ?とりあえず行ってくるね」


気分を変えない足取りをしながら対応に向かった。


ガチャ




やっぱ響子って名前いいですね、

寝る前にパパって仕上げた作品ですが書いていて楽しくてなかなかに怖かったです

二作品目です

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