世間知らずの白髪の少女と古代魔法都市(現代版)雨の日の魔女:性暴力、監禁、そして世界を変えた力(挿絵あり)
この物語は、世間知らずの白髪の少女と古代魔法都市(絶望と再生の物語)「あなたが見ている世界。それは、本当に本当の世界ですか?」完全版(挿絵80枚以上)を現代風にアレンジして書いた物語です。
雨音は悲劇の始まり、そして世界を変える力へ。
槙野
雨がしとしとと降る、どこにでもありふれた日本の住宅街。その一角に、魔女、槙野はひっそりと暮らしていた。彼女の過去は、雨音のように重く、冷たかった。小学校、中学校、高校、そして大学。それぞれの場所で、彼女は抗えない性暴力に晒された。社会人になり、ようやく見つけた温かい場所。結婚を間近に控えた恋人がいた。その幸せな日々は、結婚式の前日に突然終わりを告げた。
拉致される槙野
仕事からの帰り道、背後から迫る黒い車。有無を言わさぬ男たちの力に引きずり込まれ、気づけば見知らぬ倉庫の中にいた。そこで始まったのは、終わりの見えない悪夢だった。毎日毎日、彼女は犯され続けた。
犯される槙野
彼女の失踪に、警察は懸命の捜索を行った。恋人も、憔悴しながら手がかりを探し続けた。しかし、槙野の消息は全く掴めなかった。その頃、薄暗い倉庫の片隅で、槙野は生ける屍のように息をしていた。
ある日、ねじれた笑みを浮かべた男が近づいてきた。その歪んだ表情を見た瞬間、槙野の中で何かが音を立てて崩れ落ちた。
「もう、こんな人生は嫌だ!」
その時、彼女は抑え込んでいた力を解放した。槙野は、世界に数えるほどしかいない、強大な魔力の持ち主だったのだ。それは、世界の理さえも捻じ曲げるほどの、途方もない力。長年閉じ込めていた感情が爆発し、強大な魔力となって倉庫を満たした。
倉庫の壁が軋み、床が震える。男たちは悲鳴を上げる間もなく、見えない力に吹き飛ばされた。槙野の瞳は、深い闇のように光を失っていた。彼女の中で湧き上がってきたのは、底知れない怒りと、虚無感だった。
雨は依然として降り続いている。しかし、先ほどまでの悲しみを帯びた音色とは異なり、今はまるで世界を洗い流すような、激しい音を立てていた。倉庫の外では、異常な地鳴りが響き渡り、近隣住民が不安げに空を見上げていた。
槙野は、崩壊した倉庫の中で立ち尽くしていた。解放された魔力は、彼女の制御を離れ、周囲の空間を歪ませ始めていた。地面が隆起し、空の色が一瞬にして変わる。彼女は、自分がとてつもない力を手に入れたと同時に、その力を持て余していることを痛感した。
槙野と魔法
恋人の懸命な捜索は、依然として続いていた。彼は、槙野が最後に目撃された場所を中心に、聞き込みを続けていた。警察の捜査も、有力な手がかりがないまま、時間だけが過ぎていた。誰も、この静かな雨の夜に、信じられないような異変が起きているとは想像もしていなかった。
槙野は、自分の解放した力が何を引き起こすのか、まだ理解していなかった。ただ、彼女の中で確かに言えることは、「もう二度と、誰にも傷つけられない」という強い決意だけだった。その決意は、彼女の強大な魔力と共鳴し、静かに、しかし確実に、世界の形を変えようとしていた。
あの夜、槙野が放った強大な魔力は、世界を静かに、しかし確実に塗り替えていった。意識が戻った時、世界は一変していた。見慣れたはずの景色は歪み、人々はまるで精巧に作られた人形のように、無表情で歩き回っている。いや、彼ら自身が本当に人形なのだ。陶器のような白い肌、ガラス玉のような瞳。感情の欠片も見られないその姿は、異様であり、恐ろしかった。
槙野自身もまた、一体の人形となっていた。しかし、他の人形たちとは明らかに異なる点があった。それは、彼女の中に確かに残っている、人間だった頃の記憶と感情だ。喜び、悲しみ、そして何よりも、あの夜の深い憎しみ。
人形たちは、無言で動き回っている。時折、一体の人形が別の人形に襲い掛かり、その体の一部を貪り食う光景が繰り広げられる。それは、生きるための本能だった。この世界では、人形は共食いをしなければ、その存在を維持することができないのだ。
共食い
槙野は、この異質な世界で一人彷徨っていた。他の人形たちのように、誰かを襲うことも、襲われることもなく。彼女の中の人間だった頃の感情が、それを強く拒んでいた。しかし、何も食べずにいられるはずもない。腹の底から湧き上がる飢餓感は、次第に彼女の心を蝕んでいった。
そんな中、槙野は一体の小さな人形と出会った。他の人形たちよりも小さく、どこか怯えたような瞳をしている。その人形もまた、共食いをすることに抵抗があるようだった。二体の人形の間には、言葉を超えた微かな繋がりが生まれた。
ある日、槙野は他の人形たちが、一体の人形を囲んで貪り食っている光景を目撃した。その人形は、先ほどまで近くにいた、小さな人形だった。信じられない光景に、槙野の胸に激しい怒りが湧き上がった。
「こんな世界は間違っている!」
彼女の中で、再びあの夜の感情が蘇る。それは、絶望と悲しみ、そして僅かに残った希望の光だった。槙野は、自分の中に眠る魔力を再び呼び覚まそうとした。この歪んだ人形の世界を変えるために。
しかし、人形である彼女の力は、人間だった頃のように強大ではない。それでも、彼女は諦めなかった。小さな抵抗を試みようとしたその時、一体の大きな人形が、無表情のまま槙野に近づいてきた。その手には、鋭利な陶器の破片が握られている。
この人形の世界で、槙野は一体何ができるのだろうか。彼女の心に残る人間の感情は、この過酷な世界で生き残るための枷となるのか、それとも、世界を変えるための希望となるのか。人形たちの共食いが繰り返される中で、槙野の戦いが、今、始まろうとしていた。
大きな人形が迫り来る中、槙野は咄嗟に身をかわした。陶器の破片が掠り、頬に凍てついた感触が走る。彼女は、かつて人間だった頃の反射神経を頼りに、その場を離れた。
逃げ込んだ先は、崩れかけた古い建物の中だった。そこには、同じように共食いを拒む数体の小さな人形たちが身を寄せ合っていた。彼らの瞳には、恐怖と諦めが入り混じった光が宿っている。
避難している人形たち
槙野は、彼らの中にあの小さな人形の姿を見つけた。無事だったことに安堵すると同時に、この弱き者たちが生き延びるためには、自分が何かを変えなければならないと強く感じた。
彼女は、自身の中に残る僅かな魔力を探った。人形の体では、かつてのようには力を使えない。それでも、微かにだが、世界に干渉する力は残っている。槙野は、その小さな力を集中させ、周囲の人形たちの動きをほんの少しだけ鈍らせることを試みた。
それは、ごくわずかな変化だった。しかし、共食いに怯える小さな人形たちにとっては、逃げるための貴重な時間となった。槙野は、彼らを安全な場所へと導きながら、この世界の法則を打ち破る方法を探し続けた。
ある日、槙野は古い書物のようなものを見つけた。それは、人間だった頃の記憶が断片的に残る彼女にとって、どこか懐かしい文字で書かれていた。解読を試みるうちに、彼女はこの人形の世界が、人々の強い願いや感情が具現化したものであることを知った。そして、この世界を元に戻すためには、強い肯定的な感情、希望や愛が必要なのだということも。
槙野は、小さな人形たちに語り始めた。人間だった頃の温かい記憶、恋人との優しい時間、失われたけれど確かに存在した美しい世界について。彼女の言葉は、無表情だった人形たちの心に、微かな温かさを灯し始めた。彼らの瞳に、初めて希望らしきものが宿ったのだ。
小さな人形たちは、槙野の言葉に耳を傾け、互いに寄り添い始めた。共食いをするのではなく、互いを守り、助け合うようになった。そのあり方は徐々に広がり、他の人形たちの間にも共感の輪が広がっていった。
世界は、少しずつ変化し始めた。無機質だった人形たちの表情に、微かながら感情が宿り始めたのだ。争いは減り、互いを思いやる心が、人形たちの間に広がり始めた。
そしてついに、槙野の心に、温かい感情が溢れ出した。それは、失われた恋人への愛おしさ、共に生きる小さな人形たちへの慈しみ、そして、この世界が再び温かい場所になるかもしれないという希望だった。
その時、世界は眩い光に包まれた。人形たちの体は光を放ち、ゆっくりと元の人の姿に戻っていく。槙野もまた、懐かしい人間の姿を取り戻していた。目の前には、あの優しい笑顔の恋人が立っている。
「まき...!」
二人は固く抱きしめ合った。周囲には、同じように人の姿に戻った人々が、喜びの涙を流しながら再会を喜んでいた。人形の世界は消え、そこには、かつての温かい日常が戻っていた。
槙野は、あの悪夢のような出来事を決して忘れないだろう。しかし、絶望の中で見つけた小さな希望の光、そして、共に支え合った人形たちの温もりは、彼女の心に深く刻まれた。世界は変わった。悲しみや憎しみではなく、希望と愛の力で。
【アルバム】
槙野 OL時代
槙野 OL時代
槙野 OL時代
槙野と愛犬
槙野と魔法学校
槙野と着替え
槙野とお風呂
槙野 アイスを買いにコンビニへ
槙野と就寝
槙野 女子高生時代
ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。
それでは、良い一日をお過ごしください。
親愛なる貴方様へ。
希望の王より。