第5話「勇者、魔王軍の幹部を圧倒する(後編)」
「終わりだ、勇者!!」
ベルドの大剣が俺に振り下ろされる――!!
その瞬間。
カァァァン!!
「なっ!?」
ベルドの剣が止まった。
俺が片手で受け止めたからだ。
「……はぁ。」
俺はため息をついた。
「お前さ、俺のスキルの仕様、ちゃんと理解してるか?」
「何……!?」
「俺のスキルは好感度が低いほど強くなる。魔王軍が俺をどれだけ嫌おうと、その分だけ俺は強くなるってことだ。」
「馬鹿な……!!」
ベルドが驚愕する間もなく、俺は剣を軽く振るう。
ドゴォォォォン!!!
一撃で、ベルドの鎧が砕け、彼の巨体が吹っ飛んだ。
「な、何……!?」
「悪いな、これでもまだ力の半分も出してない。」
ベルドはボロボロになりながらも、なおも立ち上がる。
「勇者め……! 貴様のような不快な存在を、このまま見逃すわけには……!」
「しつこいな。」
俺がトドメを刺そうとした時――
「もうやめて!!」
リリエルが俺の前に立ちはだかった。
「お願い……これ以上、争うのは……。」
「くっ……巫女殿の頼みでは仕方がない……。」
ベルドは歯噛みしながら、大剣を収める。
「……だが、勇者よ。」
「なんだよ?」
「私は貴様を絶対に認めん。」
「知ってた。」
「次に会う時こそ、貴様をこの世から消してやる……!」
ベルドは魔法陣を展開し、そのまま撤退した。
俺は剣を収めると、大きくため息をつく。
「……リリエル、お前、敵味方関係なく甘やかされる才能でも持ってんのか?」
「えへへ……。」
「俺との待遇の差がヤバすぎるんだけど?」
「し、シンは……その……好感度がね……?」
「俺が言いたいのは、そこじゃねぇ……!」
こうして、俺はますます魔王軍に嫌われることになった。
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次回予告:第6話「魔王軍、勇者討伐に燃える」
・ベルド、魔王軍に帰還し勇者の報告をする
・魔王軍「そんな厄災、全力で潰すしかない!」
・勇者、敵軍の士気を爆上げする!?