第4話「勇者、魔王軍の幹部に狙われる(前編)」
町の井戸掃除から数日後。
ドゴォォォォン!!!
突然、町の門が爆発し、黒い鎧を纏った男が現れる。
「ククク……ついに見つけたぞ、勇者!!」
「また厄介ごとか……。」
俺はため息をつきながらそいつを見る。
「貴様が勇者か。噂通り、近寄り難い存在感を放っているな。我は**魔王軍四天王、《黒鎧のベルド》**だ。」
「ほう、四天王ねぇ。ってか、俺は魔王軍からも好感度が低いのか?当然と言えば当然だが。」
「よくわかっているではないか。今魔王軍は魔王様を筆頭にお前を抹殺することに躍起になっている。したがって、ここで貴様を仕留めさせてもらう。」
ベルドは大剣を引き抜き、俺を睨みつける。
「ちょっと待った!」
その時、リリエルが一歩前に出た。
「勇者を殺すなんて、そんなことしないでください!」
「む……? そこの娘、お前は……?」
ベルドの目がリリエルを見た瞬間、明らかに殺気が和らいだ。
「まさか……**神託の巫女**か?」
「はい!私はリリエル。どうか話し合いで解決できませんか?」
「ふむ……」
ベルドはしばらく考え込み、ため息をついた。
「ならば、お前の頼みだ。一度は聞き入れよう。」
「えっ、本当に!?」
「魔王軍としても、オラクルに無益な争いを仕掛けるつもりはないからな。」
リリエルがほっと安堵の表情を浮かべる。
だが――
「って、おいおい、俺の立場は!?というか、リリエルは魔王軍からも好感度高いの!?」
俺が口を挟むと、ベルドの顔が一瞬にして険しくなる。
「貴様は別だ。貴様は勇者だ。しかも、我らが最も憎む好感度が低い存在……!」
「えぇ……。」
「我ら魔王軍が誇る勇者の分析記述によれば……貴様の好感度、-999%。」
「知ってた。でも最近は少し好感度が上がっているはず。」
「多少の誤差は関係ない!!勇者であるだけでも忌々しいというのに、貴様の好感度のせいで見ているだけで虫唾が走る……!」
「おい、俺のスキルって視界に入るだけで嫌悪感与えてんの?」
「その通りだ!こんな不快な存在を見逃せるはずがない!」
ベルドが再び剣を構える。
「だが、神託の巫女が望むなら、せめて痛みなく殺してやろう。」
「全力で殺す気じゃねぇか!!」
「ちょっと待って!!」
リリエルが慌てて前に出る。
「ベルドさん、勇者をどうか許してください!」
「……神託の巫女がそこまで言うなら……。」
俺は少しホッとする。
だが――
「……苦痛を伴うように殺してやろう。」
「何でそうなるんだよ!?」
「そもそも、勇者は勇者らしく民衆に讃えられてこそ、だろう?貴様はそれができんのだ。民衆からも嫌われ、魔王軍からはもっと嫌われる惨めな存在。ならば、いっその事死ぬべき存在……!」
「そんな理論があるか!!!」
ゴォォォン!!!
ベルドの剣から黒い炎が吹き出し、辺りの地面を焦がす。
「終わりだ、勇者!!」
ベルドの大剣が俺に振り下ろされる――!!
次回予告:第5話「勇者 vs. 魔王軍幹部!」
・魔王軍四天王、ついに登場!圧倒的な力を見せつける!
・リリエル、勇者を信じて戦場に立つ!
・勇者、好感度マイナスの力で逆転なるか!?