市場とセレーヌ
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王子は、よく姿を隠して市場に遊びに行っているようだった。メリンダのもとを訪れる際は、大抵市場で買った奇妙なものをプレゼントしてくれた。
不思議な手作りの鏡や、変わった模様の石など、お金のかからない、変に愛着のわくものを持ってくる。
メリンダは、王子が持ってくる妙なプレゼントが嬉しくてたまらなかった。
しかし、メリンダは少し寂しい気持ちもあった。もしかしたら、王子がくれたプレゼントは、市場で出会ったセレーヌという少女と一緒に選んだものかもしれないと思うと、胸がギュッとなった。
ゲームでは、幼少期にセレーヌと出会って一目ぼれをしたと書かれていたが、一回だけしかあってないという設定だった気がする。
しかし、もしかしたらゲームの設定が変わって、頻繁にセレーヌと会ってるのかもしれないと勘ぐってしまうのだ。
会ってなくても、もしかしたら市場で彼女の姿を探しているのかもしれない。
私が、もやもやと悩んでいると、王子は気軽にメリンダに話しかける。
「ねえ。メリンダも市場に行こうよ!面白い場所なんだよ!」
「え、ええ。」
メリンダは、曖昧にうなずいた。
王子と、市場に行くのは初めてだった。王都は、華やかで貴族や王族が訪れるような場所もある。その一方で、王城から離れると一般市民が店や家を構える市場になっている。
メリンダたちは、市民の格好に着替えた。基本的には、市民にばれないようにお忍びで市場に出る。
準備を終えた王子は、メリンダを出迎えた。いつもの王子とは違い、ボロボロの服を着ている。メリンダがよくおしゃべりする庭師によく似た服で、シンプルなウールのシャツに頑丈そうな黒いズボンを着ている。王子は深く青色の帽子をかぶっていた。
帽子の下から、澄んだ綺麗な青い瞳がメリンダを覗いた。
「市民の姿も似合うね。」
王子は、優しく微笑む。
いつもより少し無邪気な気がして、メリンダは少しドキリとした。
「王子は、とても馴染んでますね。」
「そうかな?もう何回も言ったから馴染んだのかも。」
王子は、少しテンションがあがっているようだった。
「メリンダと一緒に行けて嬉しいな。面白いところなんだよ!変わった白いもちもちした食べ物があるんだ。」
メリンダは首をかしげる。
「もちもち?」
「行ったら案内するよ!」
王都のとある門を超えると、そこから先は市場になる。門から先は一定以上の地位がないと通れないようになっている。
その門を超え、しばらく馬を走らせると、下町のような活気のある市場が通りにずっと並んでいた。
「え、セリーヌ?」
王子は、驚いた様子だった。
少し脇道にある小さなパン屋の前で、かわいらしい少女が店に入っていくのが見えた。
メリンダは、その少女を見て固まった。
ゲームの主人公、セリーヌ本人だった。
私は、遠慮気味に王子を見る。王子は、驚いていて、そのドアの先をずっと見つめていた。
私の目線に気づいた王子が私の方見る。
「あ、ごめん。実は知り合いがいたんだ。」
「あ、あの、パン屋に入っていった女の子ですか?」
王子は頷く。
「そう。僕が初めて市場に遊びに出かけた時、お金を取られて困っている子がいて。その子を助けてあげたんだ。その代わりに色々、市場のことを教えてもらって。」
王子は、セレーヌを見つけたことに、嬉しそうな顔をしていた。
メリンダは、王子の袖をひっぱる。そして耳打ちした。
「もしかして、王子の好きな人だったりしますか?」
王子は、ギクッと体をこわばらせた。そして顔を真っ赤にしている。
「え、え。なんで?」
メリンダは、分かりやすいなと思った。そして、顔を真っ赤にしている王子にきゅんとする。
なぜ、王子が恋をしている姿にときめいてしまうのだろうか。
再びパン屋の扉が開くと、少女が大きなパンをもって出てきた。買い出しを終えたようでこちらに歩いてくる。
王子は、「行こうか。」とその場を離れようとしたが、少女は王子を見つけたようだ。
「あ、あれ?あの時の!」
少女は、王子を見つけると満面の笑顔で、こちらに走ってくる。
大きなパンを抱えて、必死に走ってくる姿は、メリンダがみても可愛かった。
「久しぶりね!」
セレーヌは、王子のことを平民だと思っているようで気軽に話しかけてくる。
「久しぶりだね。あの時は案内してくれてありがとう。」
王子は、なんだかんだありながらも、セレーヌと会えてうれしそうだった。
「なんで?こっちが助けられたのよ!お礼を言うのはこっちだわ!!」
セレーヌは、王子に挨拶をすると、こちらを向いた。
「まあ!かわいらしい子!!こんなかわいい子見たことないわ!!」
セレーヌは、人懐っこい笑顔で私の方を見る。どう考えても憎めない、純粋な笑顔にメリンダも心を許しそうになる。
「初めまして!!私セレーヌっていうの!」
メリンダも遠慮がちに挨拶をする。
「私は、メリンダ。よろしくね。」
セレーヌは、嬉しそうに王子とメリンダを見る。
「ちょっと待ってて!家近くなの!せっかく会ったんだし、二人を案内していい??」
メリンダは、セレーヌの勢いに引きながらうなずいた。
「え、ええ。」
次回、主人公ピンチに!
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