三のゆめ 栞のページを開いて
それはいつも飛んでいた
ふわりふわりと綿帽子
想い耽ると表れて
おちょくるように脳裏で揺蕩う
夏休み、とある昼下がり。
「おーい、魄ちゃ~ん!」呼ばれた彼女は振り返る。
「あ、瑠璃さん、!お久しぶりです、、!」こちらに気付いて、とてとて歩いてくる魄ちゃん。かわいい。
「お久し~!どしたの?こんなところで、何か買い物かい?」
魄ちゃんを見つけたのは仙京の水晶街の中。琉棒での合宿が終わって、夏休みが始まり、三分の一位の日が経ち、暇を持て余して散歩していた時に偶然にも魄ちゃんを見かけたので内心大喜びで声をかけた。忘れられてなくてよかった。
「はい、!これからお買い物です。使っていたマーカーペンが切れちゃったので、その補充です」
「ほぉ、魄ちゃんは絵描きさんだったのかぁ!あのさ、もし迷惑じゃなかったらさ、ぼれもついて行ってもいい?暇すぎて散歩してたんよ」
「あ、はい、!全然大丈夫です、!」
「あんがと、じゃあ行きながら駄弁りましょうかね」合意も得たので、二人でアーケードを歩く。
今は夏休みのなので人間が多い。魄ちゃんは身長が低いから、はぐれたら見失ってしまいそうだ。気を付けよう。私服かわいい。地雷系?ってやつ?を魄ちゃん好きなのかな。それに対してぼれの恰好、デカいキャラクターロゴのTシャツにハーフパンツ。もう少しマシなの着てくれば良かったわ、チキショー!ちなみに、おでんは家で留守番している。
「わたし、あまり人が多いところに慣れてなくて、一人だと心細かったので、、瑠璃さんと一緒で安心です、!」おいおいおい、そんなこと言われたら照れるじゃねぇか。
「あ、そうだったのね、大丈夫か?アーケードも夏休みのせいか人も多いしな。アーケードから外れるかい?」と提案する。人酔いして体調を崩さないか心配だ。
「い、いえ、今は大丈夫、です!それに、瑠璃さんと歩いてると、心なしか、歩きやすいです、、!」
「ホント?でかいからかな?ならぼれの傍から離れちゃ駄目よ?人の波に飲まれちゃうからね?そうなっちゃったら見つけれなくなるかも」
「わ、分かりました、!で、でも瑠璃さんは、目立つのですぐに見つけられます、!」
「そぉ?人混みの中でも見つけられるかな?」
「も、もちろんです!その、瑠璃さんの髪色、とても綺麗なので」
「あら、嬉しいこと言うじゃない?褒めても魄ちゃんを守ることしかできないよ~?」
「だって、本当に綺麗です。深い深い碧い色と、そしてたまにちらりと見えるピアスも相まって、わたし好きです」まったく、照れることを言いやがる。
「そんな魄ちゃんも、合宿のときとはまた違った服装だね、なかなかにキュートでパンクじゃないか!控えめなの着てるかと思ったら全然だ!ギャップ萌えだぜ?そして何より、惹きつけられる首筋にチョーカーだとぅ?それに銀の十字架の装飾。最高にクールだ!その耳のはピアス?全体的に統一されていてお似合いだよ」とめっちゃ褒めちぎり倒した。そんな魄ちゃんはもじもじしている。言い過ぎたかな、まぁ思ってたことが流れ出てきちゃっただけやな。
「ぁ、ありがとうございます、い、一応、耳のは、ピアスじゃなくて、イヤリング、です」
「あら、そうだったのね。やっぱりピアスは怖い?」
「そうですね、痛いのは、怖いです。でも、イヤリングよりピアスの方がカッコいいのが沢山なので、いつかは開けたいと思っています」
「そうかそうか。もし開けるときね、氷で冷やさない方がいいよ。冷やすとね、後からジンジンくるからね」一応説明すると、冷やされて血管が小さくなり痛覚が鈍るだけで、常温に戻る際に血行の流れが良くなるので後からジンジンと来る。ので普通に開けた方が良い。痛いのは変わらないけど。
「そ、そうなんですね。勇気を出して、開けます、!いつか」
「うむ、そうしな。何事も勇気は必要さね」と経験者目線で話す。
そんなこんな話してれば、お目当ての画材屋さんに着いたらしい。魄ちゃんが「ここです」と指をさす。それに並んで「ほぇ~、こんなとこがあるんやねぇ」と感心する。
店内に入る。内装は白の統一で、なんか大きめのコンビニみたいな感じ。
どこにあるんだろう、?とあちこちを歩く魄ちゃん。ぼれも探してくるよ。と言い、マーカーペンが置いてある所を探し回る。してら、奥の方に置かれていたので魄ちゃんを連れてくる。
「お嬢様、こちらになります。何色がご要望でしょうか?」と執事の真似事をする。
「そうですね。水色と、黄緑色と、あとはー、肌色も欲しいので、六三番と五五番と五六、それで一三四番が欲しいです、、!」と番号を教えてくれる。
「かしこまりました、今お取りします。てか、色に番号とかあるんやね。初知りや」
「そうですね、色にも、いろんな種類が、あるんです。わたしも、最近知って、色の使い分けをするようになって、ちょっと出費が、です」どうやらお財布さんとはちょくちょく相談をしているらしい。
「あらま、それは一大事ね。でも、出費が多くても浪漫のためなら、いとおかしだな」
「そうです、わたしの、自己満足、です、!」
そして買い物を終えて、二人は外に出る。
「無事に買い物出来ましたな。魄ちゃんはまだ時間は?」まだもう少し話したい。
「んーと、まだ、大丈夫です!お母さんには、お買い物の後に少し散歩してくるって伝えています」
「よっしゃ、じゃあどっか落ち着く所に行こうか」そう言って瑠璃は魄ちゃんを連れ、アーケードから外れて少しした場所にある喫茶店に入った。
「俺はメロンソーダにしようかな、魄ちゃんは何飲むの?」
「う~ん、わたしは、苦いのが苦手なので、、何がいいんでしょうか?」とこちらを見る。甘いやつね、んーと。
「あらかわいい。んじゃあ、ホットチョコレートか、もし冒険するならカフェモカ。こいつはね、エスプレッソにホットチョコレート混ぜたやつだから甘いめのコーヒーだよ」
「へー、じゃあ今日は、冒険します、!一応、チョコレートを多めでお願いします」
「お、いいね~。じゃあ、メロンソーダとカフェモカで!カフェモカのホットチョコレート多めでお願いします!」と店員さんに伝える。
「そういやさ、気になったんだけど、魄ちゃんはあれかい?絵の具は使わないのかい?」
「そうですね、、。絵の具よりも、マーカーペンの方が、かさばらなくて使いやすいです。でも、絵の具の方で、筆を走らせたり、色を乗せてみたり、したいです!」
「てことは、魄ちゃんはイラストとかを描いているの?」
「そうです!アニメのキャラクターとか、かわいめの動物とかお花とかをです。いづれは、風景とかも描きたいんですけど、おこづかいがですね、、」と悩める少女らしい。
「なるほどね~。待てよ?今ふと思い出したんだけどさ、ぼれ良いところ知ってるわ。」
「いいところ、?」
「うん。琥珀街にあるんだけどよ、入って目の前に色んな色が入った小瓶が壁にずぅらぁあーって並んでる店。まるで虹色のべっこう飴みたでさ!めっちゃ綺麗で、空翔ぶのに疲れて休んでるときに店の反対側からぼーっと見てるのよ」
「へぇー、!そんなところがあるんですか!?行きたいなぁ。でも、琥珀街には行ってダメ!ってお父さんから言われてるんです」残念そうに落ち込む魄ちゃん。
「マジか。まぁ、琥珀は嫌いな人は嫌いな街だしなぁ。ぼれが守るからこっそり行っちゃいますか?」と悪魔のささやきをする。
「さ、さすがにそんな勇気は、まだ、ありませんん」そらそうや。
「だな笑すまんすまん、いつか行けるようになったらいいね」
「はい、お父さんに、相談してみます!」許されるといいね、と返事をする。
そんなこんなで気付けば夕方になっていた。駅まで魄ちゃんを見送る。
「今日はありがとな~、楽しかったずい」と地下鉄の入口に到着。
「いえいえ、こちらこそです、、!また瑠璃さんと話せて嬉しかったですし、、。あ、あの、もし大丈夫でしたら、あの、れ」
「れ?あ!そうだった!連絡先!交換しようよ!合宿の時に交換し忘れてめっちゃ後悔してたんよ。しよしよ!」いけねぇ、また忘れるところだった。てか魄ちゃんから言ってくれるなんて、これはもう打ち上げ花火だぜ。
お互いに端末機を取り出して、連絡先を交換する。
「よし!これでこれから連絡し放題やな。ありがとね」親指をあげてグっとする。
「わたしも、ありがとうございます。こっちでも、その、話せたら嬉しいです」魄ちゃんも親指をあげてグっとし返してくれた。
「もちろん!家に帰ったら、ペットの写真送って見せてあげる」
「瑠璃さん、ペット飼ってたんですね、!何を飼っているんですか?」
「浮いてるハリセンボンでさ、おでんって呼んでるんだ。後で見せてあげるね」
「へぇ~、おでんちゃんですか、楽しみにしてますね」
「任せときな!ばちこりかわいく撮って送るね」と約束する。
「はい、!それじゃあ、後は一人で地下鉄に乗って、帰りますね」
「うん、気ぃつけてな」
「はい、それでは、!」二人は互いに手を振り、別れを告げる。
魄ちゃんが乗った電車が見えなくなるまで見届ける。
「よ~し、おでんも寂しがってるだろうし、ぼれも帰りますかね~っと!」と家への帰路を歩く瑠璃だった。彼が居た場所には、硝子玉が一つ、転がっている。
ゆめか、うつつか。