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一のうつつ 寝すぎ、昼飯、朝ラーメン

それはいつも飛んでいた




ふわりふわりと綿帽子




想い耽ると表れて




おちょくるように脳裏で揺蕩う

 カンカンと照っている太陽。透き通るような水色の空。少しもばかり浮かぶ雲。昼近く、ふと目覚める。しょぼしょぼする目をこじ開ける。


「くわぁあぁあ~ん、おはよぉあああ!おでんの煮付けぇえ~あ!」

 今にも死にそうな声を絞り出して瑠璃は起き上がる。それに答えるようにおでんもゆっくりと泳ぎ始め、ぼんやりとしながら瑠璃の髪の毛をついばんで引っ張っている。


「いてぇなぁこのやろー。朝飯と水とだろー?待ってやがれ、今から出してやるからなー。ちくしょー、昨日多分ぼれラムネ菓子食ってないなぁ?くそほどダルいぜぇえ」

 ぐわぁああ、と言いながらぬるぬるとタオルの海の中から出てくる。その周りには硝子玉が転がっている。

 早くしろと言わんばかりに追い討ちをかけるようにおでんは催促の頭突きをしてくる。やめいやめいと手で払う。すればおでんは膨らんでとげとげしだす。とげとげまるまると一緒に洗面所へ向かう。

 起きたらまずは顔を洗って口を濯ぐ。じゃないと口んなか最悪だからな。して時計を見ると時間はもうお昼を指していた、そりゃあおでんもすっきりとしたくて怒るわな。


「あちゃあ~。これはこれは失礼しましたっと!おでんちゃん怒らんといてえな。詫びとしてご飯山盛りの少し少なめにしてあげるからね。ほぉら、迎え行く前に冷やしといたキンキンのお水ちゃんもあるでぇ!いつもより多めにとっといたから水浴びるなり飲むなりしやがれ!」デデン!と机の上に水の入った洗面器を置く。

 ドンとおでんの前に置かれた水は冷蔵庫に一晩置いてカルキ抜きした普通の水道水。朝はこれを飲んでスイッチを入れる。ついでにラムネ菓子も数粒口に放り込む。アルコールまみれでやられた体にはこれが効くんですよ。


「よしおでん。この一ミリもやる気が起きないかつ酒で寝落ちしてダルダルなときは何を食うんだっけ?」とおでんに問いかける。

 おでんはそんなこと知るわけなかろうかとの如くキンキンの水道水にダイブしており、それどころではなかった。


「うんうん、おでんもそう思うよな。そうさ。ぼれの朝飯(昼飯)は梅小屋の鳥モツラーメンだぜ!行くぞ!」と言いながら着替えをし始める。


 コーデは白の少し大きめのTシャツと緑色のミリタリーでアクティブなパンツに差し色で黄色のチャックついてるタイプのスニーカー。これしか勝たん。機動性に優れて靴紐を気にしなくていい。髪型?めんどいからノーセット。。最後にグライダーが収納してあるバックパックを背負う。これだけはかかせない。ぼれの体の一部であり、空を駆け回る為に必要な物だ。

 準備万端。よし翔ぼうと思ったけど身体疲れてるし、やっぱり歩いて行くことにしました。意識トンで落っこちたら大変だしね。てことで玄関にバックパックを置いて、扉をガチャリと。


「行ってきます」

 彼が居なくなった玄関には青色の硝子玉が一つ転がっている。




 デフツ都市の中にある仙京に建つ、中心よりかは少しずれた場所に建つ周りより高いマンションの最上階から一階に付くまでぼんやりとエレベーターに揺られながら外の景色を眺める。

 このデフツは海に面しているが、瑠璃が住む仙京は海から離れている。

 都市全体が多少乗り物が浮くぐらいの発展はしていて、もし地震などで津波が来ても政府が設立した災害対策により国民の安全が保障されている。まだそこまで大きな災害は起こっていないが、以前に海に落ちた時に見た沿岸沿いに造られた装置は目を見張った。簡単に言えばシールドのようなもので沿岸部全体が囲まれており、海底にはめっちゃでかい魚雷みたいなものが大海原の方を向いて鎮座していた。

 まぁ、確かに海の中はヤバい。特に深海に行くにつれてだんだんとヤバいくなってくんだよねぇ。そのヤバさを知ってるの多分ぼれだけだな。


 そんなことは置いといて、マンションを出て梅小屋に歩みを進めてく。仙京は今日も平和で賑やかだ。老若男女問わず多くの人々が街中を歩いている。そのうちの一人に混ざってぼれとおでんはぐてぐて歩く。おでんは冷え冷えカルキ抜きされた水をたっぷり浴びて元気マックスなので一泳ぎ先でルンルンしてる。

「おでん待ってくれよ~。ぼれは日差しが眩しくて太陽からいじめられてるってのによ~」んなこと知らんわ。というようにおでんは突っついてくる。


「ぁ痛ぇ!やりやがるな!仕方ねぇ、じゃあ”花火”やってあげるからカモンヒア~?」

 するとおでんは一瞬にして瑠璃のお腹に突っ込んでくる。それをがっちり掴んで、紙飛行機を投げる姿勢で思いっきり空めがけて投げる。おでんは空高く打ち上げられる。して程よい高さになったら素早く膨れてとげとげまるまるになる。これが花火のように見えるのでぼれとおでんは”花火”と呼んでいる。頭上でふわふわしているおでんを置いて先に進んでいく。


 マンションから少し歩くとクリスタルロードと呼ばれるアーケード街が見えてくる。ここは新仙京の中心に近い所で"水晶街"と言われていて、一番栄えている場所なのだが今はここに用事はないので少しだけ通るだけ。

 水晶街の正面にある水晶駅から梅小屋がある琥珀街まで乗って行くことにしよう。琥珀街は高低差があるのでちょっとしたデカい乗り物に乗ることになるので駅の一階からエスカレーターに乗って地下通路を通っていく。

 すると、どこかで見たことのある二人組が目の前を歩いている。折角なので、職務質問をするように声をかけよう。


「おーい、そこの美人なお双子さん、ちょっと職務質問いいかなァ?」と声をかける。

 その声に反応するように二人同時にくるりと振り向いた。振り向き様を例えるなら、とても美しい宝石が光に当てられてより一層輝いてみえたような感じかな。


「お?こんな時間に職務質問かと思ったら瑠璃とおでんじゃん、こんにちは!どうしたの?」と右耳に鴉のピアスを付けている柚葉色の髪色の女性は言う。


「瑠璃か、それにおでんも。こんにちは。こんな所で会うなんて珍し。どこに行くの?」と左耳に鴉のピアスを付けている淡紅藤色の髪色の女性も言う。


 彼女らは金綠コンロク姉妹。

 髪色が淡紅藤色でマッシュボブウルフな方がレイ

 もう片方の髪色が柚葉色で外ハネミディアムの方がエイ

 二人はほぼ同時で話すので喋られると普通の人は何言ってるか解らず戸惑いそうだが、ぼれは昔からの付き合いなのでとっくに慣れている。


「おぅよ、夜更け手前くらいまで酒飲んでてよー。今さっき起きたところで朝飯がてらに梅小屋のラーメンを食いに琥珀まで行く途中だったのよ。そしたら、おめぇらが居たから声かけたのさ。孁と詠はこれから仕事か?」と返す。

 二人はキミドリと言う名前でモデルの仕事をしている。デフツでも有名人らしいがぼれはそうゆうのには疎いのでよくわからん。二人が無理してなければそれで充分。


「まったく、瑠璃は相変わらず。そうね、これから仕事」

「お昼からじゃなくちゃんと早起きしなさい、まったく。ちょうど私達も琥珀で仕事だったの、それで地下鉄乗るとこ。早めに行ってあっちでお昼ご飯にしようかなって」そう言う詠の隣で、うんうんと孁が頷く。


「おぉ、そうだったのか。モデルさんはお忙しいねぇ。そんならぼれと一緒にラーメンでよかったら一緒にお昼にするか?」と昼飯に誘ってみる。


「いいね!そうしようよ孁」詠が頷いた。

「うん、私も思った。じゃあ一緒に行こ」孁も頷くと二人は並んでいた間にスペースを空ける。ここに来いとのことらしい。


「あいだ失礼するぜい。んじゃあ行くか、と思ったけどぼれ地下鉄わからんから案内よろしくおねげぇします」と言われた二人は顔を見合わせて、やれやれと溜息をつく。


 そして同時に「「ほんとに瑠璃は、、、ちゃんと私達がエスコートしてあげるから離れないでね?」」 と瑠璃の腕を拘束した。

 ハモられながら言われましても。君たち、がっちりぼれのこと挟んでるので離れられないよね?と心の中で思う瑠璃でした。

ゆめか、うつつか。

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