一のゆめ 読み掛けの幸せ
それはいつも飛んでいた
ふわりふわりと綿帽子
想い耽ると表れて
おちょくるように脳裏で揺蕩う
最初に気付いたのは高校一年生の初夏頃。
学校の行事のうちの一つの年に一回行われる一週間琉棒での滞在中の二日目、夜の自由時間に先輩達と同級生らのショーもないおふざけをみていて飽きてきたとき。
目の前を綿帽子がふわりと飛んできた。
いつも突然どこからともなくあらわれたる綿帽子は小さなバレリーナ様だ。その小さなバレリーナ様は何故か逆さまで、廃れた色の衣装を身に纏い哀しげにふわりふわりと舞うその姿に不思議や私は視線を奪われ、『どこに飛んでいくのだろう』と思いながら何処かに飛んで行くその後を導かれるように逆さまのバレリーナと共にふわりふわりと歩いて行く。
ふわり、ゆらり、おぼろ気な意識のなか、風船が前から近づいてくる。
その風船の目の前まで来たとき、突然と破裂してはっきりと目覚めて意識が浮上して行く。
辺りを見渡すとそこは宿泊施設のロビーだった。そのロビーの片隅のしかも光の影になっているそこまで大きくはない四人掛けのテーブル、そこに座っていた一人の女の子の頭に小さなバレリーナ様はふわりと腰掛けた。
さらさらとした黒の髪質と黒色で所々に十字架のマークが施された、少し大きめでダボっとしたポンチョみたいな服を着ていた女の子。
その時に彼女の存在を初めて知った。彼女は一人で下を向いて座っていた。
そんときのぼれは他の同級生とかは部屋やロビーの真ん中とかで騒いでいるのに彼女だけ一人で居るのが寂しくはないかと勝手に心配し始めて、折角だし話し掛けてみようかと頭の上に小さなバレリーナ様が座っているいる女の子に声をかけてみることにしました。
堂々と対面の少し斜めにそそくさと座り少し合間をあけてから「こんばんさん、お邪魔します。わ」と挨拶をした。
突然話しかけられたからか、びくっ!と女の子は驚いてたわ。そりゃあ一人でいるところに急に目の前の少し斜めのとこに意気揚々としてる知らんやつが居て話しかけられるしな。
「ぉお、驚かせてごめん。ぼれはルリ。宝石の瑠璃って漢字。うるさかったらすまんね」とりあえず自己紹介。
女の子はポカーンとしている。
「先輩らのおふざけに疲れてさ、こっそり抜けてきてふぅーと一息ついでに一人でいた君になんとなく話し掛けてみたのよ。」経緯を話す。
「あ、あ、、!ごめんなさい、大丈夫で、す。わたしはハクです」女の子は戸惑いつつもハクと名乗った。
「ハクちゃんか、よろしくね。漢字は白みたいな?」
「い、、いえ!なんかあんまり見ない漢字です、白が左側にあって、、右側に鬼って書きます」とハクちゃんは机でこう書きますと指で魄と書いてくれた。
「え。かっこよ!なんかあれみたい、儚いって漢字あるじゃん?あれっぽいね」
「え、?はぁ、、ぃ」魄ちゃんの反応、困ってるなこれ。
「あぁごめん!なんか変な感じになっちゃった。例えとか下手くそなんだよね、ぼれ」
「あ、、あの。ぼれとかってなんですか、、??」と訊かれた。初対面の人によく言われる質問だ。
「あ、ぼれは一人称!一人称なんて誰も気にしなそうだからなんでもエエやろみたいな感じ?でオリジナルで作ってみた。なんでぼれにしたかは発音がね、しっくりくるからかなぁ。まぁぼれと話すときは変なイントネーション多めだから慣れてくれ」と笑いながら説明した。なんていうか、おれよりぼれの方が低く響く感じがしてこっちを使っている。
「そ、、そうなんですね。わたし、あまり学校の人に声かけられないので、少し困惑してました、。!」
「そうだったの?やっぱり驚かせてたか、すまんの」
魄ちゃんはあまり人とは話さない方らしい。それなのに、こんなぼれが絡んじゃって、そりゃあびっくりするわな。
「いえ!大丈夫です、。瑠璃さんからまさか話しかけられるとは思わなくて、、」と魄ちゃんは言う。もしかしてぼれは危険人物だった、、?
「え、なんぜや?もしかして、知らんうちにやらかしてた?やっべぇ、警察に挨拶しに行かなきゃ」電話でピポパとボタンを押して耳に当てるジェスチャーをしながら。
「ぁ!違いますよ、?!その、、身長も高いし、良く周りの人達と話してると賑やかですし、それですごいなぁって、わたしの中で思ってただけです、!」と褒められた。 知れずとして誰かに思われてるってさ、自分はそこに存在してるって証明になって嬉しいよね。
「そなの?なんか嬉しいなぁ。すごいって思われてるの。いいね。ぼれも初めて言われたわ、ありがとさまね。ところで、魄ちゃんは一人で何してたの?」と気になっていた質問をする。
「あ、猫さま見てました」と魄ちゃんは机の下から端末機を取り出した。俯いてたのではなくて机の下で端末見てたのね。
「ぁあーお猫さまね、当の本人は何食わぬ顔してるけど知れずとして神様になって崇められているあのお猫さまね。ちなみにどんなお猫さま?」
「これですね、見てください。このちょもんとなってるの、可愛くないですか?」
どうです?と魄ちゃんがSNSの投稿を見せてくれた。その投稿には猫が窓際のに置いてあるクッションに座っていて、前足だけはみ出してちょもん。と立って?いて自然と口角が上がり始めじわじわと口角が上がってきた。
「どれどれ、あらら!なにこれ!どしたの!このちょもんとしたの!かわいいことねぇ~。の割には顔よ、渋すぎやろ!なに考えとんねん!」とその投稿にツッコミに入れる。
「ですよね、!わたしもクスっとしました!」魄ちゃんの顔を見ると、ふふふと微笑んでいる。
「クスっとで済むの?!さては魄ちゃん、数々の歴史。見てるね?」
「そんなにはですよ、、!」意外と魄ちゃんはノってくれる。嬉しい。
やっぱり人と話すのは楽しい。話のツマが同じだと尚の更だな、話しかけて良かったと思う。
「はぁー。なんか先輩らのおふざけより魄ちゃんと話す方が良いかもしれんな!まだ話し」と話していた瞬間。
キーン、コーン、カーン、コーン
盛り上がってきた時に限って就寝のチャイムが鳴り出した。これは消灯の時間の合図だ、部屋に戻って寝る支度をしなくてはならない。
「あ、、もう時間になっちゃいましたね」魄ちゃんは時計を見て言う。
「そうだね~、な!もしよかったらまた今度話し掛けてもいいかな?」
「だ、大丈夫です、!いつも一人、なので、お時間があれば。ぜひ」と魄ちゃんもまた話したいようだった。
「勿論よ!そんときはよろしけね!」と口約束をする。
「あ、はい、!」と嬉しそうに返事をする。よかった。
「それじゃあね!おやすみ!」またね、と手を振る。
「おやすみなさい、です、!」魄ちゃんはぺこりと頭を下げながら。
そして二人はお互いの部屋にへと歩みを進めた。彼はいつの間にか消えていたバレリーナのことなんて気付かずに。
初めての会話はこんな感じだったかな?いやぁ、まだ印象に残ってるよ。楽しかった。あの時に勇気出して声掛けて良かった。そうじゃないと出逢いは無かったからなぁ。直感ってのは信じるもんだな。いや待て、今思うと一方的だったかな?
それは一旦置いといてと。
そこからは合宿中は見かけては、おーい!と手を降ったりして魄ちゃんに挨拶したりした。魄ちゃんも気付くとこっちに小さく振り返えしてくれる。気配消して突然話しかけたりしたときはめっちゃびっくりしてた。可愛い。
てか思ったより身長低くてびっくりした。ぼれの半分くらいか?当時は確かぼれは一八二か一八四くらいだったかな。身長高いとさ集会のときとかいつも列の最後尾よね。こうゆう時こそ近くに魄ちゃん座ってたらなぁとか最初は思ってたけど魄ちゃんは身長一番低いはずなのに後ろに居たから良く話しかけてた。
「そういや、魄ちゃんの名字とか知らなかったわ。ぼれはソラホシって言うんよ。天に星って書いてソラホシ。ちなみに七夕生まれだよん」と改めて自己紹介。
「そうだったんですね、!私はコザキって言います。湖に咲くって書きます。」また初めて自己紹介したときみたいに床にこうです。と指で書いてくれた。可愛い。
「へー、そんな湖咲さんの誕生日は?」
「あ、!私の誕生日はお月見の日にちです!ケーキと一緒にお団子も食べます、、!」
「そーなんだ、そのうち団子ケーキとか出てきそうだな」
そうかもしれないですねぇ。とか世間話をちょくちょく話したりしてた。
休憩時間のトイレ休憩の廊下ですれ違えば手を振っては「元気かいー?」「はいー」とか。のほほんとしてたなぁ。
まぁそんなこんな琉棒での合宿は魄ちゃんと出逢えた以外、特に印象的な記憶は無く、気づけば最終日。空港での自由時間のときは魄ちゃんに「よかったら一緒に見てまわらない?」と声をかけてみた。
「いいですよ、!家族にお土産、悩んでたんです」と嬉しそうに答える。
「お、そうなのか。ではぼれがオススメを探してやろうではないか。どこから回ろうか?ここの空港めっちゃ広いらしいし、上手い飯もあるっぽいけど、てかお腹空いてる?」
「あ、はい!そんなに多くなかったら食べれます、!」
「よぉし、じゃあ目の前の海鮮系が先ほどから手招きしてるからまずはグルメなストリートに行こうじゃあないか!」と目の前に広がる海鮮料理の店の方を指差す。
「が、頑張りましょう、、!」と魄ちゃんはグッと小さいガッツポーズをした。
まず最初に二人で琉棒特産の魚介類がもりもりの海鮮丼を頼んで腹ごしらえをした。食べる時に「「頂きます」」と声が地味に揃ったり。
そして「ごちそうさま」をして、満腹になったら物産展に行って、どのお土産を買おうか品定めをした。
「めっちゃあるなぁ。魄ちゃんは良さそうなやつはあったかい?」
「そーですね、たくさんありすぎて悩んじゃいましたけど、さっきのお店でお母さんとお兄ちゃんが食べそうなお菓子見つけました!」魄ちゃんはこれです、と袋を見せた。
「お父さんのは、お酒のおつまみみたいなやつでいいですかね?どれがいいんでしょう?」と悩んでいた。
「あら、おつまみですかい?それでしたらあちらのお店の冷蔵コーナーにいいものがありやんした!お連れいたしやすぞ?」と手をすりすりしながら江戸商人みたいな真似をして魄ちゃんを案内した。
ある程度買い物も終えて、時間がまだ余ってたから空港内を適当にブラついて、途中にあったベンチに二人で座った。
「お土産、無事に良いのが見つかりました!一緒に見てくれてありがとうございます、!」
「いいんだよぉ、ぼれも良さげなの見つかったし!」瑠璃は沢山のお土産を魄ちゃんに見せた。
「結構多いですね」
「そうだねー、知り合いの分も買ったしね。てか少し荷物持とうか?ぼれ、こう見えて空を飛ぶために筋トレは欠かせずやってるからムキムキだぜ」腕をまくって筋肉ポーズ。
「ふふ、お空を飛ぶんですか?」
「たりめぇよ!学校サボったりして街中でよく翔んでるよ?なんか聞いた話だと巷ではイトカミドンブって言われてるんだって。そうゆう噂聞かない?」
「知らないです、すいません、って学校サボってダメですよ!ちゃんと勉強しなきゃです!」と怒られた。
「だってさー、授業簡単過ぎてつまんないんだもん」
「へえー、瑠璃さんって頭良いんですね。でもちゃんと行かないと日数みたいので単位落としちゃいますよ?」
「大丈夫大丈夫、日数とかのは計算して行ったりしてるんよ。ま、これからは魄ちゃんに会いにちゃんと行くわ」
「わかりました、これからは毎日来てくださいね?」そう言われてからは魄ちゃんに会うために毎日学校行くようになった。
そんなこんなしてるうちに搭乗時間になって飛行機に乗り、離陸した後の上空から見える街明かりをぼんやりと眺めてた。
それは夜になっても生きるために働いたり、旨い飯を誰かと一緒に行くか一人でじっくりと味わったり、又は親しい人との大切な時間を過ごしている光だったりと、様々な人々の営みを表す大地の夜空。色んな思い出が星のように輝いているんだろうな。とキラキラめいた大地の夜空を眺めながら、心のなかで想いながら一息ついているうちにそのまま寝ていた。
確かそんときになーんか夢をみたんだよなぁ。確かなぁ、おたまじゃくし?音符?みたいのにぼれが話し掛けてた。まぁあの時は理解できなかったけど、今思うと予知夢みたいなものだったんかな?
そんな変な夢を見てるうちに着陸のときの振動で起きた。んで降りて、空港のなんか広いところで解散した。魄ちゃんにもじゃあの~って手を降ってバイバイしてからぼれはぼれが住む、デフツの住宅街へと一人歩いて帰路についた。
これが最初の琉棒での合宿だな。
ここから始まったのかなぁ。あの綿帽子。気づけば無くなってたもんな。あれが飛ぶたんびにぼれは悲しくなったり、気持ちの整理が出来ずにぐちゃぐちゃになってた。んである程度気持ちの整理がつくと、青色の硝子玉が足元に沢山転がっていた。なんでかは解らない。でも、その硝子玉が転がっているのを見ると心がすっきりとしていた。
ぼれはその硝子玉をアクセサリーや小物にしたりして露店販売して小遣いを稼いだ。
それから家について玄関のノブを回しても鍵は掛かったまま。
いつものことだ。父親が居なくなってからは帰ってきても鍵が掛かってて、先に帰るのが早い僕がいつも自分で開けるようになった。お家に入っても玄関にはママの履いてるきれいな靴も無い、誰もいない。ママはお仕事で帰って来るのは夜遅く。お腹がすいたら冷蔵庫にママが作ってくれたご飯が入ってるからそれを食べるんだ。おやつはママがたまに机の上におこづかいを置いてるから、自分で駄菓子屋さんに行って好きなのを買うんだ。お勉強は自分でなんとかする!だって教えてくれる人は居ないから、自分でやるしかないもん。まずはわからないとこは飛ばして最後にやること!そして自分で丸つけして間違えてたら、どうやったらその答えになるか考える!三回くらい間違えてもわからなかったら別のやり方で考えること!ってママに教えてもらった。でも、前に寝ないで頑張って考えてたらママが帰ってきて怒られたこともあったなあ。
まぁ、大昔の事だけどな。話の路線がズレた。失敬失敬。瑠璃は足元に転がっていた硝子玉を拾った。
そんときはもう疲れて疲れて、リビングの机に買ってきてやったお土産を置いといて顔洗ってすぐ寝たなぁ。明日から夏休みもあってもうめっちゃ爆睡してやったわ。
お昼頃にようやっと起きて、寝過ぎで体が糞だるいのを無理やり起こして顔洗ってさっぱりしたとこで朝飯食おうとしたけど飯炊いてなかったわ!
てことで早炊き設定にして待ってる間に昨日の荷物を軽く捌いて、そこから出てきた合宿中に着てたやつは洗濯機にぶっこんでと。粗方片付けていたらふと気付く。
「あ、魄ちゃんの連絡先聞き忘れたわ!畜生!ぼれは大馬鹿だ!目の前の天使にメロメロで肝心なことを聞き忘れるなんて!夏休みヒッマじゃねぇかぁ!」やらかしに気づいて頭を抱える。
ぐわぁああ!と頭をガシガシして悶える。そんなことをしてるうちに炊飯器から湯気が立ち上ぼり、もう少しで炊けそうなので冷蔵庫からウインナー、卵二個、アスパラを取り出した。昨日机の上に置いといたお土産は、ありがとうと書かれた紙に代わっていて、お土産は冷蔵庫の上段に置いてあった。
アスパラは適当に切って、フライパンとホントにほんの少し気持ち多めな油を中火で温めてから、まずは卵を四つ落とす。ついでにウインナーも脇っちょに置いとく。ここで一言、ぼれは目玉焼きを蒸す。ウインナーに焼き色がつきはじめたら水をちょこっとだけフライパンの周りにひょっとかけ、すぐに蓋をする。体内時計である程度蒸したら完成。皿に寄せて、アスパラはしゃきしゃき感が辛うじて生きてるくらいまで痛めつけてからお醤油ちゃんをチロりしてさっきのに盛り付けておかずの出来上がり。味噌汁はいらん。お湯沸かしてないし暑いし。後は炊かれて少し時間を置いといた、蒸された炊きたてのお米を盛ってと。名付けて[これはバランスのとれた朝食]の完成。頂きます。
うん。これでいい。ちなみに目玉焼きは半熟派だ。食うのは早い方だ。数十分でごちそうさまをして、あとはラップして冷蔵庫入れとけば食うかな。
腹ごしらえは済ませた。コップに入った一杯の水を飲み干したところでタイミング良く洗濯機も丁度よく終わったゾとピーピー呼んでいた。
瑠璃は、んがぁあと背伸びをした。
「よーし、シャワー浴びて洗濯ものも乾かしてから天気も良いことだし、空をひとっ翔びついでに買ってきたお土産を金綠姉妹に渡して、二人に預けてたおでんを迎えに行くかぁ!」と、これからの予定を立てる。
夏休みの最初の昼下がり、遅めの支度を始める瑠璃くんでした。
次は、どんなゆめうつつか。