【雇用№97】リュウと農地改造
翌日は朝から、設備設置のための工事を行うことになった。ここまで話が大きくなると、詳細な間取りと寸法が必要になってくるので、セバリンさんが詳細な設計を行なってくれている。
セバリンさんがデザイン設計に注力してくれている分、元々セバリンさんがしてくれていた仕事で毎日定例的に行う簡単なものは、チルとティタニアかやってくれることになっている。
チルはすでに魔力容量は、僕を抜けばこのドラゴンズファームでは、断トツに飛び抜けているので適材適所と言えば、その通りなんだよね。昨日の晩は、熊のお肉を煮込んだお鍋が出てきた。
魔力増強計画は再び進行を開始したのだった。熟成が進んだのか前にチルと焼肉した時よりもさらに美味しくなっていた。これは、熟成がマックスに到達するまで毎日美味しくなるので、楽しみである。
次回の魔族襲撃もこれまでの周期から換算すれば、1週間から2週間後となる。いつくるのかが分からない以上は、僕がここにいてずっと守るわけにもいかずみんなも外で仕事しないといけないから、最大限に戦力の向上を図っておく。
欲を言えば一番幼いモニカちゃんが、最低限、一人でいる時に襲撃があったとしても、討伐は無理にしても、一人で無傷で逃げられるくらいまでには上げておきたいのだ。
まーモニカちゃん自体は、お家と農園の行き帰りは母親のウェルザさんと一緒だし、農園に入れば、ウェルザさんかティタニアやウリと一緒にいる。
そうそうウェルザさんが役所に行ってきて、ウリの登録をしてきてくれた。いくばくかの登録手数料がかかったが微々たるものであった。登録の証として、首輪をつけることになった。ウリは嫌がっていたが、説明した所渋々分かってくれた。でもそれだけだとパッと見、ウリの毛皮に隠れて、野良か飼育されているものかの判別がつかないため、スカーフを首回りにつけた。風が吹くと、後ろに赤いスカーフが靡く仕様である。
モニカちゃんは、刺繍が得意みたいでドラゴンズファームのイラスト(チルとウェルザさん考案)をスカーフに縫ってくれた。歩く広告塔の出来あがりである。
そんな感じでバタバタと数日が過ぎていった。確認しておくべき『魔女の一撃』は、やることが増えたため出来ていない。ぎっくり腰にかかる治療期間は、地球にいた頃でも1日から1週間と幅と個人差があるためなかなか出来なかったのだ。
そんな甲斐もあったので、地下フロアに関しては、ガワだけはようやく完成した。中身の扉や階段、スロープ、手すりなんかはまだまだ出来ていない。避難用のシェルターとしての機能を優先したので、土壁の強度をアースウォールよりも一段高くしたため、魔力の消耗が大きいかったのが遅れている原因だ。
セバリンさんが設計したあとは、チルと役割を交換してもらい、魔法での作成を手伝ってもらった。この規模の工事で魔法を使うとなると、セバリンさんやウェルザさんでは1時間と持たないんだよね。練習にはなるけど、農園管理の作業もあるから、そこで使い果たすわけにもいかない。
魔族襲撃に向けて、ポーションやマジックポーションの在庫を増やしてある。役所への納品分は、別にストックしており納品日間近に持って行く予定だ。
地下にはだだっ広い訓練場も作成した。農園の外では、やはり見られた時のリスクがあるので地下に作ったんだ。土壁の強度が高いため、そこそこ威力のある魔法を使ってもびくともしない。
僕が本気で使うと流石に壊れるので、僕だけは魔法の試作のテストぐらいでしか使えないのだ。地下のフロアは、断熱構造を取り入れてある。壁と地面の間に数センチの空気の通り道が設置してある。
地下に調理場も設置済みである。竈門を作成し、その上部には排気口という名前の昔ながらの煙突を配置してある。これにて、長期戦になってもこもって生活が可能となった。保冷庫も併設してあるため、食料問題も心配ない。飲み水は、魔法で作れるので安心設計と、なっているのだ。
うん、絶対に他の人にはバレてはいけないね。この仕事が倍増しそうな気がするよ。特に王宮やお貴族様方からかな。もしかすると、役所のエルザさんから来るかもしれないけど。




