【雇用№96】リュウと筋肉とセバリン
武器屋を出たらグラマン隊長の所に顔を出して、精霊樹の件は報告しておいた。報告したと言っても、精霊樹を植えたことだけだ。魔熊との戦闘や精霊樹の果実などは、報告していない。
最低限の報告だけになっている。これで魔族の襲撃までの期間が延びるとわかってグラマンさんは喜んでいた。魔霊樹の伐採はいつするのか聞かれたが、装備が整ってからなので1ヶ月後と答えておいた。
訓練したくなったらいつでも来いと言われたので、練習したくなったらすることにして、僕は家に帰った。
お肉を1ブロック分だけ切り分けて、またマインちゃんの工房に持って行った。さっきの今なので凄い驚いてくれたし、喜んで貰えたので良かった。
今回は買取ではなくお気持ちでということで、渡すことにとどめた。マインちゃんはそれでは悪いですからと、お金を魔猪の値段に色をつけて渡そうとしてきたが、僕は断固として受けとらなかった。
個人でのお肉を食べるんだから、いつもお世話になってるしお金はなくていいと思ったんだ。買うと結構いい値段になるけど、秘密にもしてもらいたいから断ったんだよ。
困った時に助けてね。ってことで一応納得してもらった。こうなってくると、熊のお肉を市場に流せないことが非常にもったいない感じである。かなり良い金額になって、農地の拡大や武器や防具の購入に当てられたのに。全くもって残念極まりない。
熊一頭だけでも、うちらだけでは到底食べきれない量である。でっかくなったチルに期待しよう。セバリンさんにもお土産として、幾分持って帰ってもらおう。
家に帰るとセバリンさんが小屋でひたすら、熊っ子の解体作業をしていた。うん、解体は漢の力仕事。セバリンさんは上半身裸で汗だくになりながら、ひたすら熊っ子の皮をはいでいた。
それにしてもセバリンさんいい体つきしてますわ。執事服の上からではそれほど筋肉があるようには見えなかったが、脱いでみるとしっかりと筋肉がついており、無駄な脂肪がほとんどない状態であった。
筋肉のつきすぎではなく、程よい感じ。腹筋も少し割れているかなと言った程だ。ちなみに僕のお腹は、少しつまめるゆったりテイストです。そこまで筋トレはしてないので、お腹周りは、ゆったりですよ。下半身の筋肉は、結構あると思うので、元の世界で100m走ったら、11秒台はきっといけるんじゃないかな。
『お帰りなさいませ。リュウさん。』
『セバリンさん。只今。解体作業ご苦労様。それにしてもいい身体つきしてますな。』
『ええ、妻に夜付き合ってもらって日々トレーニングしておりますからな。』
えっ、奥さんと夜トレーニング??何のトレーニングをしてるんだ。気になるな。
『切り終わったら、適度に奥さんと食べる分持って帰って下さいね。』
『ええ、助かりますぞ。リュウさん。近頃は美味しいお肉の入手が困難ですからな。本当に助かりますわ。』
「うちだけで処理するのは、この量だと何ヶ月か分かりませんね。せっかくなので、ハムやソーセージやビーフジャーキーなどを作りますか?」
「おおーそれは良いですな。保存がきけば捨てずに済みますし、いつでも簡単に食べられるようになりますからな。でしたら、加工場と燻製小屋を作った方が良さそうですな。とはいえ、土地も余っている所があまりありませんでしたな。」
「せっかくなので、僕が作っちゃいましょうか、魔法で。土地はこの倉庫に地下フロアを作って、そこに燻製場と加工場、あと保冷庫をこの際どかっと作ってしまいましょう。」
「それは良い考えですな。美容関連の生産やそれの倉庫も欲しいと思っていた所ですので、それもお願い出来ませんか? 」
「望む所です。でもそうなると、ウェルザさんにも相談した方が良さそうですね。」
「そうですな。奥様にも報告はした方が宜しいですな、農園の管理者になりますからな。この先の将来を見据えて作った方が良いですな。」
その後ウェルザさんを含め3人でと思ったけど、チルを仲間外れにするのもあれだったので、チルも呼びその流れで、モニカちゃんティタニア、ウリも含めて全員揃っての会議となった。
そういえば、全員での会議ってこれが初めてかもしれないな。月に一回はやっておこうか。小さいことなら朝礼で十分だけど、大きなことはみんなで時間をかけて話し合う必要があるからね。
結局、セバリンさんと話し合ったことは勿論、魔族襲撃に備えて地下に避難所・シェルターも作ることになった。地下で、農園の端4隅と倉庫、加工場、自宅が連結されるという、もはや、どこかの城の抜け口や、都市部の駅地下並みのスケールになってきた。
美容品関連に関しては、しばらくはセバリンさんとウェルザさんとの手売りで少しずつ販売するみたいだ。ある程度シェアが出来たら人員を投下して、盛大に広げるんだって。
僕の関連の事業ではあるけど、ここまで来たら話しを聞いて承諾するだけの流れになってきたわ。ティタニアは、ウリの教育とトレーニング、そして花の栽培をすることになった。農地内では、姿を現せて、普通に作業出来る様になったからね。




