【雇用№93】リュウと薬草農園の驚くべき進化
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「いや、ま~回復の術が使えることは良いことなんだけどな。また、秘匿しておくべき情報が増えた感じだな。」
「そうよ。これがもし他の人に知られたら、精霊樹をわが物にしようという輩が、沢山現れるに決まっているわ。ということで当たり前だけど、精霊術は人前での使用は禁止とします。長刀やダガーを用いての使用もね。」
「はい、ティタニア先生。わかりました。ちょっとまて、なんか重大なことを忘れている気がする…………。あっ、そうだ受付のエルザさんが精霊樹の武器を探して、情報を集めているんだった。これはちょっと不味いかもしれないですな。集められると結界が意味をなさなくなるし、遠目でも確認出来るようになるんだよね。」
「そうね。あの精霊樹もかなり大きくなっていたから。リュウ、一旦外に出て精霊樹が見えるか確認してくれる?見えなかったらそれでいいんだけど、見えたりしたら、見える人と見えない人が現れて不信に思われちゃうわ。」
「うん、ちょっと見てくる。」
僕は倉庫から出て、見晴らしの良い所まで行って、薬儒の森を眺めた。と言っても壁があってあまり見えないんだよね。仕方ない。僕は家の屋根に上がって眺めてみた。うん、森が見えるだけで、目立った異常は見えないわ。
「ティタニア。ここからは見えなかったし、今の所は大丈夫だよ。ただ、精霊樹があれ以上成長すると、森からぽっこり顔を出すかもしれないよ。」
「まぁ…………そうなるわよね。ひとまずは現時点で見えないだけで良しとしましょう。でも、こうなると精霊樹に纏わるものは、全てこちら側に集めてしまいたいわね。」
「いや、そりゃちょっと厳しいですよ。ティタニアの旦那。あれ結構高いんですぜ。長刀は20万ループしたし、ダガーで10万したから、現状の予算でかき集めるのは至難の業ですよ。しかも誰が持っているかもわからないし、集めたら集めたできっと噂になって、エルザさんに目をつけられちゃうよ。」
「う~~ん、また今度薬儒ノ森に行って、精霊樹様とご相談した方がよさそうね。ひとまずはこの問題は一旦置いて置きましょう。」
「みなさ~ん、夕ご飯出来ましたよ。」
「ありゃ、片づけ終わってないけど、時間になっちゃいましたね。ひとまずはご飯食べに行こうか。」
「ええ、そうしましょ。」
セバリンさんはお家に帰って食べるみたいなので、簡単に挨拶だけして詳細は明日お話することにした。その日の夕食はすごかった。ウェルザさんが腕によりをかけえ作ってくれただけあって、いつものよりも豪華だったわ。最近の味気ない食事に比べるとう~~ん、美味しい。家に帰ってきてよかったと心から思える。
モニカちゃんは、ティタニアが大きくなったことで大はしゃぎしていた。モニカちゃんよりも幾分小さいけれど、これでほぼ子供と同じようにして遊ぶことが出来るようになったしね。早速かくれんぼと鬼ごっこしようと約束してたよ。
夕食の時は話に困らなかったね。猪のボスとの戦闘や、ボス熊たちの戦闘を身振り手振りで大げさに話をもってチルが話してた。ウェルザさんとモニカちゃんはうんうんと聞き上手なため、のめり込むようにして聞いている。
農園の経営状態は問題ないみたいだ。そりゃ2~3日留守にしたところで変わるわけはないよね。所が問題はないが大きく変わっていたようだ。魔法で農園を管理しているため、かなり手がすくようになっていたようだ。それにセバリンさんが肉の灰を毎日作って畑に撒いているため、収穫量も多くなっている。つまり、想像以上に薬草が採れてしまったようだ。
それで時間を持て余したウェルザさんがセバリンさんと共同で、香り成分の抽出を試験的にやってみたところ成功したらしい。微量ではあるけども、爽やかな香水が出来上がったもようだ。そこまで出来上がったから、石鹸なんかも作る目途もたったらしい。
美容に関する女性の努力は凄まじく、僕の数週間かけてやってきた成果をわずか2~3日でクリアしてしまったようだ。試験品は少ないので、まずはウェルザさんが効能を確認して、それから貴族のお友達経由で少量ずつ流して、口コミで広げていく算段のようだ。
物が物だけにそれなりの価格になってしまうから、一般庶民に流すことは不可能だと言う。それに現状では、薬草農園とポーション作りの合間にやっているため、生産量が少ないそうだ。ちなみに、香水の方は香り成分だけで回復効果はないらしい。香りの抜けた成分はそのまま、ポーションになるというから、生産量はこれまでの分を維持したまま、さらに新商品が出来ることになる。
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