【雇用№78】薬儒の森 熊との対決 決行編1
じゃ~まずは、
『ウォーターイリュージュン2』の魔法の改良だ。これが準備で必要になってくる。発動名を「○○○」に変更して、範囲を広げて、長時間の維持にしてと。こんなもんだな。
その間この暗い森の中で、ウリとボスとチル、ティタニアは仮眠をとってもらっていた。決行は夜に行うので、眠くて身体が動かないとかは困るのだ。でも、僕は仮眠もとれずに準備をしている……。うん、今夜は徹夜になりそうな予感がする……。ブラックだ~~~
っと、魔法も完成したので、下準備をするためにみんなを起こす。ウリは子供なので寝かせておこう。
「ではチルと僕は下準備に行ってくる。みんなはここで待っててね。」
「ぷぎゅ」
「わかったわリュウ。気をつけてね」
「いや、ティタニアさん、あなたも一緒に来てほしいんだけど」
「えっ、私がいなくても大丈夫でしょ。」
「いや、敵の範囲と位置を明確に分かるのはティタニアさんじゃないですか~~。僕らだけだと、見つけるまでに時間がかかりますよ。」
「それもそうね。仕方ないわね。私も行くわ。」
「ありがとうございます。ティタニアさん」
うん、今はとりあえず煽てておこう。僕の感知スキルでは、目視出来ないと効果がないから、敵の感知がし辛いんだよ。
そして、僕達はティタニアに先頭を飛んでもらい、暗い森の中を歩いて行った。『ライト』の魔法は照光を小さくして、足元に置いている。熊に気取られてはいけないからね。そして、なるべく音を発てずにひっそりと、声をたてずに進んでいると。
「リュウ。ここからなら、あなたもわかるでしょ」
僕は魔力感知を起動して、前の様子をとらえた。うん、確かに熊らしきフォルムがいる。横になっているが、微妙に動いたりしているので、まだ起きているようだ。
僕は小さな声で、
「チル、行くよ」
「わかったよ。リュウ兄ちゃん」
『穢れなき水よ。女神フェリシアの名の元に、我前に霞を漂わせん。ウォーター・ミスト』
周囲から魔素を集め霧を生成していく魔法だ。『ウォーターイリュージョン2』を先ほどチルにも使えるように改良した。暗い中でのパソコン作業は疲れたよ。座るところもないし……。ボスに寄りかかって地べたに座ってのお仕事だった……。出張作業よりもひどいな……。
僕達の上空に大量のミストが次々と生成される。それを僕は『順風』の風量MAXのもので、風を起こす。その風で、霧を熊たちの居る所まで運んだ。これでジワジワと体温を削っていく寸法である。雨ぐらいならこの辺でも頻繁に降るので、警戒されることもない。このまま1時間ほど維持し続ける。
マジックポーションはさっきのプログラミングをしている間に、途中で採取していた薬草を使って2本だけチルに作ってもらっていた。僕とチルは、魔力が切れないようにチビチビと飲みながら魔法を使い続けた。
1時間ほどが経過して、霧で身体が濡れて寒いのか熊たちが1か所に集まっていた。そして、動きも少なくなったから、どうやら眠りについたようだ。ティタニアにボスたちを呼びに行ってもらった。
僕達は、魔法を解除し次の段取りにかかる。チルは『アイス・クーラー』の魔法を唱え、濡れた水滴をさらに冷やしていくようにする。僕は、気付かれないように周囲を『アースホール』の呪文で穴を掘っていく。
これがかなり数が多い、近すぎると違和感を感じて起きるかもしれないので、距離を取って穴を掘ってたら、50回程アースホールを使っていた。流石に魔力がなくなったので、残りのマジックポーションをガブのみする。チルの分がまだ半分ほど残っているが最後の手段である。
セクハラ騒ぎはなるべくご遠慮しておきたいのだ。緊急事態だしないと思いたいが……。
魔力がある程度回復したところでボスとティタニアが到着した。いや、呼んではもらったけど、あんまりしてもらうことってないんだよね。なので、薬草類を集めてもらうことにした。
さて、こっからが作戦の本番である。徐々に冷えてはいるので、体温は確実に下がっている。しかし、冬眠までは程遠いだろう。なので、魔力消費を極力抑えて、魔素を周囲からかき集めるだけかき集めて…………、
って、発動までにかかる時間が長いよ~~~~~~~
『アースホール・極大』
魔熊たちが寝ている範囲、もっと詳しく言えば、さっき落とし穴で指定した範囲をごっそりくり抜いてやった。ざっと地表から下に10mくらいの深さに…………。
「ドスン」
「ドスン」
「ドスン」
「ドスン」
「ドスン」
「ドスン」
「ドスン」
「ドスン」
うん、どうやら8匹全部落ちてくれたようである。いや一応ね、最終手段としては『スキル:魔女の一撃』8連発も考えてはいたんだよ。これは今の所誰にも話してないので、作戦には組みこめないし。ましてや8回も使った日には、確実に呪いの『人を呪わば穴2つ』が発動し、僕自身もぎっくり腰になってしまうんだ。
そうなってしまったら、もし熊に効かなかった場合に、重症患者1名の足手まといが出来てしまう。うん、きっとゲームオーバーです。ということで、今回も安全に敵を嵌めての奇襲です。卑怯とか言わないでくださいね。これしか僕が戦える方法がないんです。
「「「「ぐわぁあ~~~~~」」」」
うん、流石に起きるよね。って、この高さで落ちてもやっぱり生きているのか。普通10mの高さから落ちたらぺちゃんこだぞ。おっと時間がないや。
「チル第2段階開始だ」
「うん」
チルは新しく作った魔法『アイス・ミスト』を詠唱し放った。これは、詠唱に時間をかけられないので、かなりの自分の魔力を使ってしまう。
氷の粒となって霧が重力に負けて、魔熊のいる穴の中へどんどん落ちていく。チルは、魔法の効果がなくなったら、次々と魔法を詠唱し唱えていく。
ティタニアは魔熊がどうなっているか、魔素を感知し続けている。ボスとウリは、石とか岩とか木をなぎ倒して、次から次へと穴の中に放り込んでいく。
僕は僕で『ストーンアロー』で土の矢を複数生成して、穴の中に向けて打ち落としていった。本当はフレイムガトリングにしたかったんだけど、せっかく、冷やした身体が元に戻っちゃうって言われて断念したんです。
『アイスアロー』も考えたけど、突発では水から凍らせて、それを打ち付けるプログラムを作っている余裕はなかったので、こっちも断念。やっぱり日ごろからある程度危機を予想して、魔法を準備して作っておかないとだめだよね。
この氷と土の矢、木、石の弾幕で普通なら、死ぬんだけどね。ボスも自分は、耐え抜くのは無理だって言ってたし、僕は僕で最初の落下で生きている気がしないんだけど。
「一体、動かなくなったわ、おそらく戦闘不能。」
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「一体、動かなくなったわ、おそらく戦闘不能。」
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「一体、動かなくなったわ、おそらく戦闘不能。」
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「一体、動かなくなったわ、おそらく戦闘不能。」
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「一体、動かなくなったわ、おそらく戦闘不能。」
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「一体、動かなくなったわ、おそらく戦闘不能。」
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っとティタニアが報告を上げてくれるので、倒している実感はある。僕たちは手を休めることなく、魔力がある限り魔法を打ち続けていた。
が、最後の一匹の討伐報告が上がってこない。これだけ全力でやって上がってこないってどういうこと。ちなみにチルは魔力切れ、ウリはバテて既にへばってます。僕も魔力はソロソロピンチです。
「これはちょっと不味いかな。チルとウリは一旦ここから離れてくれ。ボスはここで待機。ティタニアはボスの近くで引き続き対象の感知を頼む。」
さて、どうしようか?
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