【雇用№048】雇われ勇者 現地民の魔法の学び処その5
さっそく親方が若いのに指示を出して、試作品を作らせてきた。早い。木の厚みや大きさはそこまで、今回は重要視せずに、木の板の上に木枠を置いてあるような形のものができた。
「親方出来上がりました。」
若いのが試作品をもってきて、ついでに試験用の火の灯った蝋燭も持ってきてくれた。火を灯していては、蝋燭が溶けるのに時間がかかるので、魔法で時間短縮のために『ファイヤー』の魔法をこっそりと使って温めて溶かした。その後は、木の板の上で溶けた山のようになっている蝋をなだらかにした。やっぱり時間短縮のために温かい蝋を『ウィンド』の魔法で急速に冷却していく。
冷えて固まってきたら、裁縫用の針で今回は代用し、文字を書く。ちょっとやりづらいけど、ま~これなら実用できるくらいのレベルにはなっているだろう。
「というような感じで使用します。本来は、鍋などで、蝋を温めて溶かすのですが、時間がもったいないので、魔法で代用して作成しました。」
「なるほどな。これがロウ板か。木版よりも薄いし、軽い、墨でなくても、尖ったものがあればできるし、うん、これはいける。売れるぞ。」
「さっきのロイヤリティ契約のことですけど、月にどのくらい入ってきそうな感じですかね?」
「ロウ板自体は、廃材を使ってコストを下げ、見習いの若手にやってもらうから。一日の作成ペースは、3~4台ほどだから、月に60~80台ってとこか。構造が簡単でマネされやすいから、販売価格はしばらくは4,000~5,000てとこか。いやこれだと、庶民は買わないな。となるともうちょっと。外装を綺麗にして、少し意匠を凝らして、下級貴族と商人関連に販売先を変えるとして、そうなると、製作数がかなり落ちるから1日1~2台として月20~40台か。価格は高級路線に変更するから、20,000ループってとこだな。
これにロイヤリティの10%がかかるから、20,000*10%*30台=6万ループくらいになるな。ま~あくまでこれは想定だから必ずしもこうなる訳ではないので、参考としてくれ。売れ行きが良ければ、増産体制を取るし、なければ減産体制をとるからな。」
う~~ん。月に6万のお小遣いか、不労所得としてはなかなかのものだが、ラノベの技術チートみたいに、働かなくても良いくらいの金銭が稼げるわけでもない……か……。う~~~ん、テンプレの異世界転移ならこれでなに不自由なく暮らせたはずなのに、期待通りにはいかないな~。それとも僕の交渉能力が低いのか?
設計職やってた人間に、そこまでの営業力と交渉能力はないからな。ま~、しなくても入ってくるお金が増えたことは事実だし、ここでよしとしておこう。変に欲をかいて、要求するとお話自体がご破算となり、入るものも入らなくなってくるし、今後も色々とお願いすることがあるかもしれないからな。
「結構大きな金額になるんですね。でしたら、またなにか思いついたらこちらの工房にお邪魔しますね。あっ、あと、専用の平らにするヘラと、針みたいな先端の尖ったペンが欲しいのですが、どこで作ってもらえそうですかね。」
「あん、それはこっちで注文して、あとで届けてやるよ。場所は……。うんうん、あそこら辺ね。わかった。これもロイヤリティ契約に含んでおくぞ。別オプションで販売だな。さっそく注文しくるからな。いい取引が出来た。またよしなに頼むわ。指定された寸法の試作品はもう少し待ってくれ1週間後には届けるから、しばらくはそれで代用してくれ。」
「うん、わかりました。宜しくお願いしますね。」
メモも出来るようになったし、カンペ作りも出来るし、思わずして、不労所得の収入も入るようになたし、幸先いいな~。おっともう夕方か、帰ってウェルザさんの美味しいお肉料理を堪能しよう。今日はなんだろうな~~~~
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