【雇用№041】雇われ勇者 僕とチルの関係性!? その1
農地の周りで体力向上プログラムの一環でランニングをしているチルを僕は呼んだ。
「おお~い、チルちょっとランニングはやめて休憩しないか?」
「リュウ兄ちゃん。もう、休憩していいの?やった~」
チルがまだまだ走りたりないのか、元気にスキップしながらこっちに来た。元気なのか、体力が向上しているのかどっちだろう?今度僕も一緒に走ってみるか。
「ちょっと大事な、二人だけで話したいことがあるから、家の中に入ろう。居間だとウェルザさんやモニカちゃんが来るかもしれないから、僕の部屋に行こう。」
(えっ、どういうことリュウ兄ちゃんが私と二人だけで大切なお話???えっ、それって、もしかして。告白……!?。しかも、リュウ兄ちゃんのお部屋で二人っきり???それって……。あの鈍感な何アプローチしても気付いているのかわからないリュウ兄ちゃんが気付いてくれた?
しかも、向こうから??)
チルは頬を赤らめながら思案にくれる。どうした方がいいのだろうか。
「いっ、イキナリはダメだよ。もっと、手順を踏んで、雰囲気作りをして、あっ……」
どんどん顔が真っ赤になって、声が細くなっていってしまうチル。
「えっ、イキナリはだめだった。そっか、イキナリはだめか。ポーション作り手伝ってもらおうかと思ったんだけどな~。う~ん、じゃあ、午後からならいい?それに顔凄く赤いけど大丈夫!?」
僕は訳がわからず、断られたので、戸惑ってしまった。チルの体調がおかしいので、僕の手のひらをチルのおでこにあててみた。
「熱いね。風邪引いたんじゃない。今日は全部やめにして、部屋で休んでていいよ。ウェルザさんにも体にいいもの作ってもらえるようお願いしとくし。」
いきなり自分のオデコを触られたチルは、「ビクッ」となって、素早くリュウの元から離れた。
「リュ、リュウ兄ちゃん。私は大丈夫だよ。この通り元気だし。ちょっとランニングして身体が火照ってるだけだよ。そっ、それにいきなり女の子に断りもなく触れるのは、ダメだよ。セクハラだよ。セ・ク・ハ・ラ!!」
(ちょっと、いきなり触れてくるのはなしだよ。リュウ兄ちゃん。私にも心の準備が必要で。ちゃんと前もって言ってくれたら心の準備は出来るからOKなのに。むしろ、リュウ兄ちゃんの手冷たくて気持ちよかった。もっと撫でてもらいたい。)
「って、リュウ兄ちゃん。それより、大事な話ってポーション作りのことなの!?」
驚いたのか強い剣幕で僕の胸元に詰め寄るチル。
離れるか近づくかどっちかに出来ないものだろうか?
「うん、そうだよ。ポーション作り。その過程で人にはなるべく知られたくないことをチルに話したいんだ。」
(もうっ、どうせそんなことだと思ったわよ。はぁ~~期待して損しちゃったな。このドキドキが堪らなく心地よいけど、その後の喪失感がすごく、寂しいな。でも人に話せない話を私だけに話してくれるってことは、ウェルザさんにもモニカちゃんにも話せないわけだし、私だけを特別に信頼してくれてる。私だけっ!?私だけ……私だけ……)
「うふっ、うふふふ」
「チルどうしたんだい、イキナリ笑い出して」
(怒ったり、赤くなったり、笑ったり、見ていて飽きないし、やっぱりチルは可愛いよな~妹に是非欲しいな。)
「ううん、なんでもないよ。リュウ兄ちゃんの言い方が紛らわしいよ。もうちょっと要点をまとめてしゃべってよね。じゃないと勘違いしちゃうじゃない。」
「ま~すまん。チル。今度からもうちょっと考えて話すよ。でも、勘違いって一体何を勘違いしたんだい?」
「なんでもないよ!!そっ、それより、早くリュウ兄ちゃんのお部屋行こ。兄ちゃんの部屋私まだ入ったことないから楽しみ。」
「うん。そうだね。行こっか。」
それはそれで楽しい出来事なのか、チルが僕の手をとって腕を組んできた。やっぱり、僕って、チルのお兄さん役なんだよね。知ってたとも。それに、そっちからはセクハラにはならないのか。
あれ、ちょっと待てよ。よく考えたら、部屋に女性入れるの初めてかも。でもチルだしま~いっか。いやまずいかも。部屋がよく考えたら散らかってるわ。
「ごめん。チル。よく考えたら、部屋が散らかってるわ。片づけてくる間、居間でフレッシュハーブティー飲んで、身体休めといてよ。」
「リュウ兄ちゃん。別にいいよ。一緒に住んでる家族じゃない。私片づけ得意だし、さっさっ早く行ってお話しようよ。」
「はいっ、はいっ、ならもうこのまま行こうか」
「うんっ」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
僕の部屋には、小さなちゃぶ台と座布団、あとはベッド位しかないのだ。
あ~~~、居間から椅子持って来ればよかったけど、ま~いいか。でも、チルを床に座らせて、僕がベッドに座るのも呼びつけておいて、失礼な話だし……
チルにはベッドに腰かけてもらって、僕は座布団をチルの真正面において座った。下から見上げる形のチルの姿はまた違う意味で新鮮だった。
「ポーション作りで話たいことって何?リュウ兄ちゃん。しかも、私にしか話せないことってなんなの?」
「そうだね。一つは僕で勇者に関わることだから、秘密を知っているチルにしか話せないことなんだ。僕はこっちに召喚された時にあるスキルを授けられた。それが、『ユーザーインターフェース召喚』ってものだね。」
僕の目の前にも画面が現れる。
「えっ、リュウ兄ちゃん。『ユーザーインターフェース召喚!?』ってなに?なんで、何もない空中を指でつついてるの?」
「やっぱりこれは僕にしか見えないか。いや、なんだろうね。説明すると難しくなるので、ざっくり言うと、僕だけが使える魔法の手帳みたいなもんかな」
「えっ、リュウ兄ちゃんだけ使える魔法の手帳!?どういうこと?」
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