【雇用№040】雇われ勇者 床下収納と保冷庫
【新作】始めました。
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朝一番の魔力をこっそり測定しておいた。
『ウェルザさん:2→15
モニカちゃん:6→8
チル :6→15
僕 :103→337』
昨日の夜から今朝の測定値の推移である。ふむ、上がっているような気はしなくともないけど。魔力を完全回復した時の状態を昨日は測ってないからな。正確なデータとは呼べんね。
しばらく継続して、測定してみればわかるようになるか。少なくとも明日の朝にデータを取れば今朝のデータと比較して、観測することはできるな。
焼肉パーティーの終わった翌日、3人にはいつも通りの作業を指示しておいた。僕はというと、生ものなどをもう少し、魔法を使わなくても、長期保存でなくとも、今よりも少しでも長く保存できないか考えていた。
どこかの漫画だったか、歴史の教科書だったか覚えてないけど、実家にあった床下収納に保管すると日持ちしやすいというお話だったと思う。こんな時にネットがあれば、すぐにププッて調べられたのに。こういう時には、異世界は不便だなと感じてしまう。
ないならないで記憶を辿って作るしかないんだよね。確か地面に収納するためのスペースを作るんだったかな。
床下の板を数枚引き外し、地面が見えるようにした。ある程度は、地面より床は高くなっているが、とても収納できるスペースではなかった。ちょっと設定を変更して、『アースホール』の呪文で、ツボやカメが収まるくらいの穴を作成した。周囲は土が崩れて着たり、ネズミがいるのかどうか知りませんが、動物が入ってくると困るので『アースシールド』を展開し、側面と地面の硬度を上げて対策する。
手をその穴の中に入れてみると心なしか涼しく感じた。原理的にはあれだね。エアコンの風と温度との関係性みたいなものだね。夏にエアコンで冷房を入れると下から徐々に冷たくなってくる。家の一階でエアコンつけても二階は暑いままだが、二階でエアコンをつけると、一階も涼しくなる。
冬は逆に暖房の熱気が下から上にあがっていく。空気が冷たいと重く、熱いと軽いから起こる現象である。それに地面自体は表面は温かいが、少し下を掘ってみると冷たいのである。
それを利用したのがこの床下収納であるのだ。ワインセラーなんかも地下に作るって聞いてるし。明治時代かそれ以前かわからんけど、昔の人は、正確な数値も測れなかったはずなのに、自分で探し当てるとはすごいものである。
異世界にくると現代の電気に纏わるもの知識や技術がほとんど使えない。僕の知識不足のせいでもあるけど。逆に昔ながらのこうした、床下収納や脱穀機、荷馬車や牛車の方が流用しやすいと改めて感じた。
僕にはこういったシンプルな構造の技術の方が、地球の文化を導入しやすかった。プログラムがちょっと出来る設計者とはいえ、なんでもわかる訳ではないのだ。親が工業系の高校に入ったから、電気機器が故障したり、設定わからんかったら全部任せてきたけど、そんなん授業で習わなかったからね。
と考えが横道にそれてしまった。いけない癖ですが、ちょっと考えると没頭してしまって。やることがわからなくなる。何するんだったかな???そうそう、作った床下収納の底に、凸凹のスノコのようなものを作るんだった。
『アースクリエイト』
っと、出来た。これで、そのままツボを地面に置いても、その下に空気の通り道もあるし、湿気が溜まることもないだろう。夏が来たらきっとここも暑くなるだろうから、地下室も作っておきたいし、麦酒も作ってみたいけど。
(ここは日本ではないので、密造にはあたらないのだ)
あいにく他にもすることあるし。
肉を入れたツボをここに保管して、ダメ押しの『アイスクーラー』をかけ、ちょっと温度を下げて冷蔵庫のチルド並にしたので、温度変化も少ないからこれで持つだろう。
あ~~っ、思い出した。デーモンの死体も倉庫に保管してあるんだった。『アイスクーラー』の呪文をガチガチにかけて凍らせてあるから大丈夫だよな。
見に行ってみると、デーモンの死体が体育座りをしてこっちの方に向いていた。こっ、怖い。夜に来るとトイレ行けなくなるぞ……。とりあえず麦わらで編んだ布みたいなものを、デーモンにかけ怖くないようにし、念のため『アイスクーラー』の呪文で再度凍結をし直した。
ふ~~っ、でもこれっていつ研究したらいいんだろう。なんか毎日一杯一杯でやってる余裕もないな~。冷蔵庫も作りたいのに、作成の相談にも行けてないし。技術チートも考える時間と伝えて作ってもらう時間がないと厳しいな。
さて、これでお肉の保存は1週間はきっと大丈夫だし、魔力アップの検証は明日再度するとして、今日しなければならないのは……。なんだっけ。ユーザーインターフェースを召喚し、メモと書いてあるプログラムを呼び出した。ええと、そうそう、ポーション作りをしないとね。期限が近いから、ある程度の個数を今日明日には準備して、期限の前日には納品しておきたいからね。
さ~~っ、今日は気合い入れてポーション作りを頑張るぞ!!そうなると、ウェルザさんやモニカちゃんにも、作り方は見てもらった方がいいかな?いや、『パパッ』と魔法を駆使して、行うつもりだし……。う~~ん。でもそうなるとまた別日にポーション作り教えることになるから……。
よしっ、決めたチルにスキルの事を話して、協力してもらおう。
どちらにしろ現地の人がいないと、改良した魔法コードが僕だけに適用されるのか、周囲の人にも影響があるのか、はたまたこの幻想世界全体に影響しているかの区分けがまったくわからないからね。早速チルを呼んで、ポーション作りを始めよう。
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