【雇用№032】雇われ勇者 空を飛ぶ
おはようございます。目標文字数達成したので、これかは2作同時に作成していくことになります。
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さ~急いでリヤカーと長刀、あと薬草を入れる袋も持ったし、忘れ物は……あった、ハーブティーもっていく必要あるわ。水筒とかないのよね。どうしよ。とりあえず、ポーションの空き瓶にいれてこよう。今度こそ忘れものはな~い。出発~~~。
一人で元気よくリヤカーを引いて、走り出した。でも町中なので、『疾走』の魔法は使ってないんだよ。人が沢山歩いているからね。走ってぶつかるとまずいんだ。リヤカー引きながらだと回避できないしね。
と元気よく町中を引いて走っていると、
「おお~い、リュウ。リヤカー引いてそんなに早くどこへ行くんだ。」
とガンツさんのバカでかい声が前方から聞こえたので、スピードを緩めて停止。
「はぁ~い、ガンツさんおはよう様です。ちょっとリヤカー引いて、薬儒の森まで行こうかと。」
「はは~~ん、薬儒の森ね。役所のね~ちゃんから、頼まれてたポーションの件だな。悪いが、今作ってる分には薬草がちと足りないんだ、俺の分もいくらか採ってきてくれ。」
「はい、(別に薬草とりにいくわけじゃないんだよね。猪狩りにいくだけで)。わっかりました。少し多めにとってきます。」
「わり~な。それと今回はマジックポーションの材料であるオレガノ草も少し頼む。形状はこういう広葉樹みたいなギザギザな葉がついているやつだ。サイズはこれくらいで、いつもの薬草と同じだな。葉の先にピンクや白、紫色の花をつけるから目安にしてくれ。」
と話しながら、地面に落ちてた石で器用に絵を描いていく。
「ガンツさん。顔とガタイに似合わず綺麗な絵をかくんですね。ひっくりしちゃいました。」
「うるせー。それ以上言うと、ポーションの作り方は教えんぞ。」
「えっ、マジックポーションの作り方まで教えてもらえるんですか。もう、言いません。ごめんなさい。」
「わかればいいってことよ。ま~薬草取ってきたら、実演で見せてやる。これがないと、いつも以上の量のポーションを作成するなんて、無理だぞ。魔力が通常のポーションを作る量の分しかないからな。」
「へ~、了解です。急いで行ってきます」
「お~行ってこい。魔物には気をつけろよ~~」
「はいっ」
と話して遅れた時間を取り戻すべく、走り出す。町の門から外にでると、すぐさま『疾走』と魔法を使い速度を上げる。
これで、時短ができると思ったのだが……
リヤカー引いているため、勝手が違った。それに町中と違い道が舗装されてないのだ。いや舗装されてないどころか、森への道は、人が歩いた道だけ、草が茂っていないだけなのだ。砂も石もところどころに転がっており、僕単独での『疾走』なら大丈夫なのだが……。リヤカー付きとなると、車輪が石にあたり、跳ねてガタンガタン煩いし、壊れそうなんだ。
「あっちゃ~。これは想定してなかったな。地面に石があるからリヤカーが跳ねるのか。どうっすっかね?」
と歩きながら考えていた。
「あっ、いいこと思いついた。」
『浮遊』
リヤカーを対象に魔法を発動。
「お~~浮いた浮いた。重みも感じないし、これなら走っても関係ないな。僕って冴えている。」
ちなみに、『浮遊』の魔法を自分にかけたら、空飛べるかなと思ったけど、ある程度地面に対して、平行な面積がないと、浮かないのだ。
やったのよ。こっそり、隠れて練習したのよ。靴の裏を対象にかけたら、バランス崩して、ずっこけて、顔が地面とキスしちゃったんだ。恥ずかしいわ。なので、人は『浮遊』魔法で空を飛ぶことは出来ない。
お~楽々。効果時間が切れてきたので、もう一度『疾走』の魔法を使ってみる。これで時間は間に合うかな。走りながら、今のことで喜んでいるとまた違うアイデアが浮かんできた。これって、僕が浮いているリヤカーに乗っても浮いているのかな。
ちょっと試したくなったので、足を止めて、浮いているリヤカーに乗りこむ。あ~浮いてる浮いてる。
「あれ、おかしい。微妙に前に進んでる?なんで……。あっ、そっか、『疾走』の魔法が僕にかかっているからその風の威力で前に進んでいるのか。」
「僕って今日はとっても冴えてるね。なら、『疾走』のプログラムをコピーして変更して……。
対象を詠唱者じゃなくて、指定物にして……と。マジックコードは『空を駆ける翼となれ。空とぶリヤカー』にしてっと。よっし、出来た。」
えっ、毎度ながら、魔法の名前がおかしい。そんなことあるかも。友達からリュウって、ゲームの主人公の名前とかネーミングセンスね~よなって言われているし。ま~ほっといてくれたまえ。誰が使うわけでもないし、僕だけが効果がわかって発動できればよいのだ。
お~いい感じいい感じ。
対象を僕からリヤカーにしたおかげで、風のあたる面積が広くなって、かなり速度が出るようになったわ。これなら、自分で『疾走』使って走っているのと同じくらいだな。いや~楽ちん。
『疾走』って、体重変わらずに、追い風ありで走っているだけだから、すぐに足と身体が疲れちゃうのよね。
えっ、トレーニングしろって。今日は、やること色々あるし、疲れなくて済むならこしたことはないんだよ。
「ふ~~気持ちいいって、直進にしか進んでない……。」
『ぶぶぶぶっっっっっっっっ。』
頭を超える背丈の草が、顔と身体に容赦なしに当たってくる。
草って柔らかいはずなのに、スピードをつけてぶつかると痛いのよ。人が通った道は雑草があまり生えていないが、通ってない道は、雑草が胸の位置まで生えているだ。しかも、安全確認をしてないので、『空飛ぶリヤカー』の魔法で浮いている高さは、地面よりわずか10cm程度。
そうなると、リヤカーに座っている僕の顔に様々な緑色の草が顔に当たってくる。息がしづらい……
「ふ~~~っ、抜けた。酷かった。テストしてない魔法は要注意だな。方向転換ができない欠陥魔法だわ。風のあたる方向で確度を調整すればよいんだが。四角いリヤカーを斜めから吹かせてもうまくいかないだろうな。やっぱ、ヨットや船みたいに帆船タイプにして、風の受け止める方向を変えられるようにする必要があるな。」
と考えている間に到着した。『空とぶリヤカー』強制終了っと。
基本、僕の魔法は一定時間経つと自動的に終了するように設定してある。ずっとかけっぱなしは、他の魔法でも暴走した時の対処が難しい。時間設定タイプなら、ほっとけば消えるので、まだ安心できる。
さ~~って、猪さんはどこにいるのかな?
休憩しながら、移動してきたので体力はほぼ全快状態で、森に入るリュウであった。
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