【雇用№174】完成した賢者の素3
それはかなりまずいかもな。帰るか死ぬかの2択はちょっとなー。いくらなんでもあって即座に使ってくるなんてことはないと思うが。
チラッと愛ちゃんをみるとこちらの視線に気付いたのか頷く。
「私なら不審者がいたら、即座に使うわ。自分のライフ、命がかかってるからね。命を奪うような魔法はつかわないけど、拘束するのは躊躇わないわ。」
「となるとある程度、身の保証をした上でか、それとも相手を拘束した上で納得してもらってから、拘束を解くかか。」
「拘束した上で納得させるって難しいと思うよ。リュウ君、それにその行いは強盗に思えてくるよ。」
「それに関しては僕も言っててそう感じたよ。うむむむ………。ちゃんと話し合いの席に立ってくれるなら、納得した上での話し合いなんだけどね。僕はあの女神が大人しく話し合いの席についてくれるとは思ってないんだ。」
「それは少し分かるかも。向こうがこの数百年コンタクトを取って来ないから、忘れられているか?もしくは、接触することを避けられるかなんだよね。」
「そうなんだよ。愛ちゃんのケースを考えるとなんらかの形で連絡を取りたいと思っていることは伝わっていると思うから、そうなると後者の気がするんだよね。でも、その線で考えると僕の魔王討伐が魔法少女の王、魔王愛ちゃんである可能性が出てくるんだよ。依頼しておいて用がなくなったら、不都合が出る前に消すって、神様としてどうなの?って感じなんだよな。」
「それは流石にないと思いたいわよね。いくらなんでもそんな道理にも劣る卑劣なことを人間の上位者である神様がするとは思えないわ………。いや、あるかもしれないわね。ないといいきれないだけの行動に見えるわ。」
「仮に女神が愛ちゃんの討伐を依頼した場合、討伐対象と討伐者が仲良く目の前に現れることになるね。」
「それだと、用が済んだリュウ君も不要な対象になるんじゃないかな?」
「それはそうかもしれないね。そうなると開幕一発のゴートゥーヘルでお終いがある気がしてきたわ。」
「少し話し合いをする上で対策が必要よね。」
『コンッコンッ』
「お食事の準備が出来ましたが、こちらにお持ちしますか?」
「いえ、みんなと一緒に朝食にするわ。」
「はい、分かりました。」
「リュウ君、一旦このお話は終了で、朝食に行きましょう。」
朝食の準備が出来ている部屋に行くと。
「おはよう。愛さん。リュウ兄ちゃん」
「パパ、愛さんおはようございます。」
ノエルとチルが二人揃っていて既に朝ごはんを食べ始めていた。
「二人ともおはよう。」
「おはようございます。」
「それにしても二人は早いね。」
「違うよ。リュウ兄ちゃん達が遅すぎるんだよ。」
「そうですそうです。」
ノエルとチルは、ほとんど食べ終えて、デザートを食べたいるタイミングだった。
「いやいや悪い悪い。ちょっと進展があったので、愛ちゃんとそれについて話しあってたら、時間を忘れちゃって。」
うんうんと愛ちゃんが頷き、僕の隣の席に座って食べ始める。
「えっ、何か進展あったの?なに?なにがあったの?」
チルが身を乗り出して聞いてくる。フルーツヨーグルトを食べていたので、口の周りに白色のヒゲが生えている。
「ははっ、それはね。」
と少し笑いながら隣の愛ちゃんの方を見て、愛ちゃんもこちらを見て
「それはね」
「「秘密ーー」」
二人揃って言ってしまった。別に秘密でもなんでもないのだが。
チルが頬を膨らませて。
「えーーっ、何それ秘密って。しかも二人揃って。リュウ兄ちゃんなんか半笑いだし。」
「チル、ごめんごめん別に秘密でもなんでもないよ。その話はちょっと朝食を食べてからね。あと笑ったのは、チルの口周りに白いヒゲが出来てだからだよ。」
「えっ、うそうそ」
と言って、チルが口の周りをナプキンで拭いていく。
「パパ、愛さん、私も気になりますので、朝食をどうぞ召し上がって下さい。」
少し怒り気味のノエルに急かされて、僕と愛ちゃんは黙々と朝食を食べ始める。
「ご馳走様。あー美味しかった。なんか日本で食べた食事と同じ気がするね。」
「そう言ってもらえて、嬉しいわ。毎日の幸せと活力は美味しい食事から…ということで、食生活には重点的にポイントを置いて、国作りしましたから。」
と愛ちゃんが胸を張ってそう答える。
「さっ、二人とも朝食が終わったことですし、チャキチャキと隠していることを吐いてもらいましょうか?」
チルがどこぞの時代劇の様な物言いで僕たちに問いかけてくる。こんな言葉使い教えたかな?
僕とと愛ちゃんは分かりやすい様に二人に説明した。不要なこと、話さなくても良いことは話さないで、必要なことのみを簡潔に。




