【雇用№99】リュウとデートの日程
「それで?リュウいつなら出来そうなの?」
「それはですね…………。」
どうしよう?参ったぞ。『魔女の一撃』の回復見込みも立ててないし、避難所だってまだ未完成だ。もう、ほんとに襲撃のタイミングが迫っているから、みんなの安全率を少しでも上げておきたいんだが…………。
チラッと視線を前に向けると、ティタニアさんが早くしろと鋭い目つきで睨んでくる。でも、これは回答しないと前に進めないタイプの状況ですね。
どうしよう?まず襲撃前にデートするとして、いつにするか?だよな。となるとチルの休日を確認して、その日にチルに予定がないかを確認して行うことになるな。
僕の予定は今の所この日にこの仕事を、しなきゃいけないってのは無いから、進捗が1日遅れるだけで、他にはあまり影響は出ないから大丈夫だな。よし。
「ティタニア、いつというのは今は決められないよ。チルの休日と予定に合わせてデートしたいからね。」
「あーそのことなら大丈夫よ。明日はチルはお休みよ。そして、予定は私と一緒に服を買って街中を歩くことになってるから、全日大丈夫よ。」
「あー、それは良かったよ。早くチルにご褒美があげられて嬉しいよ。段取り色々とありがとうティタニア。」
どっどうしよう?いきなり明日ですか?プランもプレゼントも全く決めてないよ。日本ならデートの定番は、映画やカラオケ、ボーリング、動物園、水族館なんだけど、ここって普通はどこ行くものなの?相手に喜んでもらえるようにするのがデートだけど、チルが喜ぶものっていったい何?
魔猪のお肉好きだったよね。それと天蓋ベッドが凄くテンション上がってた。あとは…………、えーと何かあったっけ?
「ねぇ、リュウ日にちが決まったことは、良いことなんだけどさ。何かまた馬鹿なこと考えてない?」
「いや、考えてないない。明日どこに行こうか、何をプレゼントしようか、考えてるとこだよ。」
「そう、なら良かったわ。てっきりチルがお肉好きだから、猪のお肉を買ってきて、それをプレゼントしたり、狩に連れて行くのかと思ったわ。」
「ぎくっ、ぎくギクギク。」
「やっやだな~ティタニアさん、そんな浅はかなことするわけないじゃないか。あはっあはっあはははははは。」
「リュウ、言わなくても分かっていると思うけど、チルが楽しめなかったら、何度でも1日デートだからね。ふふっ。ふふふっ」
冷めた目と乾いた笑いをしながら、こちらを見てくる、幼い容姿のティタニア様。
「あー、ティタニア様や。お願いします。もう少しアドバイスを頂けないでしょうか?」
「うーん、どうしよかな~。私のリュウへのご褒美は終わっちゃったからな〜。」
「そこをなんとかお願いします。チルと仲の良い、美人な妖精のティタニア様しかご相談出来る人がいないのです。」
「うーん、そこまで言われたら、ティタニア様が人肌脱いであげるしかないわね。」
とチラッと裾を捲りあげる。いやティタニアさん。実際に服を捲りあげる必要は全く無いんですが。しかも幼女だし、いくら美人といえども、なにもドキリともしませんよ。
それでも一応視線は外しておきます。エチケットは大切です。
「でも、リュウこれは貸しだからね。」
「はい、重重承知しております。」
えらく高くついた気もしなくもないが、まずはチルに楽しんでもらわなくてわ。
「チルならリュウが考えてくれたデートプランなら喜んでついて行くわよ。以上、アドバイス終了ね。」
「いや、そんなティタニアさん。さっき僕が考えてたプランを全否定したじゃないですか。もう少しアドバイス下さい」
「でも、事実チルならきっとリュウが一生懸命考えてくれたものなら、喜んでくれるわよ。女の子はね、結果よりもそれまでの過程を重視してくれるのよ。だから、リュウ。しっかり悩んで考えてみなさい。チルはそれをしっかりと受け取ってくれるわよ。でも、お肉と狩りはないわよ。」
「いや、だからね。そのダメなラインが分からないからさ、こうやって頭を下げて、お願いしてるのであって。」
「大丈夫だって。これで、ダメなことは一つ分かったわけでしょう。どうしても心配なら、考えたプランを聞かせてくれれば、合否は言ってあげるからね。私はこれからモニカちゃんと薬草の世話をしに行くから、またねー。」
おおーい、ティタニアさんや、そりゃー貸し一つは高すぎやしませんかね。




