アルナの思惑
【★あとがきに大切なお知らせがあります!★】
魔界祭が終了して四日目を迎える。
ティアラ、リリア、アルナそれぞれと三日かけてデートしてきたレインだが、今日は特に何の予定もない素晴らしい一日になる予定だ。
昨日はあのままアルナの城に泊まらせてもらい、起きたのは昼頃だった。
三日間の疲れが溜まっていたのか、気絶するように眠ってしまいイマイチ記憶が残っていない。体が「そろそろ休め」と合図を出しているような気がした。
人間は他の種族と違って休養がとても大事な生き物。
働いてばかりではかえって効率が悪い。
睡眠時間とかリラックスする時間、あとは何も考えない時間とか。そんな時間がやはり必要である。
アルナもちゃんとそれを理解しているようで、わざわざレインの部屋に訪れて様子を見に来てくれた。
「おはよ、レイン。よく眠れた?」
「うん、ぐっすりだったよ。まだちょっと疲れが残ってる気がするけどな」
「じゃあもっと休まないと。今日はゆっくり休む日だからね」
いつにも増して優しさを見せてくれるアルナ。たまにこういう一面を見せてくれるから憎めない。
今日はアルナも何もせずに過ごすのかなと思ったが、着ている服は完全に外用のものだ。しかも、外用の中でも動きやすさ重視で身軽なもの。
明らかに近場の用事ではなさそうだが、気にしない方が良いのだろうか。
「ならそうさせてもらおうかな。疲れがすぐ溜まるし不便な身体だよ」
「人間の身体は脆いからね。すぐ怪我するし病気になるし、大事にしないといけない」
「確かに魔族の身体に比べたら貧弱かもな。怪我も治りにくいわけだし」
「魔族なら人間が使えないような強い薬も使える。レインの身体を魔族にすることならできるよ?」
「それは……気が向いたらにしておくよ」
レインは自分の身体が魔族のものになった未来を想像したが、ゾッとしてすぐにそれを辞めた。やはり自分は人間のままがいい。魔界で生きていくには、人間の身体は不便すぎるかもしれないが、それでも変わる勇気はなかった。
人間で生まれて人間で死ぬのが今のところの目標だ。
「今日は何か用事あるのか?」
「行かなきゃいけないところがある。外せない用事」
「へぇ、アルナがそこまで言うって珍しいな。大抵のことは行けたら行くって感じなのに」
「大事な用事だもん。レインはここで待っててね。今日中には帰ってこれると思うから」
どうやら、アルナはもうそろそろ出発しなくてはいけないようだ。時計をチラチラと気にしているアルナは、もう二度と見られないくらいレアな瞬間である。そこまで大事な用事とは一体何なのだろうか。純粋に気になってしまう。
「どこに行くつもりなんだ? 凄い人と会ったりするのか?」
「凄い人……と言ったら凄い人なのかな?」
「俺に聞かれても困るけど……」
アルナは軽く誤魔化すと、いつものように下手くそな指笛を鳴らした。
息をつく暇もなく、もう行ってしまうようだ。答えを教えてもらえずモヤモヤしたままのレインだが、仕方ないので笑顔で見送ることにする。
アルナに限って、戻ってこられないというのもないであろう。続きは帰ってきてから土産話と共に聞くことに決めた。
「気を付けてな。アルナに言うのは失礼かもしれないけど、怪我するんじゃないぞ」
「もちろん。ちゃちゃっと片付けてくる」
アルナは小さく手を振って部屋を出て行くことになった。
レインは、彼女をソファーに腰かけるようにして見送る。小さな背中にふわふわとした雰囲気は、ペットのような小動物を連想させた。
アルナは、レインが近くにいるとリラックスできると以前言っていたが逆も然り。レインもアルナが近くにいるとリラックスできる気がする。
そんなアルナの空気がレインは好きだ。
「じゃあね」
「おう」
バタンとドアが閉まる。
その時――とてつもないアルナの殺気を感じたのは、気のせいだと信じたい。
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