魔界祭へ
「おはよ、レイン」
「うん。おはよう」
魔界祭当日。
初めてそれに参加する予定のレインは、久しぶりにドキドキとした気持ちを味わっていた。
一体どれほどの種族が、どれほどの規模で集まるのか。
未知の世界過ぎて、予想すらまともに立てられない。
「アルナが参加したら大騒ぎになりそうだな」
「そう?」
「だって参加者には何も言ってないんだろ?」
「確かに……サプライズ」
アルナは納得するように頷く。
魔界祭などの表舞台には長く姿を現さなかった自分が、急に何の前触れもなく姿を見せたら驚くのも無理はない。
特に深い理由があったわけではないが、何も知らない側からすると不気味で仕方がないであろう。
あまり怖がらせないように気を付けなければ。
アルナはそれを心に刻む。
「そういえば、今回はティアラもリリアも来るんだった。かなり珍しい」
「問題が起きる気配しかしないな」
「大丈夫大丈夫。アルナがえすこーとするから」
「心配だ……」
魔界を代表する三人。
この三人が集まった時――何も起きないはずがない。
最悪の場合、魔界祭自体が中止になってしまう可能性だってある。
祭は賑やかである方が望ましいのかもしれないが、この場合なら話は別だ。
誰が主催しているのかは知らないが、その人物がかわいそうとさえ思えた。
「ティアラとリリアはまずここに来るの?」
「いや、確か現地集合の約束だったはず」
「そうなんだ。なら遅刻しちゃダメだね」
「今から出発すれば余裕で間に合うな」
レインはチラッと時計を確認する。
せっかくの魔界祭。
遅刻して焦るようなことは避けたい。
ティアラもリリアもきっと同じ気持ちのはずだ。
「ならもう出発しようかな」
「うん。俺は準備できてるよ」
アルナはそれを聞くと、また狼を呼ぶために指笛を鳴らす。
あっという間に出発まで進んでしまった。
身支度的な準備はできているが、心の準備はまだ怪しいところである。
ようやく魔界祭の実感が湧いてきた頃だ。
「緊張してる?」
「……ちょっとだけ」
「ならアルナの後ろにいるといい。ふふん」
頼りがいのあるアルナの言葉を受けながら、到着した狼の背中に乗るレイン。
そして。
体重が完全に移ると、狼は力いっぱい大地を駆け出したのだった。
お久しぶりです。はにゅうです。
リアルを含めて忙しい日々が続き、お休みをいただいておりました。
新作や既存作など、これから投稿の頻度を増やせたらと思います。
ということで、久しぶりに新作を書きました!
勇者パーティーを理不尽に追放された死霊使いは、魔王軍にヘッドハンティングされて成り上がる~人間界では蔑まれる職業だったけど、魔王軍ではめちゃくちゃ重宝されて英雄扱いされています~
ポイントを入れる場所の↓にあるリンクor作者の作品欄から読めると思います。
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