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戦闘開始



「ロック隊長! この館は完全に包囲しました!」

「よくやった。吸血鬼の反応はどうだ?」

「それが、全く動きを見せようとしません。もしかして中にはもういないのかも……」


 隊長であるロックに、兵士から一つの報告が入る。

 それは良い話であり悪い話でもある内容だ。


 良い話とは、館を取り囲むことに成功したこと。

 悪い話とは、そもそもこの館には吸血鬼が存在していないかもしれないこと。


 これだけ兵を費やして、吸血鬼の親玉に逃げられましたでは済まされない。

 ロックは焦っていた。


「本当に中にはいないのか? ちゃんと調べたか?」

「中まで調べているわけではありませんが、この段階で攻撃してこないのは不自然かと」

「……ッチ。それなら今から館の中を制圧する」


 ロックは悩んだ末、次の行動を決定する。

 もし吸血鬼がいなくとも、この館を制圧していれば成果となるはずだ。


 仮に吸血鬼が隠れていた場合は、連れてきた吸血鬼ハンターたちと一網打尽にするだけ。

 とにかく動きを見せなければ。


 そう思っていた時だった。


「ぎゃあああぁぁぁ!?」


 どこからか聞こえる兵士の悲鳴。

 間違いなく攻撃された時のものだ。


 遂に吸血鬼が動き始めたのか。

 ロックは兵士たちに武器を構えるよう指示した。


「え」


 その瞬間。

 隣にいたはずの兵士が吹き飛ぶ。


 さっきの悲鳴はかなり距離が離れていたはず。


 もうこんなところにまで移動してきたのか。

 それとも複数人で同時に攻撃を始めたのか。


 ロックは攻撃のきた方向を見る。


「……貴様何者だ」


 そこにいたのは。

 自分の腰くらいまでしか身長がない女の子。

 薄い紫の髪がよく目立っている。


 本来ならこんなところにいるはずがない存在だ。

 こんな見た目だが、ロックが騙されることはない。


 その女の子の両手は、真っ赤な血で綺麗に染まっていた。

 よく見れば、まるで冷え切った氷のような目である。


 こいつは人間じゃない――化け物だ。

 ロックがそれに気付くのに時間はかからなかった。

 

「アルナはアルナだよ」

「……貴様が吸血鬼の親玉で間違いないんだな?」

「? アルナは吸血鬼じゃないよ」


 だってほら――と。

 アルナはまたもやロックの隣の兵士を吹き飛ばす。


「血なんて吸う前に人間の方が壊れちゃうんだもん」


「このガキッが! 構えろ!!」


 アルナの挑発に、ロックはあえて乗っかる。

 この数の前では、多少の強さを持っていたとしても無力だ。


 人間を舐め切っていることを後悔させてやらねばならない。


 ロックは怒りを込めた声を発した。


「戦闘開始だ!!」




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