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鉢合わせ



「地図によるとこっちだな」

「本当にここで最初の被害者が出たのか?」

「さあ。まぁ、ただの調査だから別に何も見つからなくてもいいだろ」


 人間界から派遣された調査隊、ジルとニフ。

 二人は、吸血鬼による最初の被害者が出た地域に向かっていた。


 本当なら今日は休日であったはずなのに、急いでいるからと無理に派遣されてしまう。

 文句の一つでも言ってやりたかったが、国王直々の命令であるため逆らうことはできない。


「それにしても、まさか国王様から仕事を貰うなんてな」

「よっぽど大変な状況みたいだ。その分報酬も多いからいいだろ」

「これから忙しくなりそうだ。面倒くせぇ」


 ジルはダルそうに頭を掻く。

 それとは対照的に、ニフはやる気に満ち溢れていた。


 相方同士でここまで性格に差があるのは珍しい。

 ジルは休みを欲しており、ニフは金を欲している。

 いつも喧嘩が絶えないため、解散せずに済んでいるのが不思議なくらいだ。


 お互いに実力だけは信頼しているからだろうか。

 ……どちらにせよ、調査をするという目的自体は同じであるためどうでもいい。


「最近人間界は騒がしいよな」

「そうだな。この前は魔法が街に撃ち込まれたんだって?」

「そうそう。立て続けに吸血鬼の事件もあるし、どうなっちまうんだろう」


 愚痴にも似た心配。

 暇をしないという意味ではいいのだが、これからの人間界を考えると微妙な気持ちだ。


 二人には守るべき家族がいるため、あまり危険な状態にはなってほしくない。


 この流れを見れば、今起こっていることが異常なことだと分かる。

 どうにか自分たちの調査がそれを断ち切るきっかけになればいいのだが――と。


 心の中で気合を入れなおした。


 そんな時。


「あ、やっぱりいました! ほら、この辺りは人間が来やすいんですよ!」


 はしゃいでいる女の声が、どこからともなく聞こえてくる。

 どこに女がいて、誰に話しかけているのかは分からない。


 しかし。

 女が「人間」と呼んでいる存在は、自分たちであるということだけは理解できた。


「本当なのだ。信じてみるものだったな」

「きっと吸血鬼の牙を狙ってる悪人ですよ。成敗しちゃいましょう」

「目には目を、歯には歯を――だな」


「ッ!? そこか!?」


 二人の後ろで足音がする。

 それを聞くと、急いで必死に振り返った。


 そこにいたのは二人の女。

 一人は吸血鬼、もう一人は……竜人?


 まさか自分たちが背後を取られるとは。

 かなりの実力者であることが見て取れる。


「ジル……これはヤバいぞ」

「ああ、分かってる」


「フフ、やっぱり人間は美味しそうです」


 今まで見たことないような力を感じさせる吸血鬼。

 二人は素早く武器を取り出す。


 そして。

 見事なコンビネーションで距離を詰めたのだった。




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