吸血へ
表紙入りありがとうございます!
これからも頑張ります!
「レインさん、ティアラさん。今から外に出てみませんか?」
「へ?」
それは、リリアの突然な発言により始まった。
妙にソワソワしているリリア。
ついついレインは間抜けな顔で聞き返してしまう。
それと同じように、隣にいるティアラも、ポカンと不思議そうな顔をしていた。
「外に出るって、どうかしたのか?」
「えっと、この前人間と敵対するって話をしましたよね?」
「そうだな」
「それで……私も久々に人間の血が吸いたくなってしまいまして」
リリアの恥ずかしそうな表情。
どこに恥ずかしがる要素があるのかは知らないが、理由を聞けば別に何も問題なさそうな行動である。
「吸血姫、どうして我らも誘う必要があるのだ? 我らも一緒に血を吸えということか?」
しかし。
ここで気になったのはレインたちを誘う必要があるのかどうか。
ティアラは頬杖をつきながらリリアに問いかけた。
「いえいえ! そういうつもりではありません。ただ……久しぶりの狩りですから、誰かと一緒がいいなぁと思いまして」
「そうか。それなら断るわけがないよ」
「うむ……まあいいか。仕方ないの」
もじもじと指を動かすリリア。
さっきからとても表情豊かだ。
こんなリリアのお願いを断るほど、レインは冷酷な人間ではない。
サッと待たせないようすぐに立ち上がる。
……どうやらティアラもそれは同じなようで、面倒くさそうにしながらもしっかりと立ち上がっていた。
「それで、どこまで行くつもりなんだ?」
「そこまで遠出はしない予定です。人間のよくいるスポットは知ってるので、きっと見つかると思います!」
「そんなスポットがあったんだな……」
本当に食料として扱われる人間に、同情の気持ちを覚えるレイン。
敵としてではなく、ただの動物のように認識されている。
実際にそれほど力の差があるため仕方ないのだが、それを目の当たりにするとやはり可哀想だという気持ちは芽生えてきた。
「人間の血を吸うのは久しぶりですから、何だかドキドキしてきちゃいます」
「そこまで人間の血は美味なのか?」
「はい! あれはどんな料理にも勝る絶品です!」
「ふむ……」
「ティアラが飲んでもマズいだけだと思うぞ」
真剣に人間の血を検討するティアラを、レインは冷静に指摘する。
これで本当に血を飲んでみたとして、マズいと文句を言われるリリアがかわいそうだ。
確かに吸血鬼として人間の血を飲んでみたくはあるが、それは一生叶わぬ願いである。
「それじゃあ行きましょう! レッツゴーです!」
「レイン、準備はいいか?」
「うん。行こうか」
こうして。
レインたち三人は外の世界に出るのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
皆様の応援で遂に表紙入りすることができました!
ここから『魔王編』まで、気合を入れて更新して行こうと思います!
ぜひお楽しみに!!
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