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第34話 マリアは各部署を視察する!①

火曜日には、更新出来ず申し訳ありませんでしたー!

はい、もう一作の処女作の方も更新出来ませんでした_:( _ ́ཫ`):_


楽しみにしてくださっていた読者様、ごめんなさい! 許して!<(_ _)>〈 ゴン!〕


今日からまたどうぞ、お楽しみくださいませ!

 

 ん゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜っ!

 やっとこさ憂鬱な“女の子週間”が終わったよぉ……!


 いやぁ、辛いね女の子って。

 毎月毎月あんなにしんどい思いするのね。


 もう頭重いしイライラするしお腹痛いし集中できないしで、ホントに辛かったよ……!


 うん。そりゃあ体育も見学しますわなぁ、あれじゃ。

 全国の女子生徒のみんな、今までズルいとか思っててごめんねッ!!


 でもまあなんやかやで復活のマリアちゃん12歳!

 さあ、今日からまたビシバシお仕事していくよぉーッ!


「マリア会長、すっかりお加減はよろしそうですね。では、これらの書類にお目通しの後署名捺印をお願いします。」


 …………あれぇ? なんだかまたお腹が痛く……


「マリア会長? バネッサ【侍従部】部長から既に全快されたと伺っておりますが?」


「……ハイ。ガンバリマス。」


 病み上がり(って言うのかな?)にこの書類の数はなんなのよーっ!?

 え、あたしの机どこ!? 天板見えないんですけどッ!?


「ねぇカトレアさん、今ウチ赤字経営だよね? なんでこんなに書類がいっぱいなの……?」


「マリア会長、わたくしの事はカトレアで結構です。此処にお勤めしている間は、わたくしはマリア会長の部下ですので。そして書類の量ですが、ただの赤字でしたらここまでにはなりません。組織改革と重なったために各種計算や手続きが複雑化して、このような事になっております。」


 おうふ……っ! 改革の時期を誤ったってコトなの……?

 時期尚早だったってコト……?


「……ですが、現時点で改革に乗り出したのは正解だったとわたくしは思います。仮に従来の体制で立て直したとしても、こう申しては失礼ですが、マリア会長では前会長スティーブ様のようには収益を上げられなかったでしょう。」


「それは……あたしの年齢のせいよね?」


「はい。今までの収益を支えてきたのは、あくまでも前会長スティーブ様の手腕と、彼への信用に拠るところがあまりに大きく。その顧客達とマリア会長がこれまで通りに取り引きを行うのは、信用面ではかなり劣っているため、最悪侮られ、足元を見られる事になっていたでしょうね。」


「そうだよねぇ……そう考えると、やっぱりあたしがやり易いように体制を整えるのを優先させたのは、あながち間違ってないと言えるワケね。」


「そうなります。しかし組織の細分化……それもこのような一商会をとなると、恐らくは前例は無いものかと。マリア会長は一体どちらでこのような知識を?」


 ううっ……!?

 い、言えない……! あたしって前世でサラリー社畜だったから〜とか、絶対頭おかしいって思われる……ッ!


 特にカトレアさん……カトレアのこの鋭い目付きで変なものを見る目で視られたら、あたしってば再起不能な大ダメージを受けそうな気がするよ……!!


「あ、あははは……! そこはそれ……な、なんて言うか……閃いたのよっ、そう! ある日突然、降って湧いたみたいな……っ!」


 ここは……全力で誤魔化すしかない……!

 このカトレアは現在(いま)はあたしの部下だけど、同時に領主である伯爵閣下の配下で、ウチに派遣された監督官だからね!


 下手に前世やら転生やら、詳細不明な【社長】の職業適性やらを知られれば、その報告は確実に伯爵の元へと届くし、またぞろ興味を持った伯爵から、何かしら無理難題を言われてしまうかもしれないもんねっ!


「左様でございましたか。流石は伯爵閣下が『面白い女児』と評したお方ですね。やり甲斐のある仕事先で、わたくしも嬉しく思います。」


 ご、誤魔化せた……のかな……?


 カトレアが氷のような無表情に一瞬、楽しそうな微笑みを浮かべたような気がしたけど、颯爽と踵を返して退室してしまったので、確かめる事はできなかったよ。


 そして部屋に残されたのはあたしと、執務机の上にこれでもかと積まれた大量過ぎる書類。


「うへぇ……コレ何日掛かるのかなぁ……?」


 溜め息と共に渋々椅子に腰を下ろして、あたしは書類の海へとダイヴしたのであった。


 あ、これちゃんと項目や種類別に仕分けされてる!

 か、カトレアさああああああんッッ!! んもうッ、大好きッ!!




 ◇




「アナタは頑張ったわ……だけどあたしの方が一手先を行っていた……それだけの事なのよ……! ハイッ、しょうにぃーんッ!! 終わったああああッ!!」


 ズバンッ、と承認印を押して、イタチごっこのように後から後から増え続ける書類の後詰(ごづめ)の最後の一枚を処理済みのカゴへ放り込む!


「お疲れ様でした、マリア会長。ですが後半の芝居のような口上は、いったい……?」


「いやいやカトレアぁ、流石に丸二日も机にしがみ着いてたら、いくらなんでも飽きちゃうしモチベーション続かないでしょ……! アレはささやかなあたしなりの、悪足掻きってヤツなのよぉ……!」


 はい!

 不肖マリア、書類の海を渡り切り、二日目の夕刻に無事生還致しまして御座います!


「なるほど、勉強になります。流石はマリア会長、お仕事の手管もユニーク極まりないですね。今度参考にしてみます。」


「やめてえぇぇ、カトレアは今のままで良いのぉ……! お願いだからあたしの理想のデキル女性像を崩さないでぇぇ……ッ!」


「はぁ…………? まあそれはさて置き、ご報告です。先の定例会議で素案の出た【調理部】の起ち上げですが、調理部門での評価“A+”の奴隷から承諾が得られましたので、正式に決定致しました。つきましては、マリア会長には彼との面談と奴隷契約の解除、人事辞令の交付、新部署設立の計画書の確認・修正をお願い致します。」


「もう決まったんだ? 流石はカトレアとバネッサの共同企画、事の進みがスムーズで助かるね。」


「光栄です。それと各部署から、マリア会長の視察を願い出る上申が一定数有りました。部長各位も教育の効率が上がるだろうと、概ね好意的に受け取っております。」


「視察かぁ〜。そういえば部長のみんなに任せっ放しで、最近奴隷達(みんな)とお話もあまり出来てないしなぁ……! うん、それじゃ明日はまず視察に回ることにするよ。それが済んだら面談して、一緒に計画書の内容を確認するようにするね。」


「承知しました。それでは明日の定例会議で、その旨を周知致します。直前に知らせた方が、監査や視察はありのままを観察する事ができますからね。」


「おおう……! わ、分かったよ、よろしく。あ、カトレア?」


「はい。なんでしょうか、マリア会長?」


「ありがとね。書類は多かったけど、整理されてて凄く処理しやすかったよ。もう6時だし、カトレアもお仕事終わってね?」


「……はい。勿体ないお言葉、ありがとう存じます。明日の予定を確認したら、お仕事を上がらせていただきます。」


「うん、お疲れ様でした。また明日もよろしくね。」


「こちらこそ。マリア会長も、お疲れ様でした。」


 窓の外は既に暗い。

 照明の魔導具に照らされたあたしの執務室から、カトレアは今日も颯爽と退室して行った。


 さて、あたしも苦手な頭脳労働がぶっ続けだったし、お風呂に入ってご飯を食べたら、今日は早めに寝て頭を休めなきゃね〜。


 今日の夕ご飯は何かなぁ〜?




 ◇




 ……テレビやスマホって、やっぱり睡眠不足の大きな要因だったのね……!


 昨日は仕事もキリが着いて、夕飯を食べて魔力増加訓練の“枯渇式”をやって、早々に就寝したの。

 うん、多分夜の9時くらいかな。


 おかげさまで今朝も絶好調!

 日の出と共に目覚める爺ちゃん婆ちゃんみたいな超健康的な生活を送ってるよ!


 さあ!

 朝ご飯を食べたら会議の議案書の確認からだねー!




 まあ内容はともかく、今日の会議は報告と視察の告知、【調理部】発足の発表だけだったから、30分くらいで終わったよね。

 各部署の部長達も、みんな歓声を上げて張り切ってたよ。


 さてさて、肝心の視察なんだけど……


「マリア会長、こちらが【戦闘部】の資料で御座います。」


「う、うん。ありがと。」


 急遽バネッサが、【侍従部】の研修を捩じ込んできたの……!

 なんでも、“主に付き従い、必要な物を必要な時に用意する訓練”に最適だとかなんだとか。


 そういう訳で、あたしは【侍従部】所属の成績優秀者を引き連れながら、病院のお偉い先生の回診よろしく、商会内を練り歩く羽目になりましたとさ。


 そんなこんなで【戦闘部】の視察から、行ってみよー♪




「遅いッ! 敵の動きを見てから判断するな! 敵の視線、重心の傾き、筋肉の緊張から次の攻撃を即座に予測してそこに盾を構えるんだ! 盾役は前衛の要だぞ!? そんな体たらくで仲間を守れると思うなッ!!」


「「「「はい、ミリアーナ部長ッ!!」」」」


「剣士組! 手首の絞りが甘い! 振るうには脱力が肝だが、切り込む際にはちゃんと手首を絞って刃筋を立てろ! デタラメな刃筋で打ち込んで剣を早々に傷めて、仲間のお荷物に成り下がる気かッ!? そんな事ではゴブリン一匹狩れないぞッ!!」


「「「はいっ、ミリアーナ部長ッ!!」」」


 おおう……ッ!

 ミリアーナさん、想像してたよりずっとハ〇トマン軍曹やってるぅ……!


「むっ? これはお嬢様! 我が【戦闘部】の視察ですか!? 全員整列ゥッッ!!!」


「「「「はいッ!!!」」」」


 呆気に取られるあたしを他所に、ズラリ並んだ【戦闘部】の面々。

 うん、みんななんでそんなに瞳をキラキラさせてるのよ。マゾなの……?


 でもまあ。

 成長著しいとはいえ、依頼の失敗から借金奴隷に身を落とす事が多い彼らは、やはり割合としては駆け出しから中堅手前くらいの人が多いのよね。


 そんな彼らが、冒険者界隈の最前線で活躍するAランク冒険者である、【赤光(しゃっこう)】のミリアーナに指導してもらえるんだから、嬉しく思うのも無理はない……のかなぁ?


「お嬢様、視察お疲れ様です!」


「「「「お疲れ様ですッ!!」」」」


「う、うん。みんな、凄く頑張ってるんだね。傍から観てると、いつ怪我するかってヒヤヒヤしちゃったよ。」


 一糸乱れずにミリアーナに追随する奴隷達。


 うん、コレって最早軍隊じゃない……?

 え、待って。企み有って私兵を育ててるって伯爵に報告されないよね……? 大丈夫だよね、監督官(カトレア)さん……!?


「お嬢様、先程の乱取り稽古はまだ軽い準備運動です。この後は私との個々人の打ち合い稽古になりますので。」


「そ、そうなんだね……! 怪我したら、ちゃんと申請してね? 恥ずかしくて怪我を隠したりしたら、ダメだからね?」


「だ、そうだぞお前達! お嬢様の寛大さに感謝するのだぞッ!!」


「「「「ありがとうございます、マリア会長ッ!!!」」」」


 うん。これ以上は心臓に良くなさそうだよ……!

 あ、ヘレナは人一倍頑張ってるみたいだね。一人だけの“B-”評価って、ヘレナの事だったみたい。

 だけどホント、酷い怪我はしないようにね……?




 続いてやって来ました【情報部】。

 今日は教導室で座学をやってるみたいだね。なんだか教壇に立つアンドレっていうのも、違和感しか感じないよっ!


「お嬢、お疲れさまっす。オラお前ら、会長サマにご挨拶だ。」


「「「「お疲れ様です、マリア会長!」」」」


 う、う〜ん……? こっちでも、なんだか軍隊のように規律が凄いんだけど……?

 ちょっとカトレアさん!? 無言で頷きながらメモ取るのやめて!? 何書いてるか内容が気になって怖いのよぉッ!?


「お疲れ様、アンドレ。コレは何のお勉強をしているの?」


「今は、隣接する都市、街区、町村の主な産出品をおさらいしてるとこっすね。物の流れである程度の情勢の輪郭は見えてきますんで、そのためにってとこっす。」


「なるほどね。例えば戦さ支度なんかだと、保存の効く穀物や芋類が売れるみたいな感じ?」


「極端な話ですけど、そういう事っす。後はまあ、主立った冒険者や傭兵団、盗賊団の分布の動きなんかも、時勢を判断するには良い材料っすね。高名なパーティーや団になると、時勢に耳聡いメンバーが抱え込まれてる事が多いっすからね。」


「なるほどぉ〜っ!」


 あたしもだけど、授業を受けている【情報部】の面々も感心しきりといった様子だね。


「流石はアンドレ。悪名高い盗賊団の元耳目って肩書きは、伊達じゃないね!」


「ちょ、お嬢っ!? それはもう言いっこなしっすよぉ!!」


「あはははっ!」


 座学を行う教導室の中に、賑やかな笑い声が響く。

 そうそう。教育を受けている奴隷のみんなも、楽しんで仕事してちょうだいね。


「それで、アンドレ? この間の研修で“A”評価に上がった人を紹介してくれない?」


「あー、そういやお嬢は“3日目”で辛そうでした――――」


「アンドレさん?」


「う……うす、すいませんお嬢。おい【アニータ】、こっち来い。」


「……はい。」


 冗談でも、言っていい事と悪い事があるんだよアンドレ? まったくデリカシーの無い……!

 さて置き、あたしが“女の子の日”でダウンしている間に、見事研修で成果を挙げた女性があたしの方へ歩み寄って来る。



 名前:アニータ 年齢:17 性別:女

 職業:マリアの奴隷 適性:暗殺者 魔法:風

 体調:緊張 能力:A 潜在力:S

 種族:獣人(黒豹)



 うん、凄い逸材だよ!

 元々ウチの商会に居た奴隷だけど、流石はスティーブ会長(お父さん)の目利きと言わざるを得ないね。


 そしてここにきて初めて“種族”って項目が出てきたね。

 どうも“人間族”以外だと、こうして備考っぽく表示されるみたいだね。

 変装とかを見抜くのに役立つかも?


「黒豹の獣人らしいけど、髪も耳も尻尾も真っ白だね?」


「……はい。同族には……“忌み子”と言われてました。でもれっきとした“黒豹族”……です。」


「そお? ただの“白変種(アルビノ)”でしょ? あたしは真っ白で綺麗だと思うなぁ。雪豹は模様が有るから、それとも違うしね。個性的で素敵だよ?」


「っ……! あ、ありがとう……ございます……」


「あはは! お礼を言われるような事言ってないよ。それより、“A”評価おめでとう。これからも頑張ってね!」


「……はい、お嬢様。」


 この世界の獣人族は、所謂(いわゆる)ケモ耳・ケモ尻尾を持った人間というだけだ。寿命や身体能力は違うけど、そう人間と変わらないのね。


 獣の頭部や体毛、身体的特徴を持つ種族は、“人獣型の魔族”として扱われてるみたいだね。それだって意思疎通は可能らしいけど。


 まあ良くあるラノベみたいに、この世界でも地域によっては、獣人等の異種族差別が普通に有るらしいね。

 我等が【フォーブナイト帝国】の、特にこの【ムッツァート伯爵領】は、種族差別はほとんど無いと聞いているよ。


 うん、良い事だよね。ケモ耳もケモ尻尾も、可愛いもんね!

 アニータってば、仲良くなったらモフらせてくれるかな?


 おっと、コレはセクハラじゃありませぇーん!

 だってあたし、女の子だもん!!(ドヤッ!)


 そうして【情報部】の視察も終えたあたしは、次なる部署へと向かうべく、またもやお偉い医者先生のようにゾロゾロと建物内を闊歩したのであった。




前話ではザックリとした紹介しかできなかった、各部署の紹介という名の視察でございます。

次回は②ですね!

(まあこれでもかなりザックリですが……)


如何でしたか?


「面白いよ」

「ミリアーナに罵られたい……!」

「アニータ良いね! 活躍期待!」


そう思われましたら、ページ下部の☆から高評価や、ブックマークをお願いします!


励みになりますので、感想やレビューもお待ちしております!


第9回ネット小説大賞(旧なろうコン)にエントリーしております!

どうか良き結果となるよう、そちらも応援よろしくお願いします!

m(*_ _)m


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます [気になる点] 作者様が多忙で、無理していないかな? [一言] やはり戦闘部への入隊テストは、両手足を縛って湖にドボン。一時間浮いていられたら合格、と言うネイビー…
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