ペンタゴンヌ
読んでも人生に何のプラスにもなりません。
ペンタゴンヌは、右側通行で行う自転車バトルレースである。優勝した者には、何かしらの粗品か世界の覇権が与えられるという。
「まさかお前もエントリーしていたとはな」
「グゲェエエ!」
先頭で話をしているのは、美しい青年と凶相の獣。青年の名はゲソラキョ。獣の名はキョウン。まるで違う外見だが、彼らは魔物の兄弟である。
ゲソラキョは魔物達の中でも外道と恐れられる存在であり、キョウンはその見た目と言語能力に反して困っている者を見捨てることの無い性質をしている。
『では、スタートです!』
一億の参加者が一斉に動き出す。
「うおらあー!」
ゲソラキョが亜空間に隠し持っていた七億のビー玉をばらまくと、八千万の参加者が犠牲となった。
だが、キョウンは易々とかわす。
「ギョゲェ!」
「なっ!?まさか、スキル『わき見の運転』だと!!」
スキル『わき見の運転』とは、自転車バトルレースにおける最強の回避スキルである。なお、スキルでない『わき見運転』は、危険なのでやめましょう。大きな事故につながり、人生に絶大な悪影響を及ぼします。
「くっ!やるじゃねえか。おらっ!」
げしっ!
ゲソラキョの蹴りが、キョウンの自転車に当たる。蹴りはペンタゴンヌの華と呼ばれる、正統派のプレイだ。外道と名高いゲソラキョが使うとは思っていなかったキョウンは、モロにくらう。
「ギョベェエ!」
ザザー!
なんとか体勢を立て直し、キョウンは再び加速する。その間にゲソラキョの足によって次々と参加者がリタイアしてゆく。
レースは終盤に差し掛かり、一億いた参加者も残り5名に。先頭はゲソラキョ。2位は神霊ノッコンキュルリラ、キョウンが3位である。
「キョメェエエ!粗品は我がもらったあ!」
2位のノッコンキュルリラが前へ。さらにその陰からキョウンもスパート。
「ギュギャギャギャ!」
ペンタゴンヌは、終了した。1位はダークホースの毒竜ケキャキョムク。しかし、自転車をこがずに飛行していたため失格。
優勝は神霊ノッコンキュルリラとなった。世界の覇権はいらないということで、粗品のポケットティッシュが授与された。
ゲソラキョとキョウンの兄弟は合体して海神ゲソラキョウンになったと言われている。
読んでくださった方がいたなら、ありがとうございました。そして、ごめんなさい。