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異世界のお姫様との付き合い方  作者: スペアタイムマン
3/9

もう一つの始まりの物語

フィリアのプロローグ

フィリアside


私がこの国の裏の顔を知ったのは11の時でした。

それまでの私は母様から離され、侍女のファムに育てられたと言ってもいい

そんな私が11歳の日にそれを知ったのは偶然のことだった

ファムがどこかの諜報員のような出で立ちをした男と密会していたのを

目撃してしまったのだ。育ての親の様に思っていたファムの裏の顔を

見てしまった私はどうすればいいのか分からず後ろに後退りし逃げようと

したところ、ファムに気づかれてしまい、尻もちをつき恐怖で動けなくなって

しまいました。私の知っているファムはいつだって私のことを心から気遣って

くれる人だった。いつだったか聞かせてくれた家族の話、故郷の思い出そして

子守歌。そんな温かい思い出ばかりが浮かんでくるのに目の前のファムの顔を

私は一度だって見たことのない冷たい顔だった。私はついには恐怖で目を閉じてしまい次に何をされるかを待っていた。

だがその時は訪れなかったファムの姫様といつもの口調で呼ぶ声に

目を開ければファムはいつもの私が知るファムの顔に戻っていた。

ファムと一緒にいたはずの男はもう居らず、

いつもの様な優しい笑顔を浮かべたファムが私に手を差し伸べていた。

姫様すみません怖がらせてしまいましたねとファムは謝罪し

私を助け起こし、幼い貴方だけは巻き込みたくはなかったと一言洩らし

私の部屋で事情を話すといい移動し始めた。


部屋につくとファムは私にいった

姫様、古の勇者の伝説は覚えているかと


古の勇者の伝説、はるか古代、全ての生物を死滅させる存在

邪悪なる者 ダルトス

ダルトスに対抗するためと数多の種族の精霊術師が立ち向かったが

意味をなさなかった。

そんな時、一人の人間に神からの啓示を授かった。

国中の精霊術師を集めマナを一つに集めなさいと

そうこれが勇者伝説の最初の始まり

啓示を受けた一人の人間

アクレシア・ウェイル・イルグランテ


私の祖先にして最初の巫女


そして人類最初の転移の精霊の契約者


イルグランテの王女だったアクレシアは神の啓示を信じ大陸中から

精霊術師を集めてマナを集めた

神はアクレシアに転移の精霊を贈りそれで異界から大量のマナに適合できる

存在を召喚するように告げ、彼女もそれに従い精霊に語り掛け

多量のマナを使い異界の門を開き一人の青年を召喚したのだ

それが勇者ダン

最初その青年はみすぼらしい奇妙な鎧を身に着けていたそうだ

ダンは最初は世界からの期待や見知らぬ異界への突然の来訪に戸惑いながらも

徐々にアクレシアと絆を深めていった。

アクレシアに届いた次のお告げはダンをこの世界に馴染ませること

精霊に触れさせこの世界の生物の血肉を食わせこの世界のマナを体に

浸透させること、そう今のダンは召喚の際に集めらた魔力をすべて抱え込むには器が世界に馴染んでなかったのである。

アクレシアはダンを城に招き様々もてなしをした。

ダンは気持ちのいい男だった。

女性には紳士だったが、これまた騎士団の人間と毛職の変わった剣技で

渡り合い、そのあとは豪快に酒を飲み城の人間と笑いあい、城の人々とすっかり

仲良くなってしまった。アクレシアの父であるアルダスタ国王にも大変気に入られていた。そんなダンとアクレシアが恋に堕ちるのは必然だったのだろう

半年もあればすっかり恋なかになったダンとアクレシアに次のお告げが

下った誓いの口付けをしマナを譲渡せよと

勇者と巫女の誓い

非常に有名な話、この世に生きるものなら誰でも一度は聞いたことのある話

旅立つ勇者に巫女がその愛と共に力を託す儀式

それが行われた広場は今は祭壇の様になっていて

我が国の観光の場となっている。

そうダンはこの世界の命運を一心に背負い

この世界のどこかで暴れているはずのダルタスを討ちに向かったのだ。


ダンは様々な神の啓示に従い

強力な武具を集めダルタスに立ち向かった

ダルタスとの戦いは熾烈を極めたそうだ

だが勇者は勝った

ダルタスがもたらした被害は相当の物だったが勇者は勝ったのだ

勇者は片腕をなくしながらもイルグランテに戻ってきたのだった

そしてアクレシアに結婚を申し込み末永く幸せに暮らしたと伝え聞く物語。


その話が今のこの状況に何の関係があるのだと私はファムに聞いた

ファムは少し言いづらそうにしながらも語りだした

この国が魔国エルシニアを侵略しようと企てていると

魔国エルシニア 様々な亜人や魔族によって統治されている巨大な国家

領土はとてつもなく広く様々な種族が入り交じり多くの危険な魔物も存在する

国だ。だが人間と対立しているというわけでもなく比較的に友好的な国である

と前にファムに聞いたことがある、そしてファムの故郷。

ファムは私に語った

この国はエルニシアを支配するために勇者を召喚しようとしている

そして・・・あなたは今代の巫女に選ばれたと

私が巫女に選ばれた事より前にお父様がその様な蛮行を行おうとしているのが

私には信じられなかった。厳格で王の務めを果たす父がその様な野心を抱いてファムの故郷を壊そうとしている。私はファムにその様なことは信じられない

といったが私はその夜ファムに連れられて王の間できいてしまったのである。

他国との如何にして多量の精霊術師を集めるかエルニシアの戦力の確認など

をだ。

この現実を受け入れたくなかった。

世界を救う為の勇者は今度は他国の侵略に使われる

神への冒涜

祖先である勇者ダンや巫女アクレシアを汚す行為

そしてその行為の鍵を握るのが私であることに

ファムは静かに語った

貴方にその様な邪な事に巻き込みたくはなかったと

だから時が来たら私を連れどこかに身を隠す予定だったと

その為に祖国と連絡をとり安全に逃げ出すルートを模索していた所だったと

それを当の私に見られてしまうとは思もわなかったと苦笑していた

それが私がこの国の裏の顔を知った時のことである。


月日はながれ勇者が召喚されてしまった

それも数多の精霊術師を生贄に捧げてだ

恐ろしいそれを行ったお父様はもうすでに人間ではないと言えるほど

狂って見えた

勇者は見たことがないような服を着ており

唇にはリングがついていた

態度や口は粗暴で国の歓迎をいいことに次々と王宮の女性を部屋に誘い

抱いていた。次は自分の番かと怯えているとファラに言われた。

大丈夫ですと、

巫女が今の段階で勇者と交われば勇者は本来手に入れる力の大部分を失うことになると。それはこの国としても勇者としても望む所ではないと

だから今のうちに逃げましょうと勇者や国王達の手の届かない場所へと、

私は頷きファラが指定していた決行日にファラを部屋でまった

ファラが焦った顔で飛び込んできた

姫様!勇者たちに感づかれましたと

急いで私たちは王宮をでるも勇者に追いつかれてしまった

「おいおい、困るっつぅーのお姫さんよー肝心なアンタに逃げられちゃあ

俺がこの国でやってけないでしょ?」

勇者は汚げな笑みで私に語り掛ける

「黙りなさい!恥を知りなさい!あなたは他国を攻めることに何の躊躇いもないのですか!」

「んなのねーよ、俺はうまい飯くってちやほやされて女だけりゃどうだっていい。ここには俺を見下す奴はいないし俺には力がある勇者っていう力がよう!」

勇者はその悦に浸る様に笑って続けた

「それに!お姫さんをあと半年後に手に入れればその力が絶対的なものになる

だからよう・・・」

そういったん区切ると底冷えるようなトーンで言った

「おまえをここで逃がすわけにはいかないんだよ」

ファラがかばう様前に出て私に言った。

「誓いの祭壇へ急ぎなさい!速く!」

ファラが初めて私へ言葉を荒らげて言う言葉に私はファラを背に

走り出した。


ファラside

「行きましたか・・・」

姫様を逃がし私はそう言葉を洩らした。

誰よりも純粋で私を慕っていた姫様を私は娘の様に思っていた

使えるべき人に娘というのは可笑しいかもしれないが

この娘を幸せにしてやりたいとそう心から思える程優しい子だった、

いつも私のスカートを握ってついてきた姿を思い出し心の中で苦笑した。

そんなあの子が今邪なるものに汚されようとしている。

もう既に巫女の証は刻まれてしまった。

ならばあの子をもう誰の手にも届かない場所へ送ってしまえばいい

幸いにも私にはその手段があった。

転移の精霊

私の契約精霊

転移精霊のマナの消費は莫大だそれは距離によって比例するし

異界ともなればなおさらだ、私一人であればだが

勇者召喚の儀

一月前に行われたマナ痕跡や流れはまだ残っている

何も関係のない場所への転移は非常にマナ消費が高い

だが痕跡と流れがあれば話は別だ

その痕跡を辿っての転移法

流転転移

あまり知られていない転移法式であり必要なマナも普通の転移よりも

少量ですむ少

これを使えば姫様を少なくとも勇者がいた世界に送ることができる。

そのあと私もその痕跡を辿り転移する。そうすれば

ある程度ならば姫様をお守りできる。

後はどうとでもなるそういう作戦だった。

だが私の分は無理そうだ

「なあメイドさんよおあんたも死にたくなんかないだろ?だからどけよなあ!」

勇者が私を懐柔しにくる

「貴方のような殿方にあの子を託すことはできかねませんね。何より貴方には品性がたりない」

今は勇者の関心を私になるべくを向けるように挑発する

「なかなかいい顔してるから後で抱いてやろうとおもったがやめだ。ここで殺す」

「やってみなさいな。でも私は貴方のような人に捕まるほど安い女ではありませんよ?」

「さあ来なさい転移の精霊術師を捉えることはそう簡単にはいかなくてよ!」

「上等だこらぁ!!」

姫様共に行くのは無理そうです。でも貴方だけは助けます!助けてみせます!

この命にかえても!


フィリアside


息が切れる苦しい。精霊達が力を貸してくれなければもう倒れていただろう。

私に契約精霊がいればと思うが契約精霊は私にはいない

精霊は気まぐれでいて忠実だ

だから精霊が私に生涯を共に過ごしたいと思わない限り

精霊は真の意味では力を貸してはくれない

だが精霊たちは今の私を助ける様に動いてくれいる。

もうすぐだ!もうすぐで契約の祭壇に着く。


だが私の横をものすごい速さで何かがよぎった

それは転がりながらもなんとか立ち上がろうとしている

ボロボロだが見覚えのある給仕服

ファラだ

「あれれー?転移の精霊術師さんはそう簡単につかまらないだろ?」

私がファラの名前を叫び近づくと勇者が背後から近付いてきた

「姫さんみーけっ!もう鬼ごっこは終わりだ。さあこっちへ来な!」

ファラがボロボロになりながらも私の前を手で制し

「ええ終わりですとも!ここで貴方もこの国の計画も!」

「何を言っている気でも狂ったか?」

ファラが私に言う

「姫様!いえフィリア・・・貴女を異界に送ります私は行けそうにはありません」

「そんな!やだよ!やだよぉファラが一緒にいなきゃやだよ!」

私は泣きながら言うことしかできない

「いい?貴女が向こうで最初にあった人に助けを求めなさい

でもちゃんと人となりをみるのよ?貴女が信頼できるどうかを

いい?これが私が貴女にできる最後のことだから・・・さようならよ

フィリア・・・実の娘のように貴女を私は愛していたわ」

そう言ってファラは私を転移させた

私はファラの名前を呼び続けながらこの世から旅立った


ファラside


「おいおいおいおいおいおいおい!何してくれちゃってんのふざけやがって

はあ?俺様の最強の夢はどこ行ったよ!なにしてくれてんだああっ?」


もうマナはかけらも残っていない

たがそれでも悔いなどないたった一人の大事な娘は旅立ったのたから

私は勇者の癇癪を聞きながら空に浮かぶ転移魔法のマナ残留を見上げながら

言った

「行ってらっしゃいフィリア・・・)




そうこれは始まりに過ぎない私の娘の大いなる宿命の












感想お待ちしております

面白いなとか続きが気になるという方は

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