かぐや姫
むかしむかし、ある所に。おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ芝刈りに行きました。
「なんじゃ、あれは。竹が光っておる」
光る竹を見つけたおじいさんは、すぐにその竹を切ってみました。
「あっぶな! ちょっとぉ! 髪の毛ちょっと切れてるじゃない! どうしてくれんのよ!」
「……ああ、すまんのぅ……え? 竹から……え?」
「どうしたのさ。挙動不審になって。誰かが『竹から子供は生まれない』って決めたわけ?」
「いや、たしかにそうじゃないんじゃが……」
とりあえずおじいさんは、竹から生まれた子供を家に連れて帰ろうとしました。が。
「いや待って。うち、もっとイケメンが来るまで待つから。あんたは帰っておk」
「えっ……」
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数日後、おじいさんが少女の様子を見に行くと、やせ細った少女がまだ竹の中にいました。
「そろそろ諦めた方がいいんじゃないかの?」
「くっそ、くっそ、くそくそくそくそ!」
このままではいずれ餓死すると思い、おじいさんはご乱心の少女を家に連れて帰りました。
「おばあさんや。この前言っていた少女じゃよ」
「きゃわわぁ! 萌えますわぁ! 名前何にするんですかぁ?」
「そうじゃな。かぐや姫はどうじゃ?」
「は? ダサっ。なにそれ、昔話じゃあるまいし。もっとこう、華々しい名前がいいわけよ」
「例えば?」
「そうね、シャインプリンスなんてどう?」
「センスないですわぁwww」
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シャインプリンスはすくすくと育ちました。
「そろそろお前さんも結婚してもよい頃じゃろう」
「は? うち結婚願望とかないんだけど」
シャインプリンスは男からの求婚をことごとく断り、毎晩渋谷で遊びました。
「シャインプリンスよ、毎日行っておる渋谷ってどこじゃ? 聞いたこともないが」
「おじいさん、そんなことも知らないんですかぁ? 江戸っすよ、江戸ぉ」
「ほう、おばあさんや。詳しいの」
「まぁ、現代っ婆なんでねぇ」
「現代っ婆とかwwwうけるわ」
気の合う様子の二人に置いていかれながら、おじいさんは日々を過ごすのでした。
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別れは突然でした。
「くそじじい、おばあちゃん。明日、月から迎えが来るんだ」
「な、なんじゃと……」
「え? もうそんな時期ですかぁ。メアド教えてくださるぅ? 毎日メールしますわぁ」
シャインプリンスとおばあさんは、離れ離れになった後も、いつまでも幸せにメールを交わしましたとさ。
めでたしめでたし
「なんじゃったんじゃ……」
おじいさんの悲しい声がこだました。