腕の見せ所。その2
投稿が少し遅れてすいません。
しっかり書き上げましたので、最後まで読んでいただけると幸いです!
2匹のベルファングに、ルシネが駆け出す。
背後からレイピアで相手に渾身の突きをぶちかます。
「くっ…硬い。」
しかし、硬い皮膚に阻まれあまり深い傷にはならない。
ベルファングがこちらに気づく。
大きく息を吸い込み、仲間を呼ぼうとする。
そこに風の刃が飛んでくる。
「命中!ユウキ!一気に決めろ!」
風の刃が吸い込まれるように2匹の顔に当たる。
ダメージはないものの、仲間を呼ぶ咆哮を無効化し、隙を作るには充分だ。
ユウキが地を蹴って走る。
魔闘技により向上した身体能力で、一瞬にして距離を詰める。
その刹那、2匹の首が飛ぶ。
大量の血を噴き出しながら、倒れる。
「うわっ、自分で打っておいてなんだけど、この剣やばいな。」
ユウキの打った剣。魔剣グリム・ホロウ。
注ぐ魔力の量と密度によって強さの変わる剣扱いが難しいぶん、扱えれば圧倒的な力を得ることができる。
はっきり言って危険だ。
少し扱いを間違えると、仲間にまで危害を加える可能性がある。
「さすが、ユウキくんですね!」
「よくやった。断面も綺麗だ。これなら、ベルファングの素材も傷なしで回収できる。」
フィラは手際よく、素材を回収していく。
「さて、次はリフレインの花の回収だ。ついてこい、もう少し奥まで行く。気をつけろよ?気配で気付かれるから、そしたら面倒だ。」
『了解!』
2人は小さな声で返事をする。
そのままナワバリの中心近くまで進む。
たくさんのリフレインの花が咲いている。
だが、その奥には平均個体よりも2倍以上大きい、異常個体のベルファングがいる。
リフレインの花を採取するには戦闘は避けられないだろう。
……なら、先手必勝だ。
俺ら3人は、身を低くして一斉に駆け出す。
最初に技を繰り出したのは俺だ。
「貫け、牙突抜刀。」
牙突抜刀は、抜刀の構えで深く腰を落とし、抜刀とともに素早く牙突を放つ技だ。
速度、威力、貫通力、どれを取ってもトップクラスを誇る。
はずなのだが、異常個体のベルファングの喉には浅い傷しか与えることができなかった。
しかし幸いにも声帯を潰すことができた。
これで、仲間を呼ばれることはない。
「ちっ、どんな強度してやがるんだよ!」
「一度退がれ、ユウキ!」
フィラの声がかかり、ユウキは一旦ベルファングの攻撃の射程の外まで退いた。
「ねぇ!フィラ、ユウキ!これ、ちょっとやばくないですか!?」
「あぁ、非常にやばいな。状況は最悪だ。」
「そうだな、ユウキの技であれしかダメージを与えられないとなると、厳しいな。」
3人の背中に嫌な汗が伝う。
「なぁ、フィラ?ここで出し惜しみして、死んだら元も子もないよな?」
「うむ…。仕方ないか、使用を許可する」
「本当!?やった〜!やっと使いにくい武器とはおさらばだ〜!!!」
3人は今使っていた武器を捨て、それぞれ装備していたもう1つの武器に持ち変える。
「さて、第2ラウンドの始まりだ!!!」
最後まで、読んでいただきありがとうございます!
楽しんでいただけたでしょうか?
10話も近いうちに投稿しますので、よろしくお願いします。